短編小説7  『水仙は死の香り』

ことのはじまりは、「7653」とだけ書いた謎の手紙がミラノに住む私のアパートに届いたことだ。 封筒に差出人の氏名住所はなく、宛名は手書き。スタンプは薄く、郵便局名は読めないが東京都から出されたものであることだけはわかった。便箋は和紙の縦書きのもので、中央にその罫線を無視して、ボールペンのようなもので…