by octarina8
何かの列に並んでいて、目の前に、誰かが割り込んできたら、あなたならどうするだろうか。
ちゃんと、並んでくださいと静止するべきか、それとも、そのまま黙認するだろうか。
相手がコワオモテのオジサンなら、まったく、その時の自分の境遇を呪い、狂いそうになるに違いないけど、相手が84歳のおばあちゃんで、よぼよぼな様子だとしても、それはそれで、悩むに違いない。
アメリカで、この「割り込み」に関する、凄いドラマがあったようだ。
この記事によると、10歳のお嬢さんと宝くじの列に並んでいたミンディさんの前に、84歳のグロリアさんが割り込んできた。
ミンディさんは黙ってそれを受け入れた。
係のひとが、それを見咎め、ミンディさんに先に行くように尋ねたけど、ミンディさんは、結構です、どうぞそちらの方をお先に、と辞退した。
そしたら、なんと、グロリアさんが買ったくじが、5億9000万ドル(約585億円)の当たりだった!
米国宝くじ史上、一人あたりの当選金額としては、最高額だったそうだ。
このくじの仕組はよくわからないけど、当たりクジの発表から(番号、場所、日時)、ミンディさんの10歳のお嬢さんが、その当たりクジは、ふたりの前に割り込んできた、あのときのおばあちゃんが買ったものに違いないと、突きとめた。
たしかに、本人も、「すぐ前に並んでいた男性が順番を譲ってくれた」とマスコミに語っていた。
ミンディさんは、親切にも、順番を譲ったために、目もくらむ高額当選を逃したことになる。その時、気が変わって、よほど変わった買い方をしなければ、たしかに、そのあたりくじはミンディさんが買うはずのものだったのだ。
なんと!
さて、それが自分だったら、と考えると、なかなか楽しい。
もし、自分が、ミンディさんだったら、どうしただろう。
まず、そのことは誰にも言わないでおくかどうか、それが問題だ。
マスコミにそれを言って、あのとき順番を譲ったのが誰だかわかれば、多少なりとも賞金を分けてくれるかもしれない。
だけど、分けてくれなければ、5億をあっさりと譲った、人のいい、馬鹿なヤツと一生言われるかもしれない。
もし、自分がグロリアさんだったら、どうするだろうか。
あの時、順番を譲ったひとが名乗り出てる。
なんで、そんなこと、言うかね!
しかたない。せっかくだから、何割か、あげようかね。
多少なりとも、分けてあげなきゃ、列に割り込んで、賞金も独り占めする、最悪ババアと思わるかもしれない。
でも、嫌だ。
私の人生、大変だったんだ。何にも良い事はなかった。
最後に、神様が微笑んでくれたのに、なんでそれを人にあげなきゃらないってことに、なるかね・・・
どうしよう・・・
以上は、僕のようなちっぽけな人間が考えそうな、100%想像である。
でも、ドラマは始まったばかりだ。
きっと、面白いことになる。
実際のところ、グロリアさんとミンディさん、どちらが幸せになるか、まだまだ、わからない。
以前、アメリカの高額宝くじ当選者のその後を追跡した記事を読んだことがあるが、ほとんどの当選者は、その後、あっという間にお金を使い尽くして、当選前より不幸になっているようだ。
しかし、グロリアさんはすでに高齢だし、どうだろう。
お金を使うにも、若い人がたちが無駄遣いするようには、使えないだろう。
僕は、結果的に、この件は、最高の成り行きになっていると思う。
ミンディさんがこの宝くじを当てていたら、その後、ミンディさんの家族が、本当に幸せになったかどうか、怪しい。
少なくとも、以前の当選者の例から考えると、不幸になる可能性のほうが、ずっと高いのである。
現実に、その後、このようになっているのだ。
ミンディさんは、マスコミに訊ねられて、答えている。
グロリアさんに悪い感情は持っていません、ご家族の幸運を祝福しています、と。
さらに、言っている。
そして、間違いなく、この言葉で、彼女は、金額に換算できない、最高の名誉を手にしたとも言えるのだ。
「正義よりも、我慢強くいることが、時には良いことなの。私たちは娘に正しいことを教えたことを、わかっているのよ」