あなたはラットが好きだろうか?
僕はとくに好きでも嫌いでもないが、上の娘が小学生のころ、学校から連れて帰ってきてしばらく飼っていたことがある。
なかなか可愛かった。手のひらに収まってじっとしていてくれる時もあるし、コタツの中に離すと飛び回ったりした。
やがて死んでしまったのだが、不思議なことに、死んだ時、彼女はケージの外で倒れていた。どうやってケージから出たのかわからないが、とにかく彼女(性別は不明だがおそらく女性)はもう命が尽きるという時、どこかへ行かねばならぬと思ったらしく、どういう手を使ったのかケージから抜けだして、部屋の真ん中で行き倒れていた。
いつも読ませていただいているPaul Jarvisさんの過去の推薦記事に「自分のラット・ピープルを探せ(Find Your Rat People)」というタイトルのものがあって、それを読んでいて、そんな昔のことを思い出した。
わかりやすい英語なので、ぜひ原文に挑戦していただきたいのだが、その記事を要約するとこんな感じである。
Paulさんはラットが好きで飼っている。
しかし、99%の人にとって、ラットはペットとして愛する対象ではない。多くの人はそんな趣味は奇妙だと言う。彼はラットを自分のトレードマークにもしているが、嫌いな人も多いからやめたほうが良いというアドバイスも受ける。面と向かって嫌悪を表明する人もいる。
だが、わずかではあっても、たとえそれが1%であっても、ラットを好きな人たち(ラット・ピープル)はいるし、そういう人たちが集まるコミュニティもある。そこにいる人たちはお互いを認め合って、自分が愛するものについて思う存分語ることができる。ほかの99%がなんと言おうと関係がない。
Paulさんは言う。「あなたのラット・ピープルを探せ」と。
つまり、あなたが愛するもの、あなたがつくるもの、あなたが売るものを、つまらないと言うひとが大多数であっても、気にするな。そういう人たちから悪口雑言を投げつけられるにしても、耳を塞いでしまえばよい。
どうせ彼らはあなたに、なんの喜びも与えてくれないし、1円の利益ももたらしてくれない。
全体から見れば、たった1%かもしれないが、あなたの作品、商品を好きだと言ってくれる人をみつけよう。そして、その人たちを心から大事にすれば、あなたは大きな喜びと利益を得ることができるだろう。
彼のこの記事はとても腑に落ちた。
一般的に、マニア向けの商売は硬いと言われるのだが、そのことをもう少し引いて考えるとたしかにそういうことになる。
そういえば、僕らのビジネスも当初、「着物の好きな外国人」だけがお客様であった。日本で着物が好きと言うことはそれなりにわかるが、たとえば、「着物が好きなアメリカ人」というのは、かなり特殊な人たちだったと思う。
まさに、当初のお客様は、Paulさんの言う「僕のラット・ピープル」であったような気がするのだ。
それは商売を始める時だけでなく、さまざまなこと、たとえばブログにも言えることではないだろうか。
あなたは99%の方を見て、その意見に振り回されていないだろうか?
あなたには、あなたのラットピープルはいますか?
photo by Alexey Krasavin