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ICHIROYAのブログ

元気が出る海外の最新トピックや、ウジウジ考えたこととか、たまに着物のこと! 

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経産省も知らなかった、古くて新しいもうひとつのクールジャパンがアメリカでブレイク?!(「テンカラ」が人気!)

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またひとつ、日本の伝統文化がCOOL JAPANとして、海外でブレイクしつつある。
知る人ぞ知る文化である。
経産省のクールジャパン戦略とは無縁だが、明らかに人気化しつつあるのだ。

それは、「テンカラ」という日本伝統の毛鉤釣りである。
さて、釣りをしないひとに、簡単に説明すると、「テンカラ」は、江戸時代もしくはもっと古くから続く渓流での釣法である。

たぶん、釣りをしないひとも、映画「リバー・ランズ・スルー・イット」などで紹介された「フライフィッシング」はご存知かと思う。
フライフィッシング」も毛鉤を使う。

「テンカラ」は、日本版「フライフィッシング」だ。

実は、僕も若いころ、一時、「フライフィッシング」に凝っていた時期がある。仕事のあと深夜まで毛鉤を巻いて、休みとなると深夜に起きだして、何時間も車を走らせて渓に向かった。

そのころ、もちろん、「テンカラ」という釣り方があることは知っていたが、COOLじゃないと思っていた。
爺さんの釣り方だと。
欧米の釣り人がやっている「フライフィッシング」のほうが圧倒的にカッコ良いと。

しかし、実際のところは、「テンカラ」のほうが釣れるだろうな、とは思っていた。
だって、「テンカラ」は日本の狭く急峻な渓流で効率よく釣るために長い時間をかけて編み出されたもので、欧米の広く滔々と流れる川で発達した「フライフィッシング」とはシステムが異なっているのだ。

「テンカラ」と「フライフィッシング」のどこが違うのか、簡単に説明するので、ちょっとだけお付き合い願いたい。

「テンカラ」には、リール(ラインを巻いておく道具)がない。
フライフィッシング」では、竿よりはるかに長いラインを投げるためにそれを収納しておくリールが必要となる。
フライフィッシング」では、フライ(疑似餌)の精巧さに重点がおかれ、様々なフライを作って持参するが(それが楽しみでもある)、「テンカラ」では毛鉤の精巧さにを重視しない(精巧でなくても釣れる)。
さらに「テンカラ」はおもりも目印(マーカー)も使用しない。

「テンカラ」のほうが、「フライフィッシング」より、シンプルなシステムなのだ。
なるべく余計なものをつけず、シンプルに、小さく、軽く、短時間で、と考えられている。
かつて、山間部でのタンパク質を得るために川魚を獲っていた職業漁師が使っていた釣法だから、最小の材料で、最高に釣れるシステムが考え抜かれているのだ。

さて、この「テンカラ」だけど、「テンカラ大王(先生)」と呼ばれる石垣尚男氏と、パタゴニアの創始者、イヴォン・シュイナード氏などとの交流から、静かにアメリカに広まりつつあったようだ。
日系アメリカ人を奥さんに持つダニエルさんというフライフィッシャーマンが、Tenkara USAという「テンカラ」のサイトをつくって、啓蒙とグッズの販売を始めている。
そして、彼をイヴォン・シュイナード氏や石垣氏がバックアップしているのだ。
とくに、イヴォン・シュイナード氏は、極力までシンプルなシステムに洗練されてた「テンカラ」という釣りの思想に深く共感されているそうだ。


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さて、そんなことで、あのパタゴニアの創始者もCOOLであるとした「テンカラ」。
アメリカやイギリス、フランスでも静かにファン層を広げつつある「テンカラ」(ここに海外のテンカラサイトの一覧がある)


しかし、一部のことでしょ、って?
いや、ところがどっこい、一気に広まるかもしれないのだ。
なぜかというと、アメリカのクラウドファンディングサイトKickstarterで、こんなキャンペーンが行われて、大人気になっているのだ。

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彼らは、Tenkara Rod Co.という会社をつくり、テンカラ用のロッドを製造販売するという。
もう売り切れてしまったものもあるが、キャンペーン中は、予価120ドルのものが90ドルで、予価150ドルのものが110ドルで予約できる。
終了まで13日を残す現時点(2013/9/4)で、3,000ドルの目標に対し、52,842ドル(約500万円)も集めてしまった(1,756%!)。

すでに、Tenkara USAという本格的なサイトがあり、そこでも125ドルでロッドが買えるのに、なぜ彼らのキャンペーンに387人もの応援者が集まったのか。

それは彼らが、本格的なフライフィッシャーを対象としているのではなく、ごく平均的な釣り人やたまにしか釣りをしない人、これからはじめてみたいと思っているような人たちを対象としているからだ。

彼らの提案するテンカラとは、究極のミニマムな釣りであって

ー仕事帰りに1時間、川に降りて釣りができる
ーリールもなくたくさんのフライも要らないので、軽くコンパクト。カバンに放り込んでおいて、いつでも釣りができる(餌も要らない!)
ー出張でも、ゴルフクラブの代わりに、テンカラロッドを持っていけば、楽しい!
ー子供に簡単に釣りの楽しさを教えることができる
ーフライでは難しい、細い川でも釣れる

というようなことが実現できるのものなのである。
彼らのこのマーケティングが、どうやら一般のアメリカ人の胸に、ズドンと届いたようなのだ。
そして、彼らのこの成功は、「テンカラ」という、一般のひとたちや経産省の人たちが注目していなかった、古くて新しいもうひとつのクールジャパンの世界的なブレイクを予感させるのだ。

ワクワクするではないか!
釣りに興味がなくても、ワクワクするでしょ?!

 キャンペーンに使われている彼らの動画。

 

 PS ちなみに、イタリアの山地に中世から伝わる「バルセジアーナ」という釣りは、日本の「テンカラ」とそっくりだそうだ。そういえば、火山などを持つ細長いイタリアの国土は、日本にも似ており、必然的に同様の釣法が生まれていたようだ。上の動画はその「バルセジアーナ」の様子。(参考サイト