ICHIROYAのブログ

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百貨店のお正月の休みとサービス業の宿命

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 Reddit(アメリカの2ちゃんねるのようなもの)を見ていたら、面白い記事が上がってきていた。百貨店のノードストロームやゲーム専門店ゲームストップやディスカウントストアのコストコなどが、今年の感謝祭には営業をしない、自社の社員たちは感謝祭に休みをとって家族と過ごすことに『あたいする(deserve)』からだというニュースだ。

 記事の意味がわからないので、少し調べてみて、状況がわかった。こちらのページ(日本語)などを読まれると状況がよくわかるが、日本のお正月とよく似ている感謝祭(11月の第4目標日)の日は、従業員が家族と過ごす大切な日なので営業をしないという宣言なのである。

 ぴんとこないので、もろもろすっ飛ばして、昨今のアメリカの感謝祭とそれに続くブラックフライデークリスマス商戦)を、日本のお正月におきかえて説明してみる。
 

 お正月は国民の休日で多くの人が家族とともに新年を祝う。百貨店などのお店もたいてい休みだ。そして、2日には、百貨店などは福袋を用意し、あるいはマークダウンのセールをはじめ、人々は早朝から買い物に出かけるようになった。
 新年のセールがどんどんにぎわうようになってきたので、百貨店は開店時間を早め始めた。やがて、多くの店がそれに追随し、開店時間は早くなる一方。
 ついに、2日になった瞬間、午前零時に開店して、夜中営業するところが多くなった。
 そして、さらに早く顧客を集めて売上をつくりたい店が、さらに開店を早めて、お正月の夕方6時ぐらいから開店するところが増えてきた。


 そんな状況のなかだから、ノードストロームコストコが、従業員のために感謝祭当日には店を開けない、という宣言がニュースになったのである。

 さて、今年の日本の初売りだが、このサイトに紹介されているように、お正月に開店する店も多いようだ。
 僕が百貨店に入った30年前は、お正月の3日間は休業であった。やがて、営業時間延長の圧力が強くなり、3日が営業に、2日も営業になった。
 いまではどうか知らないが、はじめて2日、3日を営業するとなった時には、特別のご祝儀が出た。もちろん、労働組合も多少は抵抗し、お金で解決ということになったのであろう。
 12月の最大の商戦を大晦日までがんばって、正月の休みが2日しかないのか。若かった僕はおもいっきり落胆した。しかし、1万円だか、2万円だかのご祝儀はとても嬉しく、心の中ではぎりぎりの納得だったような覚えがある。

 しかし、それでも、少し後ろめたい思いがあった。スーパーやコンビニが、正月から店を開けているのに、百貨店は殿様商売だからお正月は堂々と休みなのだ。いったい、何様と思ってるんだ、というような世間の雰囲気を感じざるをえなかったのである。

 営業時間を増やせば、ある程度は売上はあがる。小売店などのエンドユーザー向けのサービス業は、どうしてもさらに売上が必要となれば、営業時間を増やすことが、もっともイージーな手段となる。
 お客様の利便性を向上させることがサービス業の本来の使命であるし、可能な限り営業機会を増やすことが、悪いはずがない。正月2日の営業が当然のごとくになったのも、お客様がそれを望んだからだ。そう言われるとぐうの音も出ない。
 

  やがて、日本のお正月も、ほとんどの小売店は営業する時代がくるのだろうか?
 ここ何十年の趨勢からすると、そうなると思わざるをえない。
 お正月1日から買い物に行きたい人はますます増え、それに対応するお店はますます増えるだろう。
 そして、お正月に家族と新年を祝うことのできない人たちが、さらに増えるだろう。
 そうなれば、ますます、お正月の意味と伝統は薄れていくだろう。

 それが良いことなのか、悪いことなのか、言ってみても始まらない。
 多くのひとたちがそれを望めば、そうなるのである。

 ちなみに、僕と嫁はもう歳だ。また1年、よく頑張ったと思う。
 スタッフのみんなも僕らも、長いお正月をいただくにあたいする(deserve)すると思っている。

 ということで、申し訳ありませんが、年末・年始は31日(土)から7日(日)までお休みをいただくつもりです。