ICHIROYAのブログ

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レジのおばちゃんたちに1億円の退職金を払いつつ、ウォールマートを食う奇跡の食品スーパー「ウィンコ」に熱くなれ!

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 by Atomic

 
凄い会社が現れた。
その名も、WinCo(ウィンコ)。’Wining Company’(勝つ会社)という言葉を縮めてつくられ、従業員たちの投票で決めた名前だ。
このWinCoの話を聞けば、誰でも胸が熱くなる。

Wincoは、アメリカの食品スーパーだ。
アメリカの小売業界といえば、もちろん、ウォールマートという巨人が大きな、大きすぎるともいわれるマーケットシェアを押さえている。
WinCoは、そのウォールマートにとって、唯一の「悪夢」のような存在、と言われている。

WinCoは、ウォールマートより安い。という定評がある。
そして、何より驚くのが、従業員に対する厚い退職金制度だ。
現在、400人以上の第一線のキャッシャーや事務員が、少なくとも100万ドル(約1億円)相当の退職金積立がある、という。
金額が信じられなかったので、なんども原文をあたったが、間違いない。レジのおばさんたちに、1億円の退職プランが用意されているのだ。
そして、従業員の福利厚生が劣悪であると有名な巨人相手に、より安い値段で商品を提供し、快進撃を続けているのである。

これほど、胸の熱くなる話はない。
WinCoの本拠地は、アイダホ州ボイジー。100近い店舗と、15000人の従業員を抱える。
去年の売上は、55億ドル(約5500億円)。

なぜ、そんなことが可能なのだろうか。
安い商品を提供できる理由として多くの人が指摘するのは、以下のような点だ。
ほとんどの商品を、問屋を通さず、直接生産者から買い付け、それを、倉庫にストックもせず、直接店舗に並べる。
中間マージンをカットできるうえ、余計な保存コストがかからない。
また、商品の品ぞろえは絞られている(1品目で、たくさんのブランドを並べたりしない)。
そして、レジでは、クレジットカードは使えず、現金かデビット、チェックのみ。また、袋は持参する必要がある。

わかる話ではある。
だけど、ほんとうのマジックは、別のところにある。

WinCoは、もともと二人の共同経営者がはじめたディスカウントストアが始まりだが、1985年に前経営者のビル・ロング氏が、従業員たちと会社をバイアウトした(経営権を買った)。
そのときの店は18店、年商1億8700万ドル(約187億円)、1店平均1100万ドル(約11億円)に過ぎなかったのだ。
だが、そのときから、従業員たちのバイアウトから、快進撃が始まった。
現在の1店あたりの年商は5500万ドル(約55億円)、最近の店は7500万ドル(約75億円)に達しようとしているという。

つまり、WinCoは、まさに、従業員たちの会社で、すでにこれほどの規模に拡大しているのに、株式は公開せず、潤沢な現金があるために、銀行からの融資も受けずに、新店をオープンし続けているのだ。

WinCoにいけば、あなたが目にする、商品の陳列をしているスタッフ、レジのおばさんたちは、単なる従業員ではなく、経営者のひとりである場合が多いのである。

WinCoのマジックを可能にしているのは、従業員たちが経営者であり、まさに、自らのために、創意工夫を最大限におこなって働いているからと思われるのだ。

これほど、胸の熱くなる話があるだろうか。
しかもまた、このスーパーが、資本主義の本丸のアメリカで、ウォールマートの脇腹を食うようなかたちで伸びてきたということに、言いようのない興奮を覚える。

これ以上の論評は控えるが、この会社の成功がしめすものを、じっくり考えてみたい。

なお、ソースは主に、下記のサイト。探せばほかにも出てくると思うので、小売関係のかたは、ご自分でも探してみられるとよいと思う。

WinCo: How Boise's homegrown discount grocer keeps expanding

The Grocery Chain That Could Topple Walmart


(追記)ブコメでいただいたように、1985年から、給与の20%を積み立てられてきたもので、1億円相当の持ち株として用意されるようです。それが、「年金プラン」としてどのように給付されているのかまでは、記事からはわかりません。該当部分の原文は以下です。

*The company pours an amount equal to 20 percent of an employee’s total yearly pay into a pension plan.

The value of the shares in those retirement accounts has been appreciating, on average, at 20 percent a year since 1985, Read says. More than 400 employees Read refers to as “front-line” employees — produce clerks, cashiers and other nonexecutives — have retirement accounts worth at least $1 million, he says.

Flickinger saysWinCo workers tend to stick around.His company, Strategic Resource Group, estimates the average WinCo hourly worker in Idaho, Oregon, Washington, Utah and California stays with the company for more than eight years.

 

 

 

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by Ninja