自分の可能性を広げてくれるのは結局は他人
昨日も書いたように、「いつやるか?今でしょ!」の林修先生には勝手に親近感を感じているのだが、今日のタイトルの言葉も、彼の本『林修の仕事原論 壁を破る37の方法』にあったものだ。
僕はその本ではじめて知ったのだが、じつは、林先生の有名な台詞「いつやるか?今でしょ!」は、林先生が授業で毎日使っておられたキメ台詞だったわけではない。
あのCMが有名になったので、林先生はあの台詞をいつも生徒さんに決め台詞のように熱く語っていたのだろうなと、多くの人が勝手に思っているだけなのである。
たとえば09年の授業中、僕は「いつやるか?今でしょ!」と言ったらしいんです(すみません。本当に記憶にないので、こういう言い方をせざるを得ないんです)。また、林をテレビCMに使おうかと会社のトップが判断するくらいは、講師としての実績も残していました。
しかし、まず電通のCM制作担当の方があの台詞を切り出さなかったら、その後さまざまなメディアに進出するという幸運は生まれようがなかったんです。
本によると、CM担当者が彼の授業のDVDを何十本も見て、そのなかから、いくつかの言葉を選び出した。 そして、CMに使えそうなものに絞っていて、最終的にふたつの候補が残った。電通の方は、「いつやるか?今でしょ!」ではない方の台詞を気に入っていたが、東進ハイスクールの社長さんが「いつやるか?今でしょ!」にすると最終決断をされた。
この台詞がCMに登場して、林先生をスターダムに押し上げた背後には、そんな意外な物語があったのである。
林先生も書いておられるように、そこに至るまでには、林先生の20年以上にわたる講師としての努力、会社への多大な貢献があった。しかし、それは、マスメディアでブレイクして今の先生の状態になることを目指して、そうしたわけではない。
とにもかくにも、自分の仕事をベストなものにしよう、その分野では誰にも負けないものを提供しようと頑張ってこられただけである。
そのうえで、林先生の運を開いたのは、たしかに、他人であった。
それは電通のCM担当の方であり、東進ハイスクールの社長さんであった。
おふたりの仕事や決断がなければ、林先生のブレークには、まだ時間がかかっていたに違いないのである。
“自分の可能性を広げてくれるのは結局は他人”
林先生のこの言葉が、あらためて胸に沁みる。
うまくいかなかった会社員時代、僕はそのことを肝に銘じていただろうか。
自営業をはじめてからずっと、僕は縁というものをほんとうに大事にしてきただろうか。
僕はいまそのことをしみじみと考えている。
photo by Tom Eversley