知人のTさんは、数字を扱うある業界で頭角をあらわしているんだけど、小娘みたいな、きゃぴきゃぴしたところが、いまでもある。
そのTさんが、言う。
3年以内に東京に大きな地震が来るんですって。
一部上場企業社長さんの相談なんかもたくさん受けている、その筋では有名な霊能者がそう言っているらしいですよ。
その先生は、 東日本大震災もあてたらしいです。
へえ。
Tさんには悪いが、予言のたぐいはまったく信じない。
東日本大震災のあと、いかにも信憑性のある地震予知の話が、いくつもはやっては、はずれていった。
子供の頃に読んだ本で、いまでも記憶に残っている話がある。
100人の預言者が、未来のこと、半々の可能性で起きることを予言するとする。
最初の予言で、半分の預言者は、正解。残り半分は、はずれとなる。
次に同じような、半々の可能性のことを予言させれば、また、半分、25人は正解になる。
こうしたことを、もう1回で、12.5人。
もう1回で、6人。
もう1回あれば、3人。
そして、もう1回で、最後の予言まで正解し続ける預言者が、確率上、ひとり残る。
ほかの預言者のことを知らなければ、その預言者は、丁か半かの予言を、6回連続であてた、凄い預言者ということになる。
100人のうち、ひとりの正真正銘の預言者と、99人の、まあまあ当たる預言者から、まったく当たらない預言者が残る。
この話をよく考えたら、この広い日本には、隈なく探せば、偶然、よく当たる予言を続けた預言者が、どこかにある程度存在する、ということを示している。
そして、これは、ひょっとしたら、短期間での地震予知ができると言っている地震学者にもあてはまるのかもしれない、と最近思っている。
そうした地震研究者は、雲や、動物の行動や、電波の伝播などをさまざまな与件を地震の前兆と推測して、短期間での地震の予知に挑戦している。
いまのところ、科学的に証明された短期予測の方法はないようだけど、そんな研究者が、十分にたくさんの数がいて、それぞれに地震の予知を発表していれば、誰かは、近い予知結果を出すかもしれない。
それが、まったく間違った根拠に基づいた予測だったとしても、である。
ところで、この原理で、簡単に、詐欺をすることだって、可能である。
たとえば、 FX(外国為替証拠金取引)のブログサイトを、まったく別々に、100個ぐらい立ち上げる。
1ヶ月ぐらい普通に、それぞれの記事を、簡単に更新する。
そして、あるときからFXの予測を書き始める。
明日は円高、とか、明日は円安、とか、書くのである。
100個のブログのうち、50個のブログは、おめでとう!正解である。
また、次の日、翌日のブログに、予測を書く。
さっきの預言者の話と同じである。
最後に、6回連続で、FXの勝負に勝ち続けたブログができあがる。
そして、そのブログにこう書く。
じつは、最近、めちゃくちゃ当たっているのは、「ICHIROYA流~FXで100%勝つ秘訣」という情報商材を買ったからなんだ。
10万円したけど、凄い命中率だ!
もちろん、情報商材「ICHIROYA流~FXで100%勝つ秘訣」は、FXで勝つ秘訣、外国為替の仕組みが詳しく書いてあるのだ。
注文が殺到する。
100件売れたら、10万円x100=1000万。
さあ、どうでしょうか?
FXのトラ子、とか、FX小僧とか、FXプロとかになりすまして、100個のブログを書くことぐらい、予想される利益から考えたら、簡単なもんですよね?
まさか、あなた、こりゃ、いい考えだなんて、思っていないですよね?
ともかく、世の中の預言者には、くれぐれもご注意あれ。