ICHIROYAのブログ

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ノルマンディー上陸作戦に参加した90歳の元兵士の夢が現実に!

ノルマンディー上陸作戦1944(上)

ノルマンディー上陸作戦1944(上)



とてつもない戦記を読んでいる。
ノルマンディー上陸作戦」だ。

僕のような人間は、まったく想像もつかない。
どうやったら、鉄壁の守りを固めた海岸線、銃弾が空気と海を切り裂いて飛び交う海岸に、上陸艇から海に飛び込んで、敵を殺しにいけるのか。

この戦記を読んでいると、そんなところでも、いささかも揺るがず、勇敢に前に前に進む将兵がいる。与えられた目標に向かって、あらゆる手を考え、実行する。
仲間の死も乗り越え、自分の生死も気にしない。
一方、海岸に上陸はしたものの、そこから一歩も動けない兵士もいる。
そんな兵士にある将兵は言う。

「ここにとどまっても、死ぬだけだ。進んでも、死ぬ。さあ、行くんだ!」

僕がそこにいたら、どうしていただろう。
勇敢にもなれず、かといって、臆病者の烙印を受ける勇気もなく、ちょうど中間にいて、一番先に殺されたかもしれない。
いや、戦場につくまでに、恐怖で発狂して、使いものにならず、船のなかで小さくなって震えていたかもしれない。

しかし、この本を読んでわかったことは、とにかく、どんな状況にあっても、勇敢に前に進もうとする人間が、少なからず存在することだ。
映画のなかにいるヒーローのような人間は、平和なふだんはわからないけれど、現実に存在しているのだ。

ところで、「ノルマンディー上陸作戦」は、完全に過去のものと思っていた。
たまたま、今朝、こんなドキュメンタリーフィルムをつくるプロジェクトをみつけた。




フランク・ムーア氏は、現在90歳。
ノルマンディー上陸作戦に参加し、レジオンドヌール勲章もえた、元米兵である。
彼は、オレゴン州で釣り客やアウトドア愛好者のための宿を経営しており、フライフィッシャーマンでもある。

ノルマンディー上陸作戦当時は、21歳。
上陸作戦でユタ・ビーチに上陸したのち、パリに向かって進軍し、バルジの戦いにも参加した。

そんな彼が、鮮明に覚えていることがある。
モン・サン・ミッシェルに近いある村で、橋の下を泳ぐ、巨大なサケを見た。
その光景を、今でも、はっきりと思い出す、という。

戦争も終わり、故郷に帰ったフランクさんは、いつしか、あの川に戻って、あの巨大なサケを釣ることが、夢になった。

すでに目標の5万ドル(約500万円)を集めたこのプロジェクトは、フランクさんとあの川に行き、サケを釣るところを、ドキュメンタリーフィルムにしようとするものだ。

ビデオのなかのフランクさんのキャスティングは、さすがだ。
90歳のラインさばきとは思えない。
フライロッドから伸びたラインは、いったん、まっすぐに後ろに伸びて、スルスルと折り返して、前に飛んでいく。


そして、流れにフライを落としたら、ラインが川の流れで先に流れてフライが不自然な流れ方をしてしまわないように、ラインだけを上流側に持ちあげて落とす。
それの技術をメンディングという。
このドキュメンタリーのタイトルは、「Mending the Line」。
きっと、強い流れのなかでも、そうやって、ラインをなんどもメンディングしながら、直しながら、生きてきた、っていうことなのだろう。

しかし・・
僕のような釣り好きの人間にはともかく、フランクさんの、そんな感傷につきあって、いったい何になるというのか。
このドキュメンタリーとフランクさんの人生が、多くの普通の人達に訴えうる価値とは、いったいなんだろう。


フランクさんが、この記事のなかで記者に語った言葉に、その答えがあった。

「なぜ、オレが(生き残った)?」と問うのは簡単だ。だけど、そんな問いは無意味だ。ただ、生きなければならないんだ。

“It’s easy to ask ‘why me?’  But you can’t ask why, you just have to live.”