ICHIROYAのブログ

元気が出る海外の最新トピックや、ウジウジ考えたこととか、たまに着物のこと! 

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きのう自殺騒動をおこしたT.Kくんへ

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きのうの朝、たぶん君は、救急隊員に起こされてびっくりしたんだろうね。
僕が、救急車を呼んだんだよ。

夜中の三時ぐらいまで、メールか、フェイスブックで、海外の友人たちとやりとりをしてたんだろう?
君は英語が堪能なんだね、きっと。
で、睡眠薬か何かをたくさん飲んだって、フェイスブックの友達に言ったんだよね。
君が最近女の子にふられて、落ち込んでいるのを知っていたから、みんなそれを信じて、とっても心配したんだ。

君が死んじゃうんじゃないか。
お医者さんに連れて行かなくちゃ。
でも、その友達はフェイスブックの知り合いで、みんな海外在住だ。

で、ドイツのA.Aくんが、早朝からフェイスブックにログインしていた僕に、チャットで話しかけてきたんだよ。
朝の6時過ぎ。
僕はやらなきゃならない仕事に追われていたから、A.Aくんにチャットで話しかけられて、困った。
すぐに打ち切ろうとしたら、

「友達が危ない。すぐに、医者がいる」と言うじゃないか。
僕はチャットを打ち切ることができず、「医者ってどういうこと?」って聞いた。

そして、その事情と君の名前と住所を教えられた。
全部ローマ字だけど、それは名古屋の正確な住所のようだった。

A.Aくんは、ドイツ人で、日本語はダメ。
お互い下手な英語のチャットで、話し合う。
僕は半信半疑だったけど、A.Aくんが心底心配していることだけは疑えなかった。

チャットを開いたまま、119番に電話する。
電話に出てくれた救急隊員は、丁寧に話を聞いてくれるが、フェイスブック、チャット、名古屋の君、ドイツのA.A君、そして富田林の僕、あまりに話がややこしく、伝えることが難しくて、もどかしい。

結局、現地の119番に直接電話して救急車の要請をしてくれ、といわれ、現地の救急番号を教えてもらう。
その番号に電話して、もう一度、最初から話す。

「フェースブック、ってわかります? はい、で、チャットで、ドイツのひとから・・・で、僕は、大阪の富田林にいて、着物を輸出している関係で、海外の・・・」

現地の救急隊員の方は、なんとか話を飲み込んでくれて、伝えた住所に、その苗字のひとが住んでいることを、すぐに確認してくれた。
ますます、信憑性が高くなり、気があせる。
間に合うのか・・・

で、救急隊員のひとが僕に聞く。
「それで、どうしますか? 出動しますか?」
「出動するって? ぼくは知りえた事情を、こうやってお伝えしているだけで、身内ではありませんよ」
「しかし、われわれは、出動依頼がないと、出動できません。だれの依頼でもいいのですが、われわれが自分で必要性を判断して出動することはできないんです」
「じゃあ、僕が出動を依頼するとして、万一、何かの間違いだったら、それは、僕の責任になるってことですか?」
「そうです」
「・・・」
「でも、責任といっても、駆けつけても不要だったということもありますから、万一の場合も、あなたを責めることはありませんよ」


A.Aくんの心配がほんものであることは間違いない。
しかし、そこからさきは、まったく判断がつかない。
震災のとき、海外経由のTwitterで助かったひとのことが頭をよぎる。
狂言の可能性もあるが、万一、ほんとうだったら・・・



「わかりました。出動してください」
「了解です。では、いまから電話番号を言いますから、◯◯署にも電話をして、事情を説明しておいてください」
「警察ですか?」
「鍵を破って入る必要があるかもしれません。その場合は、私たちが勝手にそうするわけにはいかないので、警察の判断が必要になるんです。こちらからも連絡しますが、事情をよく知った人に話してもらったほうが伝わりやすいですから」

チャットで待機しているA.Aくんに、救急車は出たから安心せよ、とまず伝える。
◯◯署に電話して、同じ内容を話す。

「わかりました。通報ありがとうございます。結果がわかれば、お伝えしましょうか? 個人情報の関係で、言えない場合もありますが」
「はい、言える範囲で結構ですので、教えてください」

その頃ようやくわかったことだが、A.Aくんによれば、薬を飲んだのは、ヨーロッパ時間の夜9時、日本時間では深夜の3時ごろだという。
3,4時間で処置できたら、なんとか助かるんじゃないだろうか。

