ICHIROYAのブログ

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スティーブ・ジョブズの名言を証明した靴下のスタートアップの話

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 僕らは、新しいビジネスを始めようとするとき、ハイテクやIT分野で何かできることはないかと考えがちだ。
 スティーブ・ジョブズがかつてこんなことを言ったらしい。

 たったひとつの事実を発見すると生活は豊かになりうる。その事実とは、あなたが生活と呼ぶものを作っている周囲にあるすべてのものは、あなたよりイケてない人たちによって作られたものだ。あなたはそれを変えることができるし、それを良いものにする影響力があるし、自分のために新しくそれを作って他の人にも使ってもらうこともできる。*1

 
 もちろんジョブスにはそれができたのだろうけど、はたしてそれが僕や、あなたにも可能なのかというところに興味が湧く。

 Inc.の記事FastCompanyの記事で知ったのだけど、Stanceというスタートアップが注目を集めているそうだ。StanceはIT関連企業ではなく、靴下をつくる会社である。
 彼らのネットショップを見ていただければ、どんな靴下を彼らが売っている一目瞭然だと思う。

www.stance.com


 リアーナコラボしたものNBA公式のものをはじめ、さまざまなファッショナブルな靴下が販売されている。
 2009年にはじまったこの会社は、4年間で1500万足のソックスを、現在では7500店ほどの小売店を通じて販売したそうである。
 投資家からも熱い視線を向けられており、86百万ドル(約100億円)の資金を集めた。
 靴下という成熟したマーケットでそれほどの資金を集めるスタートアップが生まれ、成功したということは、多くの人を驚かせた。

 創業者たちは何を始めるかというときに、マッキンゼーマトリクスを頭の隅において、さまざまな業界や製品の可能性を探した。日焼け止めは? コパトーンとハワイアントロピックがいる。それはどこで作られているだろうか、その利益率は、どこがどれほどのマーケットシェアを持っているか、などなど。Googleで調べるだけで驚くほど詳しいことがわかった。そうやって多くのカテゴリーを調べていった。
 そして、その時、靴下の可能性に気がついたという。
 靴下はどんなファッションブランドでも脇役扱いで、本気でそれに取り組んでいるところは少ない。しかし、マーケット規模は大きい。
 彼らは慎重にみずからの靴下をデザインした。ファッショナブルで楽しいデザインであると同時に、最新の機械を使って機能的にも優れておりスポーツにも使いやすいようにと。
 その一例が上の写真のNBAの選手をプリントした靴下である。
 靴下業界に知識はなく日本では珍しくないのかもしれないけど、ここまで写真のように正確なプリントがなされた靴下というのは、見たことがないような気がする。

 いくつかの点が僕を勇気づけてくれる。
 彼らは靴下業界で経験があったわけではない。
 ダントツのデザイナーがいたわけでもない。
 とんでもない発明をしたわけでもない。
 ただ、自分の足元を見て、靴下、イケてないじゃないか。
 俺たちなら、もっとイケてる靴下がつくれる。
 そう考えて、長い歴史のあるマーケットに参入したのである。

 たしかに、スティーブ・ジョブズの言うとおりだ。
 そういうことなら、ひょっとしたら、僕にもあなたにも可能なのかもしれない、Stanceの成功はそんな希望を与えてくれるのである。
  

*1:"Life can be much broader once you discover one simple fact, and that is: Everything around you that you call life was made up by people that were no smarter than you. And you can change it, you can influence it, you can build your own things that other people can use."