「温暖化を防いで、シロクマくんたちを救え」は、本当か?
温暖化を止めて、ホッキョクグマを救え! と、昨夜、一昨日の『NHKスペシャル フローズンプラネット 第2回「激変する氷の大自然」』を見て思った。
ところで、原発問題でその発言を参考にさせていただくことの多い、武田先生は、たしか、地球温暖化には、色々な嘘があると言っておられた。
もう、一度見てみた。
たしかに、武田先生は書いておられる。
『専門家は北極の氷の面積はほとんど変わっておらず、従ってホッキョクグマが温暖化で苦しんでいないことを知っていた。』 (ブログより)
これを読んで、原発問題と同じで、騙されたいたか、と思っていたのだが、サクッと調べてみたら、やっぱり、北極の氷の面積は減っている。
北極域の海氷面積の最小値は、1980年ごろ750万平方キロメートルから、2010年ごろの450万平方キロメートルへと大きく減少している。
ただし、南極の同値は逆に、1980年ごろ300万平方キロメートルから、2010年ごろの330万平方キロメートル、増加している。
*気象庁のホームページより
あれ、なんだか、武田先生の書いておられることとは、事実は違うようだぞ?!
ところで、武田先生は、
「北極・南極の氷が溶けて海水面が上がることはない」( 地球環境問題でまかり通る「常識のウソ」)
「「地球温暖化で水没する島」ツバルだが、現地を頻繁に訪れている学者に聞いたら、海水が噴出しているのは、元米軍基地の飛行場だけで、欠陥工事による地盤沈下が原因ではないかという話だった」( 地球環境問題でまかり通る「常識のウソ」)
とも書いておられる。
武田先生のこの部分だけ読むと、「なんだ、温暖化って嘘だったんだ」と思ってしまうが、本当だったのかな?
で、さくっと。
いや、やっぱり、海水面は上昇している。日本でも、近年は、3mm/年の上昇が観測されている。
また、今世紀中に海面の上昇は1メートルに及ぶという意見もある。(どちらもWiki)
武田先生は、「海水面が上昇していない」とはおっしゃっておらず、「温暖化と海水面の上昇に直接の因果関係があるかどうかはわからない面もある」、「極地の氷が溶けても海水面は上がらない」とだけおっしゃっているようである。
しかし、話の流れから、「海水は上昇していない」「温暖化もしていない」と読んでしまうひともいるだろう。
また、「因果関係が科学的に証明されていない」からと言って、複数の科学者が警鐘を鳴らしている海水面の上昇というリスクを、「詐欺、嘘」として、無視してしまって良いのかどうか、疑問が残る。
科学的に証明されていないことは、安全な道を選ぶ、という、武田先生の低被曝のリスクに対する考え方からすれば、武田先生の温暖化に対する考え方は、首尾一貫しないもののように思える。
ところで、シロクマ(ホッキョクグマ)に話を戻す。
シロクマの個体数は、25000頭程度と推測されているそうだ。
シロクマが夏季の氷の減少で、アザラシなどの餌を捕りにくくなっていることは、間違いなさそうである。
しかし、シロクマの個体数は、あくまで推定であり、現実に減っているのかどうかは、証明できない。
そもそもシロクマは、北極圏の植物連鎖の頂上に位置する動物で、生態が支えうる個体数の上限が、いまの25000頭である、という説もある。
かつてシロクマは乱獲のせいで、個体数は危機的な数まで減ったものが、環境の許す最大まで回復した、という可能性もある。
また、シロクマが人間の住む町にでてきて射殺されたりして、ニュースになっているが、イヌイットには、毎年700頭の狩猟が許されている。
どうも、僕は動物たちの物語に弱く、感情的に流されてしまう傾向にあるようだ。
シロクマの親子が餌を求めてさまよう映像には、ころり、といってしまう。
シロクマの危機については、温暖化が直接の原因である可能性もあるが、そうでもない可能性もある。
地球温暖化は、嘘ではなく、世界の喫緊の課題である。
が、それをシロクマの親子の映像と結びつけて論議するには、若干の注意が必要なようである。
( 写真は 男児着物 ウィンタースポーツ、ペンギンに「熊」! どうせなら、シロクマにしてよ!)