Mediumが推奨するラジカルなブログの新スタイルは主流となるか?
BloggerとTwitterを相次いで立ち上げた(共同創業者として)Evan Williams氏がブログの新しいプラットフォームMediumを立ち上げたのは去年の8月。
話題にはなったものの、何が新しいのか、そのサービスがどこへ向かって、Bloggerやtwitterのように爆発するのか、各メディアも半信半疑だったようだ。
久しぶりに、のんびりした時間がとれたので、ブログの新しいプラットフォームがどんなものか、ちょっと試してみた。
Mediumという命名は、Twitterほど短くはない、ほどほどの長さの内容をもった文章のことを意味もあるようで(サイトでは、’something meatier'と表現されている)、それをクオリティを重視して共有する仕組みを目指しているようだ。
ためしにつくってみたエントリーはこんな感じ。
*比較的短い文章が推奨されている
すべてのエントリーには、おおよその読了までの時間が表示されている(読了時間1分、とか3分とか、5分とか)。
それぞれのエントリーの冒頭だけにではなく、一覧ページにも必ずそれが表示されている。
また、サイト側が想定している基本的なフォーマットは、数分程度で読める文章と横長の大きめの画像がひとつであるようだ。
ひとつのエントリーの最後に、次のおすすめエントリーが表示されるのだが、このフォーマット通りに登録すると、画像とタイトルをかぶらせて、ちょうど、以下の写真のように表示されるのだ。(ちょっと読みにくいが Read Next という文字があり、そこに次の記事へのリンクが貼られている)
(次のページに飛ぶと次の写真のように、ヘッダ位置に大きな画像、そして文章というように表示される)
*文章はすこぶる書きやすい
文字の入力編集をする画面は一種類のみで、モード切り替えなどは不要。そのページで簡単に太字にしたり、リンクをいれたり、Youtubeの動画を張りつけたり、すべてのことが簡単にできる。このページに、デモのようなものがある。
はてなブログも快適な仕組みだが、Mediumはさらにその上をいく。
*文章の右サイドの任意の位置に追記やコメントができる
下の画像は、自分でコメントを追記したところ。
また、文章のなかで特定の単語・文節を指定して、それに追記・コメントもできる(その右の位置に表示される)。
文の最後にではなく、該当の文章の横の位置に追記・コメントができるのは、なんだか新鮮である。
*草稿を仲間で校正・加筆修正する仕組みがある
草稿をShareするという仕組みがある。信頼できる仲間とだけその草稿をシェアして、ミススペルを指摘してもらったり、わかりやすい文章にするためのヒントをもらったりできる。
そのために、文章・文節を指定したり、すぐ横に書ける上の仕組みが生きてくる。
そして、修正を手伝ってもらったひとの名前が、”Thanks To Mary、Tom”などというようにブログの最後尾に表示される。
*「コレクション」という記事の分類がキーとなる
すべての記事は、「コレクション」というどこかのグルーピングに収納される。該当コレクションがない場合は自分でつくることもできる。
また、ひとつの記事を複数のコレクションに属させることもできる。
下の画像は、コレクションの一覧を表示させたときの、冒頭の部分。
自分の読みたい記事は、基本的にはこのコレクションからさがすことになる。
*評価を数値化しない
それぞれの記事は独自のアルゴリズムで評価されて、コレクションのなかでおすすめされる。
しかし、評価そのものは表示されない。
なにか数値化されたもので、記事の評価を知るすべはない。
「Recommend」というブログ最下部にあるボタンを押せば、評価することになるのだが、Recommendの数も3つ以上は表示されない。(メールで誰がそのボタンを押してくれたのかは知らされる)
TwitterとFBの共有ボタンはあるが、その数も表示されない。
なお、すべてのIDはTwitterアカウントと連動する。
*主役はあくまで記事で、書き手に関することや書き手同士のコミニケーション機能は最低限にとどめられている
記事の最後尾に記事の書き手のTwitterプロフィールが表示され、そこからそれぞれの書き手の記事一覧のページにいくことができる。
それぞれの個人のページには、「Most Recommended」(もっとも評価の高い記事)と「Latest」(最近の記事)に分類された記事一覧がある。
そのデザインは、あくまで記事が主役で、記事を書いたのが誰かは付随的なことであるという思想によるものだ。
また、評価を数値化しないこととあいまって、無理にでも「評価し合う」というような徒労を生まない仕組みになっているように思える。
*記事一覧には日付がない
現在のところ、記事の一覧のページには日付がなく、いつ書かれた記事なのかという点は、その記事を開いてみないとわからないようになっている。
それは、おそらく、「良い記事はある程度の期間、良い記事であり続ける」という見方であって、良いテキストは「日記」ではないし、すぐに陳腐化するような内容はほかのメディアでどうぞ、ということなのか、と思ったりする。
さて、少し触ってみて気づいたことはそんなところだけど、このサイトの仕組みは新しいブログのプラットフォームになるのだろうか。
Alexaで見ると、まだまだ分母は小さなものだが、順調に利用者は伸びているように思える。
僕もとってもいい感触をもった。
無理にでも毎日、あるいはそれ以上に書いて、コンテンツを増やさなければならない。
記事の完成度やコンテンツ充実度よりも、とにかく量を増やさなければ。
ほかのブロガーと交流しなけりゃ、ほかのブロガーの記事を読まなくちゃ、いいねボタンを押さなくちゃ、Twitterでつぶやかなくちゃ。
Retweetの数を増やさなきゃ、いいね!の数を増やさなきゃ、はてブの数を増やさなきゃ、スターの数を増やさなきゃ。そうでなけりゃ、カッコ悪いし。
はてブ数、読者数、アクセス数、数、数、数。とにかく、数字が気になる。
ブログを書き続けていると、どうしても、そんな思いにとらわれそうになる。
もちろん、僕も含めて。
しかし、ほんとうに読まれるべき文章は、そんな風に生まれないような気がするし、そのために浪費されるエネルギーの総量は相当なものだなと、残念に思ってしまうのだ。
Mediumが推奨するラジカルなブログのスタイルは、たしかに、ブログのあるべき論とは合致するのだ。
しかし、人間は弱い。つまらない記事でも、多くの人に読んでもらいたいと思い、なにかと汗を書くことをやって、数に一喜一憂するものだと思う。
Mediumのスタイルが、やがて、BloggerやTwitterのように、世界のブログの主流となるのか、とても興味深い。
そうなって欲しいものだが・・・