ICHIROYAのブログ

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「意義のある旅」の10のスタイル

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旅の季節だ。
僕にとって、旅のスターは、上温湯隆(かみおんゆ・たかし)さんだった。
実際のところ、彼の挑戦は、「旅」などというものではなく、「冒険」そのものであった。
すでに、40年も昔のことになる。
1974年、彼はラクダを伴って、サハラ砂漠単独横断旅行へ旅立つ。
そして、わずか23歳で、その命をサハラ砂漠に散らす。

サハラに死す―上温湯隆の一生

サハラに死す―上温湯隆の一生



高校生のころ、彼の本『サハラに死す 上温湯隆の一生』を何度も何度も読んだ。
なにが、彼をあんなに無謀な冒険に駆り立てたのか。
日本人が単独でサハラを旅するということだけで、相当、危険が伴った時代だ。
なぜ、彼はそんな冒険をして、若くして死ななければならなかったのか。
すでに本の記憶も曖昧だけど、当時の僕には、彼の思いは痛いほどわかった。

大学に入ってから、ろくに授業に出ず、というか、出ることができず、自分は何をすべきか、大いに迷った。
つい、ふらっと、体育会のアイスホッケー部に入ってしまい、気がつくと、バイトと練習だけの毎日になってしまっていた。
それで、「何かをしなければ」という焦り、「どこかに所属しなければ」という不安感は和らいだ。
資金稼ぎのバイトも練習もきつかったけど、心の平穏は保てた。

しかし、心のどこかに、上温湯隆さんのことがあった。
僕は、クラブの練習に耐えて、なんとか単位を揃えて卒業すれば、それでいいのか。
クラブなど辞めて、せめて「世界を見に行く」べきなのではないか。
そして、想像した。
サハラの大地に寝っ転がって、たったひとりで、満点の星空を見上げる。
近くには誰もいないが、サソリが忍び寄っているかもしれないし、いつ強盗が現れてホールドアップに合うかもしれない。
恐ろしくて、身震いした。

で、この時も、逃げた。
クラブに逃げた。
プロフィールを見ていただければわかるが、逃げてばかりの人生だった。
まね事だけはした。
京都から札幌まで、ヒッチハイクと野宿で往復した。
数年後、インドへ一人旅をしたが、相変わらず、そこでも逃げた。

でも、ともかく、時代は変わった。
今では、昔に比べたら、はるかに気軽に、海外へバックパック旅行に出ることができるようになった。
ネットでの連絡も簡単になり、危険度ははるかに低くなった。
そして、多くの若者が世界旅行をして、こう言っている。

「インドを見たって、世界旅行したって、人生観もなにも、全然、変わらない」と。

本当かな、とも思う。
少なくとも、僕は、若いころに見たインドは、衝撃だった。
今の時代は、現地に足を踏み入れて、その空気の匂いを嗅がなくても、たいていのことは知ることができる。
たとえば、インドの恐ろしさ、人間の命の軽さは、映画「スラムドッグ・ミリオネア」を見れば、リアルに想像できるので、現地を訪れても、その衝撃は薄いのかもしれない。

でも、また、いつか、「意義のある旅」をしたいと思う。
若いかたにも、どんどん、「何かをみつける旅」をして欲しい。

旅行に関するページを見ていて、たまたま、見つけたこのページが面白かった。

An Illustrated List of People Who Do Good When They Travel
( 「意義のある旅」をする旅行者のイラスト解説 )

「Do good」は「良いことをする」だけど、かってに、「意義のある」旅と読み替えた。
このページには、すぐにわかるものもあるけど、僕らに馴染みのないいくつかの旅行スタイルも紹介されている。
このページを読んで、冒険するだけが、ひとりで危険なところへ行くことだけが、意味のある旅行ではないのだ、ということがよくわかった。
たしかに、欧米の若い連中は、世界中のどこへ行っても、そこで色々な活動をしているイメージがある。
そこで、素敵なイラストとともに、紹介されている「旅のスタイル」としてリストは、10個。


1. The Conservationist(自然保護活動家)

2. The Travelling Teacher(海外で教師をする)

3. The Doctor Overseas(海外で医師をする)

4. The Orphanage Volunteer(孤児ボランティア)

5. The Builder of Things(井戸や建物を建築しに行く)

6. The Community Worker(発展途上国のコミュニティ向上のために働く)

7. The Fundraiser(冒険などをして注目を集め、寄付金などを募る)

8. The Couchsurfer(カウチサーファー)

9. The WWOOFer(ウーファー

10. The Eco Traveller(エコ旅行者)

 

カウチサーファーというのは、すでに知っているひとも多いと思うが、節約旅行者に、自分の家のカウチ(簡易ベッド・ソファー)を提供しあうことで、世界中で大きなコミュニティになっている。
日本じゃどうだろう?
たぶん、まだ、あんまり一般的にはなっていないと思うが、まずは、自宅に旅行者を迎え入れてあげることから始めなければならないだろう。

WWOOFerというのは、まったく、初耳だった。
これは、自然農法などをしているため手のかかる農場に行って、その農作業を手伝うというものだ。
もちろん、こういったところを見つけて働くためには、事前にそういった活動をしている団体とコンタクトをとっておく必要がある。

上温湯隆さんの旅・冒険は、ファウンドレイザー(Fundraiser)にあたるだろう。

とくにアメリカでは、途上国の孤児を受けいれることに積極的だけど、それは、「孤児のためのボランティア」をするために、その国を訪れる、ということもベースとしてあるのだな、とこの記事で気づいた。

ともかく、旅と言っても、たしかに色々なスタイルがある。
その地を訪れて、匂いを嗅ぎ、お金を落とすだけでも、意味はある。
だけど、その旅行を、さらに「意義のあるもの」にする方法も、上記の10個にかぎらず、無数にあるだろう。

いつか、また、長い旅に、こんどこそ、「意義のある旅」に出ようと思う。
上温湯さんほどの度胸はなくても、自分のやり方で、その旅を意味のあるものにすることはできるだろう。

「意義のある旅」に出よう。


*そういえば、安く海外旅行するために、こんな方法もあるようなので、ご参考までに。(以前のエントリー)

資金12万円で、12年間海外旅行し続け、自己実現した方法


Photo by girish_suryawanshi