ICHIROYAのブログ

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わたしがバージンロードを歩くまで

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式は3時から。
僕らの家族は、余裕をもって、10時半に教会についた。
新婦は予約していた、近くの美容室へ行く。

僕は嫁と、バージンロードを花と白いリボンで飾って、赤い絨毯に掃除機をかけた。

新婦に頼まれた菓子折りと、2次会で使うという誕生日ケーキを買い行き、その足で、富士吉田から来られる新婦一同の中型バスの駐車場がないか、探しに行く。
教会の駐車場は狭く、当初の予測では、そのバスを教会の駐車場に入れてしまえば、ほかの車の駐車場所がまったくなくなってしまう、ということだった。

近くにDVD屋さんがあり、広い駐車場は、日曜の朝ということで、ガラガラである。
1万円でも払って、バスの駐車をお願いしてみるべきか、礼服でその店に入り、ぐるっと一周。決心がつかずに出てくる。

もう一度、教会の駐車場に帰り、駐車場を実測してみる。
すでに黒留袖を着ている嫁は、紐をもって、あっちへ行け、こっちへ行けと言われて、不機嫌である。
実際は、聞いていた話より、駐車場はずっと広く、バスをぎりぎりに寄せて入れたら、必要台数を押し込めそうであることがわかった。

が、そのとき、教会のど真ん前の道(反対側)に、駐車されている車に気づいた。
万一、この車が動かないと、バスが入ることができないかもしれないし、路上に多少はみ出して停める予定だった車が、まったく停められない。

「あの車、式までには、どっか行くかな?」と僕。
「そんなん、知らんわ」と嫁。
たしかに。
警察に駐車違反者がいると通報しようか。しかし、警察が来るころには、周りは親族の駐車違反であふれているかもしれない。

ちょうど、ここは教会である。
仕方がない、神に祈ることにした。

祈りは神に通じた。

運転者が戻ってきて、車は去った。

12時半ごろ、予定より1時間早く、新郎一同のバスが着いた。
車もうまく入り、駐車問題は解決である。
新郎をはじめ、老若男女20数人が降りてきて、いったん、開放していただいた牧師先生の自宅に入っていただく。

そして、いよいよバージンロードへの道は佳境に入っていくのである。

まず、ご親戚のおひとりが、「携帯電話を針のサービスエリアのレストランへ電話を忘れた!」とおっしゃる。
その方、新郎のお父さんと解決策を相談する。
仕事の電話が入るかもしれないから、すぐに取りに行く。針まで電車ではどう行ったらいいのか。
道の駅なので、車では1時間ぐらいだけど、電車となると、行き方もわからない。
じゃあ、僕の車を貸しますから、それで行ってきてください。
いや、もう酒飲んでるし~~
じゃあ、バスの運転手さんに運転を頼もう、別料金で。

いつもチャーミング新郎のなお母さんは、
ちょっと時間があるみたいだから、やっぱり、髪のセットしようかしら~~近くに美容院ないかしら~
嫁は黒留姿で、まだ着物を着てもいない新郎のお母さんを連れて、近くの美容院を探しに行く。
美容院はみつかったが、美容師さんは、
2時30分までになら、なんとか仕上げることができるかもしれません、それでもいいですか?
式場に走って帰っても、着付ける時間が残るのかどうか。
天を仰ぐ嫁の横で、お母さんは力強く頷いた。

2時には、式の予行演習をする予定。
予行演習、予行演習と誰かが言うので、腕時計を見たら、まだ30分早い。
出席者が続々とやってきて、バージンロードに踏み込んだり、駐車の場所を尋ねられたり、てんやわんや。
早く予行演習を、というので、やろうとしたら、新郎がなかなか来ない。
証人のふたりも予行演習には必要、ということになったが、そんなことは聞いてない。
ふたりのうちのひとりは、次女麦。もうひとりは、新郎新婦共通の友達。
事前に言っていないその友達は来ないし、麦は、お母さんの黒留を着付ける段取りになっている。

ともかく、バージンロードを歩くところだけやろう、ということになり、式場を閉めきって新婦と歩く練習。
大きく膨らんで、裾をひいたドレスを踏まないように歩くのは、想像以上に難しい。
しかも、新婦も歩きにくいようで、ふらふらしている。

そのころ、新郎は、まだ来ない。
おい、新郎はどうした?
控え室で、爪切ってたよ。
新郎のお父さんが控え室に行き、「おい!今頃爪を切ってどうすんだ?早く予行演習に行け」と一喝するのかとおもいきや、「いったい、どんだけ、爪伸びてんだよ」と一言。

やっと、新郎が加わったので、バージンロードを歩くところから、予行演習のやり直し。
そして、そのころ、髪のセットが終わった新婦のお母さんが帰ってきて、お父さんが、「着付けお願いします~」
いや、麦は、証人として、いまから予行演習です、すんだらすぐに行かせます。

予行演習は、バージンロードを歩いて、新郎に新婦を渡し、誓いの言葉などのパートへ。
照れ隠しか、牧師先生にちょける新郎。
「で、ここで歌う、賛美歌はどれですか?」

おい、時間がないよ。
そこは賛美歌を歌うところじゃないし、百歩譲って歌うとしても、どの曲かを問題にしている場合じゃないんだ。

「パパ、やばいよ、時間、着付け間に合わない」と麦。
「えっ? まだ、50分近くあるじゃん」と僕。
「え?もう2時半だよ。後ろの時計見て!」と麦。「パパの腕時計、30分遅れてる」

あっ!
このボロ時計め!


神のご加護のお陰で、
こうして、定刻に、
バージンロードへの扉は、
無事に開いたのでした。