ICHIROYAのブログ

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「クソ」になってしまわないために、あなたが実践していることは何?

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人間っていうやつは、弱くて、自分本位だ。
僕も、そして、たぶん、あなたは違うが、ほか多くの人はそうじゃないだろうか。
で、何かの誘惑に負けたり、想像力が足りなかったり、気配りが足りなかったりして、いつも間違ったことをしてしまい、自分はなんて、「クソ」なんだろう、って思う。
それがたまのことなら、まだ良いが、たいてい、毎日のように、自分のことを「クソ」と思って、落ち込んでしまう。

そんな風に思っていたら、イスラム教徒であるアメリカの大卒女性が書いた記事、

Why My Ramadan Fast Is a Reminder to Not Be an Asshole
(ラマダーンが、自分は「クソ(Asshole)」でないと思わせてくれる理由)

が興味深かった。
ラマダーンの断食は、自分が「くそったれ(Asshole)」もしくは「ろくでなし(Asshole)」もしくは、「けつの穴(Asshole)」ではないことを、気づかせてくれるものである、と彼女は言う

断食の苦しみは、今日も、世界に8億7千万人も飢えている人がいることをリアルに実感させてくれるし、良い方向へと向かう、自分の意志のチカラを確認できる良い機会だ、と。

そういえば、グアンタナモ米海軍テロ容疑者施設で、ラマダーン期間中の容疑者に食事の強制摂取を行なっていることがニュースになった。
で、グアンタナモ収容所でやっていることに戦慄し、また、いっぽう、「ハンスト」で命をかけた抗議をしながらも、ラマダーンの習慣を守ろうとする容疑者たちの気持ちっていうのは、どんなものなのか、気になっていたのだ。

Wikiによると、ラマダーンとは、イスラム暦の9月のこと。その1ヶ月間、イスラム教徒は、飲食を断つ。

*毎年11日ほど早くなる。(閏月による補正を行わない太陰暦のため)
*期間中に禁止されているのは、飲食、喫煙、性行為、故意にツバを吐くなど。
*絶食は、日中に限られる。日没後、夜明けまでは、普段よりたくさん食べる。


彼女によると、物理的なモノの摂取だけでなく、イスラムの学者のなかには、必要のない情報を得たり楽しんだりすることも、やめるべきだと主張している人もいるようだ。

彼女のこの記事を読むまで、実は、日中だけの断食って、どれほどの意味があるんだろう、と思っていた。
だけど、今年のように、7月9日から8月7日までと、真夏にあたる場合もある。
夏至のころだと、昼間の時間は、14時間半もある。
いくら飲み溜め、食い溜めしても、明るい時間は長く、喉も乾けば、腹も減る。
どれほど望んでも、ダイエットに失敗する人たちが大多数であることを思えば、空腹の辛さがどれほどのものか、理解できるというものだ。

彼女は、リビアに行って、ラマダーンに参加しているが、その体験は、彼女が期待していたような、より宗教的な啓示を得るようなものではなかったようだ。
97%がイスラム教徒のリビアでは、みんなが参加しやすいように、絶食が少しでも耐えやすくなるように、いわば、お祭りのように行われているという。
夜になるとごちそうを食べ、みんな遅くまで起きていて、ラマダーン終了の日のギフトや服のショッピングを楽しんだりしているという。

でも、リビアのようなイスラム教徒の国々だけでなく、世界中のイスラム教徒が、今、現在(2013年7月10日)、ラマダーンに入ったばかりで、これから約1か月、日中の絶食を行い、神に祈りを捧げている。
騒乱中のエジプトでも、シリアの難民キャンプでも、ミャンマーロヒンギャ族も、そして、グランタナモ収容所のテロ容疑者たちも。
彼女も、アメリカ社会の中で、非イスラムの友人たちとの付き合いに不便を感じながら、30日間、空腹と、自分の欲と真正面に向き合って、戦うのだ。
等しく、イスラムの神に祈り、食べたくても食べれない人の苦しみに思いを馳せ、自分の意志のチカラを確認する。

僕は、宗教について、イスラム教について、何かを書ける知識はない。
とくに、イスラム社会のなかでの女性の人権などについては、さまざまな見方がある。
だけど、世界には、11億人のイスラム教徒がいる。
そして、その人達が、現在、日中の食事を絶って、消費一辺倒の資本主義社会とは一線を画した心情を共有している。

ともかく、凄いことだな、と思う。
そして、思った。

僕ら日本人には、そうやって、自分の欲を見つめ直し、対峙する機会があるんだろうか、と。
アメリカ人も、日本人も、SNSばかりに時間を使っていて、本当にいいのだろうか、と。


Photo by Thamer Al-Hassan