子供の頃、植物にも「こころ」、意識があるという科学ニュースを、学研の『科学と学習』とかなにかで読んで大興奮した覚えがある。
そのニュースのもとは1973年に出版された『植物の秘密』という本だったようだ。
その本によれば、元CIAのポリグラフ技術者によって確かめられたことは、次のようなことであった。
自分が育てているドラセナという植物に火を近づける想像をするだけで、ポリグラフをつないだそのドラセナはストレスを感じてポリグラフの針を動かした。
あるいは、植物の前で卵を割ったり、生きたエビを熱湯に入れると、同じくポリグラフは反応をしめした。
また、ポリグラフをつないだ植物の前で、ある人間に植物を踏みつけにさせる。その後、何人かの人間といっしょにこの犯人をその植物の前に次々に連れて行くと、その犯人のときにだけ、ポリグラフははっきりした反応を見せた。
びっくりした。もちろん、世間は相当この話題に沸いた。
アメリカ本国でも相当な話題になったようだ。
子供ごころに、ああそんなこともあるかもしれないなと思ったことを覚えている。
その後、その手の話を忘れてしまっていたのだが、なんとなく植物にもこころがありえるのかなあと思いながら、あまり突き詰めて考えずに今日に至った。
まあたぶん、人間たちの犬に対する扱いを知ったり、平気で肉を食べている自分が、植物たちの運命まで背負い込むのは無理と知ってそれ以上考えるのをやめたのかと思う。
だけど、いまでもときどき、植物(作物や園芸用植物)をクラッシックを聴かせながら育てていますっていう人をテレビで見たりするし、ああ、たしかにハードロックよりもモーツアルトのほうが育ちが良さそうだなと思ったりする。
直近では、『奇跡のリンゴ』を読んで感動し、愛情と声をかけたリンゴの樹が元気に育つという話を、さほどの疑いも持たずに受け入れていたりした。
そういえば、植物にもココロがあるって、本当なのかな?
いまでもモーツアルトを流して植物を育てているかたがおられるということは、ある程度の真実が含まれているのかな?
しかし、そもそもこの話しの原点となった上記の実験は、誰も追試に成功せず、『植物の秘密』の著者たちは完全に信用を失っているそうだ。
なぜ、急にこんな話かというと、今朝、The New Yorkerのウェッブ版で、「植物の知性」に関する面白い記事をみつけたからだ。
The Intelligent Plant ( 知性ある植物 )
筆者のMichael Pollanさんが様々な植物学者に話を聞いてまとめた労作である。
その記事によれば、もちろん、植物には意識やココロは存在しない。
だが、植物はさまざまな刺激、たとえば、光、水、重力、温度、土壌構造、栄養、毒素、微生物、草食動物、他の植物からの科学的なシグナルなどに、まるで情報処理システムがあるかのような、統合された反応をする。
それは神経細胞をもつ我ら人間のような反応というより、昆虫などのコロニーが環境に対応する仕方に似ているかもしれない。
だけど、まだまだ解明されていない点はある。
たとえば、どのように作用しているのかは不明だが、セロトニン、ドーパミン、グルタミン酸塩などの神経伝達物質が植物のなかに発見されている。
また、最新の実験でも「音」に反応を示す証拠があるという。
毛虫が葉を食べる音を聞かせるだけで、それを防ぐための化学物質が生成されたそうだ。
あるいは、植物の根が、水の通っているパイプを音で聞き分けてそちらの方へ根を伸ばすことがわかったそうだ(表面が湿っていようと乾いていようと、水の流れるパイプを選んだことから、水の流れる音に反応したのではないかと思われている)。
あれあれ。
不思議な気持ちがむくむく立ち上がってくる。
鼓膜をもたない植物は、どのようにして音を聞き分けているんだろうか?
(続く)
PS 不思議でしょ? でも、この記事めちゃくちゃ長いんです。まだ、全部読めもしていないので、続きは全部読んでから、明日にでも書きます。
ただし、あんまり面白くない結論だったら、この記事に追記するカタチで書きますので、明日の記事が別の話題だったら、この記事に戻ってみてくださいね。
photo by Spreng Ben