ICHIROYAのブログ

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なぜ人は「椅子」が好きなのか(椅子から見る勝ち組と負け組?)

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たしかに、『社長の「椅子」』っていう言葉がある。
考えてみたら、何も「椅子」である必要はないじゃないか。
『社長の「ペン」を握りたいのだ』とか
『社長の「帽子」をかぶることが目標だ』とかでも、とくに不都合っていうことはないはずだ。

「ナニワ金融道」で有名な青木雄二氏の著作のなかにこういう意味の一節があった。(うろ覚えです)

自分の椅子と机を持てる仕事につけた人が勝ち組。

たしか、「自分専用の机と椅子=比較的高級な事務仕事とある程度の給与」であり、それすら得られないものは、「ずっと立ち仕事=単純労働と安い給与」という青木氏なりの冷徹な見極めだった。

反論したくてうずうずするが、いまはおく。

それにしても、「どんな立場でも=机と椅子が与えられようがなかろうが=一生懸命働くのが美徳」という価値観を、現実の鋭い刃でなで斬りにする青木氏の言いように、とても驚いた。

百貨店時代のことだ。

どの百貨店でもそうかと思うが、店頭から一歩倉庫に入れば、所狭しと商品が積み上げられている。
なるべく店頭スペースはとりたい、売り逃しを避けるために、なるべく在庫も近くに置いておきたい、という理由で、売場の裏は商品でぎちぎちになっている。
しかし、マネージャーやサークルリーダーはデスクワークもある。
やむなく、倉庫の中に机を一台置く。

そして、その状態で、2年、3年とほおっておくとどうなるか。
机が、2台、3台と増殖していくのである。
これは、マネージャーAさん用、こっちは、バイヤーBさん用、こっちは、サークルリーダーCさん用、という具合である。
かくして、駅前の最高の商業立地のスペースに、価値を生まないデスクスペースが増えていく。
かくも、人は、「自分の机と椅子」が好きである。

また、ある時、人事制度の大規模な変更があった。
ざっくり言うと、部長の下半分→課長、課長の下半分→係長という感じのものだった。
僕も、めでたく、「課長の下半分→係長」へと変わった。
なかなか、嫌なことをする会社である。もちろん、給与も連動している。
ぷんぷんしていたら、今度は、椅子のチェックが行われた。
ちょうどそのころは、企画部にいて、自分の机と椅子が与えられていた。
チェックの内容は、「係長の椅子は肘置きつきのものは、禁止!」であった。
僕の椅子は、肘置きつきである。
そういえば、肘を置いて、ふんぞり返って、部下たちになんやかんや生産性の低い文句を言っていたかもしれないし、頬杖をついて、ウトウトしてしまったことも、1回か、100回ぐらいあったかもしれない。
ということで、僕の椅子は、肘置きのないものに、取り替えられた。

もちろん、悲しかった。


やっぱり、『社長の「ペン」』ではダメで、『社長の「椅子」』でなければならないのだ。

そう、ひとは、かくも「椅子」が好きなのである。

比喩的にも、現実的にも。

(写真は 月光仮面の座布団! あなたの椅子にどうぞ