短編小説8 『老紳士のひとり旅』

奇妙な雰囲気の人がいるなと気づいたのは、西表島のホテル、ニラカナイのジャングルブックカフェという施設に入った時のことであった。 そこはホテルのすぐそばまで迫っているジャングルの中に作られたオープンなカフェ空間で、鉄にビニールを張ったロッキングチェアが置かれ、本棚にはブルータスのボタニカル特集号とか、…