ICHIROYAのブログ

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自閉症の子を、自分の信念に従って、救いだした母の感動の物語 (『感動』は取扱い注意!)

The Spark: A Mother's Story of Nurturing Genius

The Spark: A Mother's Story of Nurturing Genius



アインシュタインの推定IQを超える天才少年が現れたとのニュースが、2,3年前に話題になった。なんと、12歳のその少年のIQは、170。
ジェイコブくんは、天文物理学や理論物理学の分野でノーベル賞も夢ではない、という。

そのニュースがもたらした驚きの理由のひとつが、彼は、自閉症との診断を受け、自分の靴紐も結べるようにはならないだろう、と医師から言われていたことだ。
彼を自閉の牢獄からいかに救いだして教育したのか、裕福ではなく、自身も病気を抱えている母クリスティンさんがその苦闘を本にして出版している。

「The Spark:A Mother's Story of Nurturing Genius」

僕は未読だが、アマゾンの紹介文こちらを読むと、こんな感動の話が書かれているようだ。

彼を特別支援学級に通わせたが、先生や専門家たちは、ジェイコブくんを彼の特殊な興味から引き離して、普通のことに意識を向けさせることばかりに熱心だった。
彼の興味は、星や、壁に写った影が太陽とともに動くことや、ソファに織り込まれた格子模様などだった。
彼はますます自分の殻にこもり、話もほとんどしなくなった。
クリスティンさんは、医師や先生、そして夫の反対を押し切って、彼を学校に通わせるのをやめ、自分が正しいと思う方法で教育することにした。
彼がやりたいこと、興味をもっていることに、自由に没頭させることで、突破口を開こうとしたのだった。

そして、それは実を結んだ。
現在、彼は自閉症を克服し、11歳で大学に通い、数学の天才と言われ、凝縮系物理学を学んでおり、末はノーベル賞かと言われるほどになっている。
下の動画は、Tedで彼が語った時のもの。

お母さんがBBCに答えてこう話しておられたそうだ。

「 どんな子供も、特別な才能を持っているんです、ちょっと風変わりなところがあったとしても。音楽であれアートであれ、彼らが大好きなものを与えることが良いという考え方に従ったのです」

そして、つまりは、こういう話になる。
その道の専門家、医師や特別支援学級の先生たちの言うことよりも、自分の信念と愛に従って、子供を一途に見守ってやれば、どんな子供も、そのうちに持っている花を咲かすんだ、と。

愛と献身と信念が生んだ、感動の話である。


 




と思ったものの、いや実は、この話は、なにかに似ているな、と思った。
そう、「奇跡のリンゴ」である。
アマゾンの読者評価も5点満点で4.7点。感動と賞賛のコメントが100個以上並んでいる。
が、感動は、人の眼を曇らすこともある。
「奇跡のリンゴ」にはこんな意見もあるように、特別支援学級の先生や自閉症の専門の医師からの、冷静な意見もあるはずだ。
特別な成功例をもってして、積み上げられた専門的な知見を全否定するのは、とても危険なことではないかと思う。
「感動」は、往々にして、人の眼を曇らしてしまうのだ。


まあ、しかし。
ノーベル賞は無理でも、自分の子供たちの可能性については、愛と献身と忍耐と楽観と思い込みでもって、露とも疑わず信じております。
クリスティンさん、感動を、ありがとう!