イギリス国立公文書館の軍事日記のオンライン公開開始と『永遠の0』
イギリスの国立公文書館(The Nationa Archives)が、先日第一次世界大戦中に書かれた膨大な軍事日記(Opereation War Diary)のオンライン公開を始めた。(参照)
各部隊で公式に残された記録で150万ページにおよぶが、すでに約20%をデジタル化してオンライン上で閲覧可能となっているという。
Operation War Diary
25人のボランティアが映像化にあたっているということだが、現在もボランティアを募集しており、そのデジタル化、公開を急いでいる。
ページを見ていただければわかるが、それぞれの画像化されたページには、個別の情報、人名、日付、部隊名、場所などのタグがつけられ、そのタグをもとに検索できるようになっている。
このデジタル化、公開が完成すれば、第一次世界大戦に戦士として参加せざるをえなかった自分の肉親の足取りなどを、だれでも簡単に知ることができるようになる。
さらに、歴史研究者や一般市民に、正確な戦史を知る手がかりを提供する。
もちろん、それは戦場からの肉声であり、公式に認められる範囲ではあるけれど、兵士や指揮官たちの心情をも伝える。
文書には、本土へ送ることが許されなかった手紙も含まれているそうだから、よりその心情を生々しく感じることができるかもしれない。
さてさて、フェイスブックやツィッターを見ていると『永遠の0』に感動したというコメントにたくさん出会う。
僕も本を読んで、心情的にはかなり心を動かされた。
小説やフィクションを読むということが、いかに大事なのかということを、最近再認識しており、それをブログにも書いてきた。
だけど、「自分が生き残るために臆病に戦った天才ゼロ戦パイロット」という主人公の設定がリアルなのかどうか。多くの読者を得るための、より楽しませるためのコアとなっているこの人物造形と意外なプロットが、冷静に考えて、納得のいくものなのかどうかは疑問が残る。
そんなときには、やっぱり体験者の生の声が聞きたくなる。
それがネットで簡単に見れたらいいのに、と思うのは僕だけではあるまい。
『永遠のゼロ』が巻き起こしたものを思うにつけ、イギリスのこういった取り組みが、冷静で真に知的なもの、必要なものに思えるのだ。