ICHIROYAのブログ

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学生時代のマドンナに会いに行く




モテない男たちのだれもが心に描くファンタジー。

若いころ、心をよせても相手にもされなかった、クラスのマドンナに、歳をとってから、大いなる成功者として会いに行く。

若いころ、モテない自分が悔しくて、それをバネに、懸命の努力をした。
学生時代、根暗なオタクと思われていたが、Webサービスのベンチャー企業を起こして大成功した。
ときに思い出すのは、マドンナのことだ。
相手も、自分も、すでに、40代。
すでに、自分は名を成している。
しかし、かつてのマドンナの噂は聞かない。
たぶん、誰かの奥さんになって、また、母になっているだろう。

決意を固めて、会いに行くと・・・


ニュー・シネマ・パラダイス』は、大好きな映画のひとつだ。
映画に対する深い深い愛情と、男の友情がノスタルジックたっぷりに描かれていて、鳥肌が立つほどに感動した。
しかし、僕が最初に感動したのは、短く編集された、劇場版で、あとでそれと知らずに完全版を見たら、話が大きくかわっていた。
時間が長い分、上に書いたファンタジーが主題のひとつに加えられているのだ。
映画監督として成功している主人公が、かつて、自分を選ばなかった女性に会いに行ってしまうのである。
この完全版のほうは、賛否がわかれているようである。
僕も、その部分はあまり好きではない。
時間は残酷だ。
そして、生々し過ぎる。
それが人生だ、と言ってしまえばそれまでだけど、ノスタルジーの美しさとは相容れない。


ところで、現実に、そんなことをして、その様子を書いたひとがいる。


アメリカの人気コラムニスト、ボブ・グリーンである。
すでに有名になったボブ・グリーンが、わざわざ、用もないのに、学生時代の憧れのマドンナに会いにいくのである。
そこで起きたことは、まさに、想像どおりのことであった。
学生時代、目立たなかった彼は有名人となり、彼女はただ歳を重ねて、輝きを失っており、ボブ・グリーンを眩しく見上げる。

一時、ボブ・グリーンが好きで、たくさんのコラムを読んだ。
なぜか、いま覚えているのは、まじめな車掌さんの話と、この話だけだ。
ボブ・グリーンは好きだが、ひどいことをするなあ、と思う。
コラムを書くために、彼女に会いに行き、輝きを失った彼女のことを、コラムに書いた。
たぶん、彼は、彼女のことを、ほんとうには好きではなかったのだろう。


ところで、そんな境遇に、僕がおかれることは、ない。

僕が、いまから、名を成すような大成功をするはずがない。
重々承知している。

名を成すような成功がない、ということは、なんと安心なことか。

僕も、そして、たぶん、かつて憧れたマドンナ諸君も、代わり映えのしない歳を重ねて、単なるジジババになってしまっている。
まあ、それも、嬉しいことではないか。
結局、みんな、かわりばえのしないジジババになって、上も下もない。

あっ!

僕がそんな境遇におかれることのない理由、間違ってました!
大成功をしないから、そういう境遇におかれないのではなく、そもそも、最高のマドンナと結婚したので、まったく、そんな気が起きないのでした!

あしからず!