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ICHIROYAのブログ

元気が出る海外の最新トピックや、ウジウジ考えたこととか、たまに着物のこと! 

★★★当ブログはじつはリサイクル/アンティーク着物屋のブログです。記事をお楽しみいただけましたら最高。いつか、着物が必要になった時に思い出していただければ、なお喜びます!お店はこちらになります。★★★


ジュラシックパークに乗れない社長の物語

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ジュラシックパークが大嫌いだ。
USJは大好きだが、ジュラシックパークだけは許せん、という偽らざる気持ちである。

去年の年末、会社は忘年会がわりに、みんなでUSJにいくことにした。
朝から来てもらい、年末の大掃除と最後の顧客対応をして、昼から車に分乗してでかけた。
平日なので、子供さんのおられるかたは、子供連れで来てもらう。

最年少、Nさんのお嬢さん、マヤちゃんがかわいい。
まだ幼稚園のまえで、マシュマロみたいなほっぺに、くるりとしたまん丸の目。
話しかけても、恥ずかしそうに、首を縦に振るか横に振るだけだけど、その仕草がまたとってもかわいいのである。
眼の中に入れたらちょっとは痛いかもしれないが、たぶん、あんまり痛くはないはずである。

さて、USJについて、お子様チームと絶叫チームに分かれる。
マヤちゃんは、もちろん、お子様チームで、ショーなどを2,3まわる。
絶叫チームは、ハリウッド・ドリーム・ザ・ライドからスタートである。
僕はもちろん、絶叫チームである。
絶叫マシンなど、屁でもない。

そこからいくつかマシンを回って、お子様チームと合流した。
マヤちゃんはどうしたかなと思ったら、何かのショーを見て、怖がって、大泣き。
ふたつめのショーでも大泣きで、たいへんだったと、嫁。
すでに、キャンディーを舐めて、泣き止んでいたが、不安そうな表情。
お母さんのNさんは、「怖がり!」といって、ちょっとご立腹である。

そこからみんなで、いくつかアトラクションを回るが、なんだか、マヤちゃんを連れてきてもらったことを、後悔する。
かわいそうなマヤちゃん。
楽しくもなく、怖いだけのUSJに無理につきあわされて。
Nさんは、「車のやつ、行こか? 火事のやつ行こか? おもしろいで」とマヤちゃんを懸命に説得するが、マヤちゃんは首を横に振るばかり。

なんとかなだめすかして、ジョーズに乗る。
ジョーズがどばっ! 
案の定、マヤちゃんは大泣き。
どばっ!
大泣き。
で、最後まで、Nさんに抱きついて、泣きどおしで、ようやく終了。

マヤちゃん、ゴメンな、USJはまだ無理やったな。

しかし、Nさんは、平然としたものである。
ジュラシックパークに乗せる、というのだ。

実は、ぼくは、密かに、ジュラシックパークが大嫌いである。
長女の祥子も嫌いで、家族でUSJに行った時、次はジュラシックパークだ!って言っただけで泣きだしたが、長女の気持ちがよくわかるのである。
ゆっくりゆっくり怪獣のつくりものの間を舟で行って、最後の最後に、あんな高いところから真っ逆さまに落とされて、何が面白いっていうんだ?
落ちる瞬間、ああ、俺はこのまま死ぬ、と思ってしまう。
ジュラシックパークを面白がる連中の気がしれない。

マヤちゃんをジュラシックパークに乗せたら、きっと、恐怖で死んでしまう。
死なないまでも、生涯を通じて、心の傷となり、たいへんなことになる。
僕は心配して、「嫌だったら乗らなくていいんだよ。乗らないほうがいいよ」とマヤちゃんを説得した。
しかし、Nさんは、「怪獣が面白いよ~」となんとしてでも、乗せるかまえである。
Nさんは、ジュラシックパークの怖さを知って、そう言っているのか?
僕は心底心配した。
ハリボテの怪獣なんて、面白くもなんともない。
そうやって油断してたら、最後に死ぬほど怖い目に合うんだぞ、とマヤちゃんに言いたかった。
そこで非常手段に出た。

「マヤちゃん、おっちゃんも、乗らないんだよ」僕はしゃがんで、マヤちゃんにやさしく語りかけた。
「おっちゃんみたいな、大人でも、怖くて怖くて、乗れないんだ。
乗れなくったって、いいんだよ。
いっしょに、待ってよ」

マヤちゃんは不安そうな表情で、首を縦にも横に振らない。
そして、僕の心配も知らず、Nさんは、マヤちゃんの手をひっぱって、入り口へと消えていってしまったのである。

「えっ~社長、乗らないんですかあ!」と別のスタッフ。
「あ~う~、うん、乗らない。ジュラシックパークは面白ないし」
「怖いんですか?」
「あほ!」

そういう成り行きで、僕はスタッフ全員がジュラシックパークに乗るのを見送り、下で待っていた。
マヤちゃんのことを心配し、胸が潰れそうだった。
そして、ジュラシックパークにも乗れない社長として、今後生きていくことの意味を、ぼんやりと考えていた。

写真は、落下を終えたあとの皆の様子を僕がiPhoneで撮ったものである。
男性スタッフのOくんが、両手を上げて、僕を見て笑っている。
おい、Oくん、そこらへんでは、もう、手を上げていても、意味はないんだぜ。

はたして、出口から出てきたマヤちゃんは泣きじゃくっていた。
彼女にトラウマが残るような衝撃的な心の傷が残ったのではないか、僕は、Nさんにひっつくマヤちゃんを慎重に観察した。

出口にある怪獣のぬいぐるみのいっぱい並んだショップ。
次第に、表情から泣き顔が消えてゆく。
ぬいぐるみに興味津々で、眼が輝いてくるのがわかる。

何かを買ってあげるというNさん。
そして、マヤちゃんの顔に笑いが弾けた!


あ、そ!

ジュラシックパークなんて大嫌いだ。