話すより書くことが好きなあなたに・・とにかく書け!
僕は話すのは苦手だ。
自分ではわからないのだが、講演をすると母親に言ったら、「あんた、はっきり喋らないとモゴモゴなに言ってるのかわからないよ」と言われたことがある。
そういえば、どうやらその話すのが苦手な遺伝子は長女に引き継がれたらしく、とこどき彼女の話を聞いていて、「なにモゴモゴ言ってるんだよ、はっきり話せよ」と言いたくなる。
当意即妙の返しをするということもほぼ完璧にできない。
いい返答を思いつく頃には、みんなその話題から離れているし、最高のものは家に帰ってから思いつくのが常だ。
でも、書くのは好きだ。
書いていると、なんだか気分がハイになりたいてい次から次に文章は出てくる。
しかし、僕のような、話すのは苦手だけど、書くのは好きという人たちはたぶんかなりの数の人がいると思うのだけど、まだまだ充分にその能力を活かしていない人が多いと思う。
今なら職業としてライターにならなくても、ブログで簡単に自分の考えや文章を公開することができる。
だから、僕のようにそうしている人も多いけど、まだまだ沈黙している人も多いはず。
そういう人たちがそれでもブログなどの自分の考えを書かない最大の理由は、「自分の書くものは他人にとって価値がない」「自分の考えはユニークではない」「自分の書きたいことなどほかの人がもっと良く知っているしすでに書いている」などと自分でブレーキを書けてしまうことだ。
もちろん、僕もそうだったし、いまでもよくブログの更新をやめてしまいたいという衝動に駆られることがある。
たとえば、僕が起業について何か書いたとする。
僕が体験した起業は、一流の起業家の人たちからしたら話にならない。
だって、VCから何千万円もひっぱってきた理由じゃないし、素晴らしい技術をもったチームを引き連れて独立した理由でもない。
12年もやって事業の規模は相変わらず豆粒だし。
僕が起業について何かを書くとする。
凄い起業家の人たち、これは全然皮肉ではなくて、たくさんのアイディアを持ち、カリスマ性があって、万一資金をすべて失ってしまっても、何度も立ち上がって挑戦するような凄い起業家の人たちというのはいて、そういう人たちにすれば、僕の起業に関する記事は、小学生の作文みたいに見えるだろう。
だから、僕の起業に関する記事に対して、「バカ!」というのもその通りなのだ。
しかし、である。
世の中には「少しの凄い人」と「たくさんの普通の人たち」がいる。
「凄くなる人」には「凄い人」のアドバイスが必要だろう。
「凄くなる人」には「普通の人」のアドバイスは何の役にも立たないどころか、毒にしかならない。
だが、「普通の人たち」が「凄い人」のアドバイスを聞いても役に立つかどうかはわからない。役に立つこともあるだろうし、勘違いしてしまうこともある。
そう考えると「普通の人」のアドバイスは、「普通の人たち」にとっては役に立つ可能性はあると思うのだ。
たとえば、僕の過去記事のこれを念頭に書いている。
絶対に失敗せずに「商売」を始める10のポイント
いや、僕はこの記事で起業論を書きたいわけじゃない。
つまり、僕が言いたいのは、「凄い人」でなくても、誰でもそれぞれの体験や世界観は誰かの役に立つということだ。
というより、「普通の人」であればあるほど、数多くの「普通の人」の共感を得る、役に立つ記事は書けるということではないだろうか。
誰もが唯一の体験をもっておりその世界観がある。
それが普通のありきたりの人生であったとしてもである。
それには、書く価値があるし、多くの人に読まれることになると思う。
僕は会社人としても失格だったから、その時の思いを記事にした。
僕のような偉くなれなかった会社人は世の中にはたくさんおられるだろう。そして、僕は「偉くなれなかった会社人」のなかの「凄い人」ではなく、「偉くなれなかった普通の会社人」にすぎない。「偉くなれなかった会社人」にもヒエラルキーというものがもし存在したら面白いが、「起業」とは異なって、世の中のほかのことと同じくそこにはヒエラルキーは存在しないし、僕の体験はごくごく普通のことだったと思う。
しかし、そのことをふと書いた記事は、信じられないほど拡散した。
僕が19年勤めた会社を辞めた時、後悔した12のこと
これがその時の記事だが、最近寄稿させていただいたこの記事もかなり読んでいただいているようだ。
会社で偉くなる人は、僕とどこが違ったのか? 10の特徴
もちろん、そういう記事にも、「バカ!」という反応はたくさんくる。
組織の中でいかに生きるかについて、人それぞれにさまざまな世界観があり、現実に組織の中で重きをなしている人もその階段を登りつつある人もいる。
僕より広い視野で見えている人も当然おられるはずで、そういう人たちから見れば、やっぱり「考えが浅い」のかもしれない。
しかし、それでも、このふたつの記事を通して僕が受け取ったのは、大きな共感の声だった。
僕は本当に思うのだ。
頂点にいる人はたしかにいて、広い視野と専門性をもっている。
それは「普通の人」をはるかに凌駕している。
でも、そこにいないほとんどの人たち、山の裾野や中腹で腰をおろしている普通の人たちの体験や世界観にも大きな価値があると。
普通の人たちは、普通の人たちと同じ場所にいて、同じ風を感じ、同じ空気を吸って、手を伸ばせば触れ合える場所にいる。
だからこそ、大きな共感の輪を拡げることができる可能性がある。
だから、とくに、話すことが苦手で書くことが好きな人には、自分のことを書いて欲しい、自分の見ている世界を書いて欲しいと思う。
自分が見ているものを、自分が感じる通りに書けば、誰かがあなたの記事をみつけ、それに共感し、その共感の輪は大きく広がっていくだろう。
あなたが乗り越えるべきは、まず、「自分が書くものなど特別なものではない、もっと上手く書ける人がいる」という固定観念。
そして、いくつかの、「バカ!」という声だ。
でも、それを乗り越える価値は、たしかにある。
で、余計なアドバイスかもしれないけど、現在、書く場所に一番相応しいのは、やっぱり、はてなブログだと思う。
(追記)あざなえるさんは、ブログ初心者には「はてな」は厳しいのではという意見で、アメブロとかのほうがいいかも、とおっしゃってます(こちら)。ふむ~~どうなんだろう。あざなえるさんの仰ることは実感としてよくわかるんですが、それでも「はてな」には良質の記事を発掘する仕組みがあると思うのですが・・ただ、わざわざ発掘して、「バカ!」と折るようなところもあるけど・・・
photo by Rubin Starset