ICHIROYAのブログ

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あなたにも数時間でできる!古布で簡単に儲ける方法

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江戸末の襤褸の逸品

 襤褸(らんる、ぼろ)ってご存知でしょうか
 むかし、まだモノがあふれておらず、みながモノを大事に使っていた時代
 布も大事に大事に使われていました
 最初は晴れ着に仕立てられた着物は、縫い直し、染め直し、破れなどは補修して、子供のサイズに、また下着にと作り変えられ、小さな布に刻んで、使える部分は最後の最後まで利用されたのです
 
 綿や麻の着物も、着物から野良着や下着へ、そして布団皮や敷物、雑巾へと姿を変え、何度も利用されました
 そうやって使われていると、継ぎをされ、刺し子で補修された生地は、その上からさらに擦り切れて、まるで布の表面が溶けてしまっているような風合いになります
 当時の藍で染められた藍の色は、ますます冴えて、生地ごとにすばらしい藍のグラデーションを示し、擦り切れ溶けた表面とあいまって、ほかに類を見ない美を放つようになります

 そういった美しい襤褸(ぼろ)布を「襤褸」(らんる、もしくは、ぼろ)と呼び、じつは、襤褸の美は、海外でも高く評価されて、ニューヨークで、ミラノで、と何度も何度も世界各地で展示会も開催されているのです
 弊社でも、展示会や本の編集用に何度かお手伝いをしましたが、普通は、「Boroって英語にもなっているよ」と言うととても驚かれます

 さて、単なる「ぼろぎれ」と思っていたものに、世界的な評価があり、高値で取引されているとなれば、儲けのチャンスとみるひともでてきます。
「なんだか、つぎはぎだらけのぼろ布が、めちゃくちゃ高いぞ」
「つぎはぎが多いほど、高そうだ」
「あ、ぼろぎれでてきたぞ」
「 ちょっと、つぎはぎが足りないかな。おい、そのへんの布で、つぎはぎ足しておけよ」
「あ、あんまり上手にやるんじゃないぞ」

 というようなことをするひとがでてきます
 結果、古布の市場には、なんだかへんな襤褸がたくさん出てくることになりました

 その「襤褸が美しいかどうか」は、つきつめて言えば、あくまで、個人の主観の問題なので、「美しい襤褸、価値のある襤褸かどうか」については、買う側の審美眼に左右されることになります
 しかし、最近意図的につくられ、手を加えられたものが、襤褸本来の美をもつということはないので、たくさんの襤褸を見ているものには、ある程度の意見の一致があり、とくに、特上品についてはおおむねの評価は一致します

 では、いまから、僕や襤褸のコレクターの皆さんが金に糸目をつけず欲しいと思う襤褸をつくって、簡単にお金儲けする方法をお教えしましょう
 なんといっても、襤褸はただの襤褸布です。車をつくるのとは訳が違います
 そう、 あなたにもきっと簡単につくれます 

 僕は、何十回も、ニセモノの襤褸をつかんで損をしてきた自信があります
 まず、襤褸で儲けるようと思えば、僕の目を完璧にあざむいて欲しいものです

(0)ツギをするときは、ちゃんと細かい目で縫うこと。ボンドで貼り付けたり、ホッチキスでとめるようなことは、絶対してはいけません
(1)刺し子をしたり、生地をつくろう糸は古い糸を使い、適度に汚しておくこと。糸だけ新品のように白く輝いているものは、ニセモノですと書いてあるようなものです
 (2)ちゃんと古い布を探してきて、継ぎ足しましょう。全体のデザイン、色のバランスを考えて、ツギ足す布も選びましょう。備後絣など間違っても選ばないように。
(3)補修や刺し子での補強(の真似)をした部分は、そのままにせず、こする、たたく、なめる、かじる、ふむ、あせをつける、等々おこない、「縫いのあとにさらに使われた」雰囲気をだすこと。とくに、縫い糸のまわりにぼろけた生地がまつわりつくような風合いにすること
(4)時代のストーリーをちゃんと組み立ててから、土台、継ぎの布、糸を選びましょう。江戸末につくられたもので、明治初期ごろまでに補修され、その後も使われて、現在に至ったものなのか、明治中頃につくられ、大正ごろまでに補修され、現在にいたったものなのか、どちらにするか決めてから、素材を選びましょう 

 さあ、どうでしょうか。
 簡単につくれそうでしょう?
 なんといっても、たんなる「ぼろ」をつくればいいんです 
 さあ、あなたも最高の襤褸づくりに挑戦しましょう
 上の写真が見本です
 こんなとろとろのものができれば、うんと儲かります! 

(補足)
 (3)は難しいはずですが、でも、なんでもできてしまうこんな時代です。あっと驚くような方法で実現してしまう人がでてこないとも限らないので、古い布の時代を見分ける方法は、内緒にしておきます(汗)