「ガリア服を着たマリー・アントワネット」
古い着物の中に薔薇の模様をみつけると、特別な気分になる。
儲かりそう!というのではない。
いや、それもあるかもしれないけれど、とりわけエレガントな気分になるのだ。
薔薇は、いまではごく普通の花で、せいぜい、何百本とかまとめないと、話題にもならないけれど、大正から昭和のはじめごろは、憧れの西洋の花だった。
日本にも昔から薔薇はあったのだけど、「ラ・フランス」のようないかにも薔薇らしい薔薇はなく、それも、明治政府が取り寄せて栽培を始めたものだ。
最初は、皇族・華族・高級官僚らがパトロンとなり、やがて、庶民にも広がっていく。
第2次世界大戦をはさんで、さらに人気は高まり、鳩山一郎や吉田茂らにも愛され、薔薇園の開園なども盛んになった。 (Wiki参照)
薔薇はもちろん、いまでも人気の花で、さまざまなデザインに見ることができるけど、昔の着物に見る薔薇は、当時のストレートな憧れの気持ちが反映されていて、心に響く感じがする。
たとえば、最近ゲットしたこの薔薇の銘仙はどうだ。
赤い小さな薔薇が、まだつぼみのものも含めて、たくさん散らされている。
とても素直な、良いデザインだと思うのだ。
ちょっと抑え目のデザインなので、インパクトのある帯を合わせることで、コーディネートの妙を楽しむこともできる。
乙女ごころだけでなく、吉田茂をとりこにしたように、僕のようなオヤジのこころも奪ってしまうのだ。
by kakeyzz----
ところで、薔薇の品種改良も、不可能を可能にする科学の歴史そのものであった。
1900年以前は「黄色の薔薇」はなかったし、最近、サントリーがブルーローズを発表するまで、「青い薔薇」も存在しなかった。
ただし、サントリーの青い薔薇は遺伝子操作によるものだし、それにしても、その色は、青というより、紫である。(下の写真)
空のように、海のように「青い」薔薇というのは、いまでも、あいわらず「不可能な」薔薇なのである。
また、「まっ黒な」薔薇も、同様に存在しない。
しかし、いつか、突然変異をきっかけに、「真っ青な」薔薇も「真っ黒な」薔薇も作り出されるかもしれない。
それまで、生きていたいものじゃのう~