ICHIROYAのブログ

元気が出る海外の最新トピックや、ウジウジ考えたこととか、たまに着物のこと! 

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僕の夢と、夢のまた夢

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アンティーク伊勢型紙

「Katagami 世界が恋した日本のデザイン~もうひとつのジャポニズムStyle」と題する展示会が東京の三菱一号館美術館で開催されています。

*東京展 三菱一号館美術館 4月6日(金)~ 5月27日(日)
 京都展 京都国立近代美術館 7月7日(土) ~ 8月19日(日)
 三重展 三重県立美術館 8月28日(火)~ 10月14日(日)

すでに行かれたかたもおられると思いますが、西洋の人たちによって収集され、西洋に渡って、アール・ヌーヴォーをはじめとする西洋の美術工芸改革運動に大きな影響を与えた、伊勢型紙を展示する画期的な展示会のようです。

ご存じのように型染めの型、伊勢型紙は、柿渋で張り合わせた和紙を、彫刻刀で切り抜きつくられたものですが、その彫りの技はまさに神業といってよいもので、型染めで染められた布を見るときとは、また、異なる感動を呼び起こすチカラをもっています。

さて、僕はこの展示会のことを知って、嬉しく思うとともに、またか、という思いを強くしました。
「西洋に渡って」とか「西洋人が収集して」、「西洋で評価された」という冠があってはじめて、日本の人たちは、その素晴らしさを再認識する。
こういったことは、また、いつものように繰り返されていくのですね。
浮世絵しかり、若冲しかり、根付しかり、です。

日経さんの展示会紹介のコラムには、なぜ、型紙が海外へ流出したのか、海外の方が、なぜ、コレクションしたのか、興味がある、ようなことを書いておられたように記憶していますが、話は、簡単です。
日本では、染の技術の進歩で、需要の減った型紙は、たんなる「道具」とみなされて、安く売りさばかれた。その美しさ、素晴らしさに驚嘆した外国人が、大量に買ってかえった、ということです。

だって、うちだって、大量の型紙を、ここ10年で、海外のお客様に販売してきたんです。
日本のお客様より、海外のお客様のほうが、型紙に対する評価は高く、つまり、高く売れるので、市場でまとまって出た型紙などは、競り負けることはほとんどなく、また、サイトで販売すれば、ほとんど完売してしまいました。
僕らを叱らないでくださいね。
誰が買うにせよ、モノは売買されてこそ価値が生まれ、その価値は、売買価格がものさしになります。
高く買われたものは、それだけ、価値があるとみなされ、大切にされる、ということになります。
僕達が売らなくても、海外でのほうが評価が高いものは、必ずほかのひとが売って、海外に渡っていくだけのことです。

このように、まさに伊勢形紙のように、価値のある日本の美術工芸品は、いまなお、海外流出が続いているのです。
そういった状況におかれているものは、ほかにもあるのではないかと、思いますが、古い着物、染織品もまさにそういった状況です。
現時点では世界的な不況で、流出のペースは相当落ちてはいますが、袱紗、歌舞伎衣装、袈裟、襤褸、戦争柄、古渡の更紗、打掛、ある程度傷みがあって着用には向かない大正ロマンの着物、など、海外での評価のほうが高いものはたくさんあります。
こういったものは、海外への流出は今後も続き、たとえば、将来、「海外へ渡った日本染織技術の粋~袱紗の小世界」「日本の戦争プロパガンダの歴史~着物に見る戦争」などと銘打たれた展示会が、日本で開かれることは、確実なことに思えます。

さて、すこし話はかわりますが(すみません、今日は、まじめな話が続きます)、日本政府は海外からの旅行者を増やそう、観光立国を目指そう、と目標をたてています。
そのため、漫画博物館を建てようなどという話は聞きますが、「日本の着物・染織品を集めたミュージアム」をつくろう、という話は、とんと聞きません。
たとえば、うちのお客様に頻繁に聞かれるのは、「日本へ行くことになった!最高の着物が見たい、どこへ行ったらいいの?」ということです。
ですが、現在、国内に、日本の古今の最高の染織品を一同に見れる施設は、どこにもありません。
私設の小規模の博物館へ行くか、アンティークの着物屋さんに行くか、百貨店に行くか、しか方法がありません。
美術工芸品のなかで、悲しいかな、染織品の占める地位は非常に低く、国立の博物館などでは、資金、人は、染織品まで十分に回ってこない、と聞きます。
国も地方も借金だらけで、そういった私設をつくって、染織品を買い集めるお金は、なかなか理解が得難いと思われます。
また、底流には、もっとも身近な工芸品は、海外で評価でもされない限り、まっとうな評価をしない、という国民性もあります。
それでも、やはり、世界に冠たる日本の染織技術の逸品を、きちんと日本で収集して、展示する場、仕組みが、必要だ、という思いは強くなるばかりです。

でも、僕が、そんな声をむやみに上げたところで、「それで、おまえは、だれやねん」で終わりです。

さあ、笑わないでくださいね。
僕の夢、そして夢の夢をあかします。

夢のひとつは、「おまえは、だれやねん?」って言われないようになりたいってことです。
ひとつの方法は、この業界で大きな影響力をもつようになること。
でも、それは、神さまが、僕に与えたシナリオには、まったく、見当たらないような気がします。
なので、もうひとつのゲリラ戦法で、いま、挑戦中です。
ああ、もう、いっぱい、いっぱい、恥をかいているので、言ってしまいます。
このブログをおもしろいっていう人が増えて、本になり、ベストセラーになり、「僕はこういう本を書いたものです」って言えるようになること。
あ、いま、僕が考えていることのなかで、一番、恥ずかしいことを、白状しました。
でも、もちろん、こいう時代です。そういうことに、なる、ならない、はすぐに答えがでるでしょう。
このブログは、とりあえず、90日間は毎日、更新する、と決心してます。
なので、その間、万一、僕の文章がおもしろいって思うかたがいたら、どんどん宣伝してください。
お願いします!

そして、その夢の先の夢が、多くのひとが、僕の話に耳を傾けてくれる状況が生まれたら、「日本着物染織美術館」についての考え方について声を上げて、より多くの人、有識者、政治家、官僚の皆さんに、真剣に聞いてもらいたい、ってことです。
いろんな意見があるでしょう。
とくに、いまは、国にそんな余裕はない、っていう声もあれば、博物館よりも、着物人口を増やすことが先決、という声もあるでしょう。
しかし、この話を、ともかく、議論の場にあげてもらいたいのです。

そうなんです、これが、僕の夢の夢です。

敬愛する大先輩の奈良のOさん。
いつもやさしくいろんなことを教えていただき、また、ブログ読んでいただいてありがとうございます!
いつだったか、話を聞いていただいた「日本 着物・染織美術館」の夢、実現の方法はないかと、いまだ、ウズウズ考えています。
文章を書くのが好きだから、そして、こんなこと、あいかわらず夢みて、毎日、ブログを書いています。

馬鹿ですね!