ICHIROYAのブログ

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絶対、喧嘩に負けない唯一の方法

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Photo by XxBMW85xX


大学時代、本気で、アイスホッケーをやっていた。
前歯も一本失った。

アイスホッケーというのは、どんなスボーツかは良く知られているけど、関西でやっていたというと不思議な顔をされる。
ちゃんと説明すると、話が長くなるので、いまは、大学に体育会のアイスホッケー部というのがあり、リーグ戦などがあって、それを目指してがんばっていた、というにとどめる。
東京や北海道のリーグ戦のレベルに比べると、正直言って、お話にならないレベルではあった。
しかし、日本のレベルそのものが、本場カナダなどに比べると、大人と小学生ぐらいレベルが違うと、元全日本の選手に聞いたことがある。
万一、アジアホッケーリーグ級のプレイヤーがこの文章を読まれたら、レベルはさておき、アイスホッケーを愛して、4年間、ホッケーのみをやって過ごしたものが書いたものとして、至らぬ点はご容赦願いたい。

それはそうと、アイスホッケーというと乱闘シーンでおなじみである。
パックを追ってフェンス際で激突。
ふたりのプレヤーが小づき合いを始め、グラブを放り投げ、殴り合い。
そこへ両チームのプレヤーが駆けつけ、ベンチからもプレヤーが出てきて、大乱闘。
という、あれである。

しかし、おおむね、ああいった集団の乱闘シーンは、あまり危険ではない。
僕もある社会人チームとの試合で、敵チームの標的にされ、氷上にひっくり返されたうえに、集団でボコボコにされたが、歯が折れるほどには、殴られず、ことが終わって立ち上がってみたら、どこにも怪我はしていなかった。

たぶん、男たちが競うほかのスポーツでも同じだと思うが、大事な試合では、とにかく勝つためには、いろんな駆け引きをする。
ある試合では、きつくボディチェックした先輩に、相手チームのディフェンスが寄ってきて、「試合終わったら、◯◯の前に来い」と凄んでいった。
そいつの台詞は相当迫力があったらしく、ピリオド間に、こんなこと言われた、と言った先輩の表情に少し怯えの色が見えた。

「放課後の決闘」に、先輩は行かなかったけれど、ほんとうに、怖い連中がいるのだ。

ある試合で、事故があった。

僕らの時代は、ヘルメットはかぶったけど、いまは必須となった、顔面をおおうネットやフェースガードはつけなかった。
パックやスティックが顔にあたって裂傷をおうことはしょっちゅうで、汗でガーゼが落ち、頬に縫い糸を剥きだしに垂らしたまま、試合や練習をする姿が、また、マッチョでかっこいいと思っていた時代である。
そんな僕らをも凍りつかせるような事故である。

事故のことを詳しくは書かないが、事故の原因をおこしたのは、乱暴者でよく知られていたプレヤーであった。
もちろん、故意にしたことではない、とそのプレーヤーは謝罪した。

が、僕を含め、みんなが思った。

やつは頭に血が上ると、何をするかわからない。
やつとは、喧嘩はできない。
やつと喧嘩しても、絶対に、勝てない、と。

そうなのだ。

普通の人間は、何をするかわからない相手とは、喧嘩にもならないのである。
また、それが本当かどうかは別にして、何をするかわからない相手だと思った時点で、勝負はついてしまうのである。


で、普通の人間である僕らは、どうすべきか。
やはり、逃げる、が勝ちである。

現場を見たわけではないが、ある先輩は、頭に血が登った相手プレーヤーから逃げて、リンクの外に出て、あげく便所に逃げ込んだそうである。
試合中にあった、ほんとうの話である。


ちなみに、僕も前歯を失うという、マッチョの勲章をいただいている。
勇猛果敢なプレーの結果である。
練習中、まだへっぴり腰の僕は、先輩の強烈なチェックをくらって、フェンスに顔から激突。
便所の鏡の前。
口の血を吐き出して、鏡を見たら、右の前歯が欠けていた。
僕は嬉しくなって、ひとり、にやり、とした。

これで、おとこに、なったぞ、と。

いざとなったら、前歯の欠けたこの顔で、にやりと、攻撃してやるのだ。

どんな相手だって、吹き出して、逃げる隙ぐらい与えてくれるに違いない。