時差の関係で、すでに深夜になっていたドイツのA,Aくんは、ひとまず安心して、フェイスブックを離れて寝にいった。
何回も、何回も、何回も、僕に礼を言って。
僕も仕事に戻った。

そして、1時間後、◯◯署から電話があった。
教えていただけたことは、ひとこと。
「Kさんの無事は確認できました」
それ以上のことは聞けず、僕はご足労をおかけしたことをお詫びして、電話をおいた。

ふう。
狂言だったのか。
しかし、ぼくに、ほかにどんな判断ができただろう。
もし、A.Aくんの話を打ち切っていたら。
そして、もしほんとうだったら、救える命を、「僕が」見殺しにすることになったのだ。

A.Aくんに、フェースブックでメッセージを送る。
彼は、無事、と。

わずか短時間だけ寝て起きてきたA,Aくんは、信じられないという。
なので、僕も、はっきり言う。
心配させて気をひくのが目的だったんだよ。海外の友達なら、実際に救急車を呼んだり、警察に連絡しないと思ってたんだろう、と。

それでも、A.Aくんは納得いかないようだ。

救急車を走らせて、警察までお世話になり、予定していた仕事もできず、僕は何をやっていたのか。
T.Kくんの狂言に腹がたち、せいぜい、明日のブログにおもしろおかしく書いてやるか、と思った。

でも、また、A.Aくんからメッセージ。
T.Kくんのフェースブックアカウントが削除されている。
やっぱり心配だ。

T.Kくん、どういうことなんだ。

君が女の子にふられて落ち込んでいたのはほんとうだろう?
で、ちょっと、友達を驚かせよう、心配させたい、と思って、つい、薬をたくさん飲んだなんて嘘をいったんだろう?
死ぬ気なんて、もうとうないんだろう?

なぜアカウントを削除してしまったんだい?
みんなあれだけ心配してくれたんだぜ。
心配させたことを謝るべきだ。
君の出来心でひと騒動になったけど、それはもう仕方がない。誰だって失敗する。
僕もいつも失敗ばかりで皆に迷惑をかけている。
でも、フェイスブックの友達は、A.Aくんは、また、ひどく心配しているぜ。
みんな君のことが好きで、心配しているんだ。

この顛末を冗談めかして書こうと思っていたけど、A.Aくんの心配が僕にも伝染してきた。
君は救急隊員から、救急車を呼んだ僕の名前を聞いたかもしれないし、フェースブックでつながっていることから、僕のこのブログを見にきているかもしれない。
だから、この文章をここに書いているんだ。

もう一度言うが、皆、君のことが好きで、ほんとうに心配しているんだ。




ほとんどないとは思うけど、まさか、君は死ぬ気なんじゃないだろうな。
君がそんな風だと、救急隊員が、それを見逃しはしないし、しかるべきところに連絡してくれているはずだ、と思う。

でも、でも、万一のときのために、言っておくけど、A.Aくんや、フェースブックの君の友達も、心底君のことを心配しているんだ。
君がいないと、とってもさびしく思うひとが、ほかにも、たくさん、たくさんいるはずだ。

いまでは削除してしまった君のフェイスブックのアカウントのプロフィールの写真を見たよ。めっちゃ、男前じゃないか!
まったく、君みたいなイケメンが、女のひとり、なんだって言うんだ?
いつだって死ねるんだ。
でも死んでしまったらそれきりだ。
もっといい女に出会うチャンスはもうなくなってしまう。
せめて、もう1年、生きてみろよ!
世の中におさらばするのは、それからでも遅くない。

さあ、だから、

もし、君がこれを読んでいたら、

まず、フェイスブックのアカウントを復活させて、

A.Aくんたちに、ハローっていうんだ。


PS  この記事を書いたのち、A.Aくんに連絡し、このページのリンクを本人に送ってもらいました。
このページの内容は、T.Kくんに伝わりました。
このページを掲載しておいてよいものか心配になったので、T.Kくんに確認してもらったところ、掲載しても良いという了解をいただきましたので、地名、名前を替えて、掲載しつづけることにしました。
T.Kくんは、大丈夫です! あ、T.Kくん、知りもしない君に、偉そうなこと言ってごめんね! ま、僕は、ちょっとだけ(笑)年上なので、許してください。