ICHIROYAのブログ

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「神経質な方の入札はご遠慮ください」は、日本をネコ型社会に変える希望の光だ!

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by peretzp


ヤフオクでよくお目にかかる「神経質な方の入札はご遠慮ください」という文言。
ずっと違和感を感じていた。
「神経質な方」って、誰のことだろう?
僕はリサイクル着物屋で、自分のサイトでは、しつこいぐらいに傷みを表記して、写真を撮り、何回もチェックして、掲載している。
スタッフから見れば、頻繁に突き返したり、グチグチ文句を言う僕は、相当、「神経質な方」と思われているに違いにない。
ざっと見た限りでは、ヤフオクの中古品のおおよそ、3分の1に、この種の文言が書かれているようだ(30分調べです~正確な数字は知りません~あしからず)。
つまり、この文言をその通り読んで、できるだけ客観的に考えたら、僕は、おおよそ3分の1のアイテムの入札には参加できないってことになる。


もちろん、この文言を使っている売り手は、「神経質」に、細かい瑕疵を言ってこられては困る、そんな対応をしているぐらいだったら、売らないほうが、まし、と思っているのだろう。
だけど、普通に考えたら、ややっこしい問題になりそうなのは、「神経質な方」ではなくて、「相当アバウトで楽観的で自分勝手に考える方」で、彼らは自分のことを決して、「神経質な方」とは思っていないのではないだろうか、と思うわけである。
僕のような「神経質な」人間は、入札前に、かなり条件などを読むので、売り手の思いはだいたい掛け値なしに想像する。
だけど、「相当アバウトで楽観的で自分勝手に考える方」というのは、ちゃんと説明文を読みもせずに入札して、手元に届いてから、ああだこうだ、こうあるべきだ云々と、問題になってしまうのである。


結局のところ、この文言は、僕のような、「神経質」な買い手をふるい落とすけれど、ほんとうに問題になりそうな買い手は、そのまま通してしまい、なんの効果もないのではないような気がするのである。


が、この文言が、これほど、流布して、頻繁に使われているには、理由があるはずだ。


最初に考えたのは、サービスマインドの劣化、言葉の貧困、ということだった。
こんな失礼な文言を書いて、なおかつ、入札してくれというのは、なんたる言い草。
世の中は、モンスター☓☓の大流行で、モンスター消費者などとも言われる昨今だ。
様々な買い手から色々と厳しい要求をされて、うんざりする気持ちもわからなくもない。
しかし、シロウトも多いとはいえ、商売である。
買ってもらいたいのであれば、それなりの姿勢、気持ちが必要だと思うのだ。
なぜ、あえて、ひとの気持ちを逆撫でするような文言を書く必要があるのか。
想像力、コミニケーション能力が欠如している。


という風に、いままで考えていた。
しかし、である。
最近、ちょっと、気づいたことがある。


つまり、この「神経質な方の入札はご遠慮ください」という文言は、販売業が、犬型からネコ型へ変わりつつある兆しなのかもしれない、ということだ。


日本では、売り手、販売者というのは、犬のように、満面の笑顔と過剰サービスで対応するのが普通である。
しかし、ちょっと海外旅行してみればわかるように、外国じゃ、販売員たちは、日本ほどヘコヘコしていない。いわば、猫のように振る舞う。
買う側にとっては、犬型の店員さんから買うほうが、気持ちが良いことは間違いなく、訪日外国人などから絶賛されているのも、そういう面だ。
でも、販売する方は、いつもいつも犬のように尻尾をふるのは、かなり大変なことで、それを強いる社会常識が、何かと問題を引き起こしているのだ。


「神経質な方の入札はご遠慮ください」という文言は、結局は、こういうことを意味しているのだ。

「わたしゃ、犬じゃなくて、猫みたいに、対応するしね。それで、良かったら、買ってね!」

そう考えると、この失礼極まりない、「神経質な方の入札はご遠慮ください」という文言も、より良い社会を築くための、希望の一文なのだ、と思えてくるわけである。


この文言は、やがて、ヤフオクから飛び出し、あちこちのリアル店鋪の店先に貼り出される。
最初、お客さんは戸惑うが、そのうち、慣れっこになってしまい、ああこの店も「神経質な方の入札はご遠慮ください」派に変わったのね、とすっと受けいれるようになる。
そして、やがて、店員さんは、みんな犬から猫に変わるのだ・・・


あれ~~~ちなみに、僕の店は、自分が「神経質」で、自他ともに認める「犬」体質なので、「神経質な方の入札はご遠慮ください」という文言は、使っておりません。
あしからず!