本業は「最速で」、サイドプロジェクトは「ゆっくり楽しんで」!
IT産業の新規事業やスタートアップの肝は、‘Fail Fast’(早く失敗する)ことだという。
いいアイディアがあれば、とにかく始めて、ユーザーの意見を聞きながらサービスを改良していく。
なるべく早く。誰かほかの人が自分よりうまくやる前に。
失敗するにしても、早く。なるべく、早く見切りをつけて、つぎのプロジェクトにとりかかれるように。
この考え方はすでに多くの人々の固定観念になっているように思う。
しかし、”Succeeding Slowly"(ゆっくりした成功)という考え方もあるということを、今朝読んだ記事、Why ‘Side Projects’ matter? (「サイドプロジェクトがなぜ重要なのか」)で気づかされた。
”Succeeding Slowly"(ゆっくりした成功)は、サイドプロジェクトを成功に導くための考え方だ。
以前、サイドプロジェクトのことについて書いた。(サイドプロジェクトが威力をもつ時代:すぐに何かを始めよう!)
サイドプロジェクトとは、現在のメインの仕事、それを生活の糧にしている仕事とはほかに、ほんとうに自分の好きなことを「サイド・ジョブ」としてやろう。
そこにこそ、思いもかけない大きな成功があるかもしれない、という話だ。
実は、僕も、キモノの商売以外にこうやってブログも書いているし、Kimono Archiveというアンティーク着物の画像をみんなで持ち寄って評価したり、海外の人に見てもらったりしながら、画像を後世に残していこうというNPOをやろうとしていて、いくつかのサイドプロジェクトを走らせている。
前回の記事で、サイドプロジェクトが数多くの成功を生んでいる事例を知って紹介したのだが、今朝の記事では、サイドプロジェクトを実行するときの考え方に大きな示唆を得た。
できれば原文を読んでいただきたいのだが、僕流に要点をまとめて紹介すると、こういうことになる。
・サイドプロジェクトには生活はかかっていない。もし、失敗しても露頭に迷うことはない。
・サイドプロジェクトには、期限がない。時間的なプレッシャーがない。あなたしかできないこと、あなたが一番上手にやれそうなことをするのだから、ほかの人に出し抜かれるかもという心配がそもそもない。
・サイドプロジェクトをするのは楽しい。真に楽しいから、何年にもわたって、万一結果が見えないとしても、それを続けることができる。
一般的なITの新規事業やスタートアップは、どこかに広大な花畑を見つけて、誰よりも早くそれを刈り取る、というような面がある。
だが、サイドプロジェクトは、何年間にもわたる開墾や土壌改良をコツコツと楽しんでやったあとに、ある年から一斉に花が咲く、そんな働き方と言ってもよい。
一般的なスタートアップが1,2年の勝負となるとすれば、サイドプロジェクトのそれは、数年にわたる。
そして、その数年を耐えることができるのは、そのことを楽しめるからだ。
もし、僕が、あなたが、本業とサイドプロジェクトをやっているなら、それぞれへの仕事の取り組み方、そして、とくに時間に関して、頭を切り替える必要があるようだ。
本業は、‘Fail Fast’(最速で)。
サイドプロジェクトは、”Succeeding Slowly"(ゆっくりした成功で)。
photo by John Morgan