ICHIROYAのブログ

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マッシュルームが、プラスティックに取って代わる日

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いまさらながらだけど、最近の技術の進歩は凄い。

たとえば、梱包材だ。

いまは、ほぼ、着物・生地専門になったので、あまり関係がなくなったけど、数年前まで、骨董品も多数、海外に送っていた。
一番、困ったのは、梱包で、とくに、陶器・ガラス類の梱包には、神経を使った。
もちろん、割れ物のシールをベタベタと貼るのだが、事実かどうかは知らないが、「空港では、割れ物と書いてあろうがなかろうが、放り投げられている」など言われており、たしかに、徹底的に中詰をしても、割れたり、破損したりするものが多数出た。

もちろん、プチプチなどでグルグル巻にして、何重にも梱包する。
しかし、詰めすぎてもダメで、ちょっとしたコツと、最後は、「無事で行ってくれ!」と祈って送り出す。

当時、大きな不満があった。
ひとつは、梱包材の保管に、場所をとること。
プチプチを巻で買うと、関取一人分ぐらいの場所をとってしまうのだ。だから、たくさんいるものだけど、大量に保管しておくことができない。
もうひとつは、梱包に時間がかかる点だ。
一点、一点、たいせつにプチプチなどを使って梱包していると、時間がかかって仕方がない。すぐに、30分とか、かかってしまう。

これを改善しようとして、梱包用の緩衝材を、だいぶん、探した。
でも、見つからなかった。

しかし、いま、ネットで探してみると、便利なものがある。
たとえば、これだ。

Instapak 900

液状のものを2種類混ぜると、その場で発泡スチロールとなる。
箱にビニールバッグを入れて、その中に、液を充填すると、みるみるそれが膨らむ。
その上に商品を乗せておけば、発泡スチロールは、商品の形に固まるのだ。
商品の上にも同じ要領で、それをすれば、商品と箱の形にそれぞれ合わせた、理想的な緩衝材ができあがる。

そういえば、これによって包装されたものを、十数年前に目にしている。
高級洋食器のバイヤーだったとき、ヨーロッパから送られてくる高級陶器の破損率が半端じゃなかった。あるときから、一社が、そういう緩衝材を使って送ってくるようになった。
そして、破損率は大幅に低減した。


この技術が、日本でも、気軽に使えるようになっていたのだ。
価格は表示されていないのでわからないが、本社のあるアメリカでは、2500ドルとの表示のあるサイトがある。
日本でも、この程度で買えるなら、数年前、探していたときなら、ためらわずに、導入していただろう。
しかも、最近は、この機械を買わなくても、液がすでに注入されている製品もある。
楽天でも販売されていて、

インスタパッククイックRT  36個入り 

価格は、36個入りで17,485円だ。
ひとつあたり、485円強。
手頃な値段になっている。もちろん、従来の緩衝材のほうが安いが、高額品、とくに割れやすいものなどには、コスト的にも、十分使う価値があると思う。
Instapak900が輸入にかかるコストのために高いようであれば、こちらでも良いかもしれない。(このサイトは検索で見つけただけです~推奨しているわけではありませんので、あしからず)


すでに長々と書いてしまったけど、話しの本筋は、ここから。

で、最近、この緩衝材・梱包材に、さらに、凄い技術革新が起きている。

Ecovative Design

という会社がつくっている梱包材は、マッシュルームのような菌類から出来ているのだ。
商品名も、「Mushroom®」。
材料は、農産物の廃棄物、茎や穀物の殻などで、それに菌を植えて培養する。
発泡スチロールみたいに、何秒で、というわけにはいかないが、1週間、光も水も栄養も化学処理もせずに放おっておいたら、糸状のものが絡まりあった物体に成長する。
容器一杯に成長したものに、熱を加えると成長はとまる。
そして、上の写真(ウェッブサイトのトップの写真)のような、緩衝材ができあがる。(こちらのページを参照ください)


素晴らしい!
発泡スチロールそのものは、ちゃんと燃やせば水と二酸化炭素になるのだけど、廃棄物として大量に出てくる現状では、それを仕分けたり、嵩ばるものを処理するために、かなりのコストや手間がかかっている。
その点、この新素材であれば、腐って、土に帰る。


いまはできたばかりのこの梱包材も、将来、Instapak 900のようになるかもしれない。
つまり、箱に、商品とともに入れておいて、ちょっと、そう、1週間ぐらい、待つ。
そして、そいつが育って、商品は、糸状の菌類にびっしり取り囲まれる。
で、「お待たせしました~梱包材も十分成長しましたので、今日、発送しま~~~す!」とお客様に連絡して、荷物をヤマトさんか佐川さんに渡すのだ。
きっと、そんな日が来る。


今日まで知らなかったが、すでに、この会社の製品は、デルの梱包材にも使われているなど、着々と地保を固めているようだ。
もちろん、彼らの使命は、便利だけども環境破壊につながるプラスティック素材を、持続可能な、環境に優しいエコ素材で置き換えていくこと。
さらにそれを超えて、石油製品にはできなかったことを具現化することだ。

ちなみに、彼らは、ビジネスパートナーを募集している

新しいビジネスを模索しているあなた!
手をあげてみたらいかが?