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ICHIROYAのブログ

元気が出る海外の最新トピックや、ウジウジ考えたこととか、たまに着物のこと! 

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アンジャッシュの『相席』に学ぶ、ユーモアの6つの秘訣




 上に貼ったのは、アンジャッシュの『相席』という傑作コントだ。
 このコントを未見のひとは・・・良かったですね!
 また、大笑いできますよ!

 さて、誰もがユーモアのある人間になりたいと思っている。
 だけど、笑いの神様はなかなか降りてきてはくれなくて、素人が「来てくれ!」と切に願ったときは、だいたい滑るものと決っている。
 基本的に、ユーモアというのは才能だと思うが、たとえばアンジャッシュのこの傑作コントだって、磨きに磨いてここまでのものになったのだろうし、学べる範囲の技巧の部分もあるに違いない。
 では、どうやって学ぶ?
 
 と、なんとなく考えていたら、今朝、こんなページをみつけて目が釘付けになった。

How to be funny: the 6 essential ingredients to humor(面白くなるには:ユーモアの6つの要素)

 元ネタはこの本。 

Comedy Writing Secrets

Comedy Writing Secrets

 

 
   記事によると、ユーモアの重要な要素は以下の6つであるという。

1,ターゲット
2,敵意
3,リアリズム
4,誇張
5,エモーション
6,サプライズ


 それぞれの項目を訳出し(” ”内、ただし意訳)、『相席』の場合で実際のところはどうなのか、考えてみた。
 分析してみたところで、自分がユーモアをものにできるものではないとわかってはいるが、いくつか腑に落ちたことがあるので、あなたにも役立つと嬉しい。
 では、どうぞ。

1,ターゲット

 ”ユーモアとは、エンターテイメントというマントを被った批判であり、常に具体的なターゲットを持っている。ターゲットはどんなものでも誰でも良いが、誰に焦点を当てているか、聴衆にはっきりと知らせる必要がある。ユーモアは、現状に対するチャレンジであり、ターゲッティングは聴衆の敵意と先入観を再認識させる必要がある。そして、ユーモアにたけたひとは普遍的なターゲットを選ぶ”
 
 『相席』のターゲットは、渡部の演じる、麻薬取締官(コントの中では刑事と麻薬取締官がごっちゃになっているようだし、僕も今そのことについて調べる時間がないので、この点について不正確であることは容赦いただきたい)である。
 彼は、東大を卒業して1年目で、国家試験に合格し、麻薬取締をやっており、それを、「昔からの夢で一生誇りをもって働ける仕事」と語る。
 庶民の目は、聴衆の主体は、ヤクの売人である児嶋にあり、批判のターゲットは、「世間知らずで、青臭く、馬鹿な」エリートだ。
 その視点は最後までぶれておらず、結末で、児嶋はうまく逃げ切って、このエリートの馬鹿さ加減がはっきりと示される。

2,敵意

 ”ユーモアは、私たちの日常にありふれた敵意のパワフルな解毒剤である。誰もが、誰かに対して敵意をもっている。コメディは残酷だ。一般的な敵意の対象は、権威、セックス、金、家族、怒り、テクノロジー、異なる集団など”

『相席』の敵意は、もちろん、青臭いエリートに向けられている。

3,リアリズム

 ”良いジョークは辛い真実を語る。真実に立脚しないものに、観客が共感することはない”

 『相席』も、リアリズムに満ちている。
 ひとつの言葉が、受け取り手によって、まったく違う意味にとられることはたまにある。
 また、誤解されたまま、話がすすんで、にっちもさっちもいかなくなることも、誰しも経験したことがあるはずだ。
 麻薬取締という、ふつうのひとにはまったく日常的でないネタを使いながら、『相席』が見せてくれるシチュエーションは、まったく『あるある』なのである。

 

4,誇張

 ”詩を読むときには、詩的な文章を受け入れる心構えがある。ユーモアを受け取るときも、またユーモアを受け取る心構えがある。それは、リアルなテーマをより楽しませてくれるとんでもない空想だったり誇張だったりを許す心の状態である”
 
 『相席』がリアリズムに立脚しながら、適度な誇張を取り入れていることは言うまでもないだろう。

5,エモーション

 ”聴衆の期待はどんどん高まる。演者(書き手)は、聴衆の感情をつかって緊張や不安を高める”

 『相席』では、おもに売人の児嶋の状況がどんどん悪化していき、ドラマのテンションがどんどんあがっていく仕組みになっている。
 児嶋にふりかかる不運は、これでもか!これでもか!!とばかりに次から次にふりかかるため、まるでサスペンス映画をみているような緊張感に包まれる。

6,サプライズ

 ”驚きは人々が笑うもっとも主要な理由のひとつである。コメディは聴衆が踏みしめているじゅうたんを引き抜くようなものだ。聴衆を立たせることができれば、じゅうたんを引き抜いて(サプライズ)ひっくり返すことができる”

 『相席』の場合は、いわば、シチュエーションそのものが、相当なサプライズなので、最後のサプライズに笑いが爆発するような仕組みにはなっていない。ひっくり返されるというより、剥けば剥くほど面白いという風になっている。
 だが、最後には、渡部が売人と間違われて拘束され、児嶋がまんまと逃げ切るというサプライズも容易されている。