ICHIROYAのブログ

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Googleの人事担当重役が語った「採用」の最先端技術(成績でも面接でもなくビッグデータで!)




人を雇うのは、本当に難しい。
僕のところは、小さな会社だけど、それでも、ここ10年の間に、300人ぐらいの履歴書を読み、面接したような気がする。
小さな会社なので、間違ったひとを採用してしまうと、倒産にだってつながりかねない。
その分、採用には必死である。

で、採用する側になってわかったことがいくつかあるのだけど、

(1)履歴書と面接で、その後の仕事への貢献度を予想するのは、無理。
(2)致命的な問題をおこすのは、面接で即採用したような人のなかにいる。
(3)仕事に臨む態度に関しては、わかるポイントはある。

ということだ。

面接ですぐに採用を決めたひとというのは、もちろん、頭の回転も早く、人当たりも良い。だから、スタッフの間にも、一定の影響力をもつことになる。
だけど、それで、経営者の思う方向に向かってくれればいいのだけど、違う方向に行こうとするひとがたまにいる。それも、頑固一徹に。
それで頭がよく、ほかの従業員からも慕われていると、会社の土台が揺らいでしまう。
そういうひとを採用の段階でみつけることは無理だ。

僕が面接で必ず尋ねることがある。
「今日はどうやって来ましたか?」
うちの事務所は駅からあるいて5分ぐらいだ。ビルの駐車場のうち、いくつかは、うちが借りている。また、隣には、タイムパーキングがあり、反対側には、大きな駐車場つきのドラッグストアがある。
「車で」と答えたひとには、さらに聞く。
「どこに停められましたか?」
答えは、3通り。

(1)「このビルの駐車場に(どれがICHIROYAの駐車場かわからなかったけれど)」
(2)「ドラッグストアの駐車場に」
(3)「タイムパーキングに」

じつは、(2)と答えるひとが一番多いが、(3)と答えた青年もいた。
あるひとは、(1)と答えたので、すぐに車を移動させてもらい、面接を続けた。それ以外の面接での印象が良かったので、採用したら、初日から遅れてきて、しかも、厳しくきいたら、車できて、ドラッグストアの駐車場に停めてある、という。
このひとには、参った。
以来、面接では、必ずこの質問をし、それに対する答え、答え方を慎重に聞くことにしている。


「英語の能力」というような、ある程度明白な能力も、事前に知ることは案外難しい。
TOEICの点が高くても、お客様に心のこもった英文のメールを書けるとは、全然限らない。
英語の必要な職種の採用には、面接時に英文を書いてもらうのだけど、その出来から、ある程度のことはわかるが、それでも、買いかぶってしまうときもあったし、反対のときもあった。
あるひとは、「英語は読むだけで、書けません、書いたことないです。TOEICも受けたことないです」って言うので、写真撮影や発送をしてもらうスタッフとして採用した。
しばらくして、試しに英文を書いてもらうと、やけに、うまい。
いつしか、彼女は、うちで最高に格調の高い英文ライター・メールスタッフになった。
彼女は、Kazuro Ishiguroなどのファンで、昔から原文でたくさんの文学作品を読んでおり、たぶん、繰り返し繰り返し読んだのだろう、その格調高い文章が彼女のものに消化されており、お客様宛のメールを書いてもらっても、それが滲み出てくるのだった。

結局のところ、悟ったことは、上に書いた3つの点で、採用なんて、株への投資みたいなもので、わかっているつもりで選んでも、結果は、博打みたいなものだってことだ。


なぜ、今、こんなことを書いたかというと、たまたま、グーグルの人事担当重役が、面白いことを語っているのをみつけたからだ。(こちらの記事

彼が言う。

どこの大学を出たかや、学業成績は、仕事の能力との相関は薄い。
しかし、一般的に、人事採用担当者というものは、「採用はいわばアートであり、自分には、応募者の能力を見抜く技術がある」という風に思っている。
では、いったい、自社の誰が、もっとも業績を上げているものを採用したか、という調査を、大々的におこなった。
その結果は恐るべきもので、面接や学業成績による採用時の評価と、仕事での貢献度の相関は、ゼロだった
面接での評価もあてにならず、一時期流行った、へんな質問にいたっては、採用担当者の自己満足で、単なる時間の無駄とわかった。
いままでは、ほかに能力を測る基準がなかったので、相関は薄いとわかっていながら、学歴や成績を参考にしていたに過ぎない。

では、現在、どうやって応募者を評価して採用しているのか。
この記事によれば、面接では、唯一、「行動・態度に関する一連の質問」が有効であるという。それの結果は、部分的には有効である、という。
つまり、僕が上に書いた、「車どこに停めましたか?」みたいな質問を、いくつか重ねて行うのであろう。

そして、さらに重要な点は、要はデーターの活用である、という。
データーを積み上げたものは、事実であって、面接の時だけ、偽ることはできない。
しかし、この部分は、多く語られていない。
もちろん、それは、他社には教えられない、採用に関する重要なポイントだからだ。

でも、ヒントはある。
たとえば、この記事には、LinkedInやTalentBinなどの会社が、どうやって、採用の候補者を見つけるか、そのために、どうやって、データーを集めているかが、ある程度述べられている。
どうやら、FBやTwitterなどのソーシャルメディアなどでの発言、行動などを、逐一データーとして蓄積し、多面的に数値化しているようである。
そして、そのデーターを、すでに働いている人たちの評価とリンクさせて、どの程度の業績が予想できるか、採用前に提供しようとしているようだ。
上に貼ったのは、Talent Binのプロモーション動画だけど、やっていることのイメージがよくわかるので、英語だけど、ぜひご覧いただきたい。

そして、この分野では、Googleが一歩先んじているという。
そりゃそうだ。
Googleはもっとも進んだ検索技術をもっているので、本気でやろうとしたら、相当なことができてしまう。
考えてみたら恐ろしい。( まさか、とは思うが、Gmailだって、提供しているのだ!)

ということで、諸君!
とくに、学生諸君!
TwitterやFB, ひょっとして、匿名と思って安心している様々なネットサービスでの発言が、いちいちデーターとして蓄積され、採用試験に行ったら、すでにぜんぶお見通し、というような未来が、すぐそこまで来ているのだ。
面接術や履歴書の書き方などは、ゴミ箱行きだ!
面接でそつなく答えたり、集団面接でリーダーを努めたりすることよりも、要は、君が普段から、何を考えて、何を言って、何をやっているのか、それが一番問題だ。
そして、それは、Google様を始め、大きな会社はお見通しなのだ。


ほんとうに、それが良いことなのか、どうか、ちょっと疑問は残る。
だけど、ともかく、そんな時代がやってきたってことは、肝に命じておいたようが良さそうだ。