新しいものづくりやサービスを実現しようとしている人におすすめの補助金
嬉しいことがあった。
複数の人に勧められて「平成26年度補正ものづくり・商業・サービス革新補助金」というものに応募して結果を待っていたのだが、昨夜、ネットに発表されているとお世話になった税理士の武田先生からメールが来た。
なんとなく諦めムードで、どうせダメだろうと思っていたのだが、ともかく、発表された一覧を見た。
なんと、うちの名前があった!
267111413 大阪府 有限会社ICHIROYA アンティーク着物の最新システムによる復刻製品の国内外ネット販売 武田美都子税理士事務所
僕は公的な資金を借りたこともないし、こういった補助金に応募するのもはじめてのことだ。
いままでは、補助金に付随するさまざまなことが面倒だと思ったし、自分のできる範囲でするからいらないと思っていた。
だが、今回やろうとしていたことで色々と調べていくうち、そういうことをするなら、この補助金に応募してみたほうが良いという強いアドバイスを何人かの人からいただいた。
なるほどと思い、アドバイスを貰って修正したりしながら、ちょうど5月のゴールデンウィークに根を詰めて申請書を書いていた。
申請した資金はふたつの部分からできていて、ふたつとも承認いただいたのか、片方だけ認められたのかは、まだわからない。
だけど、最低でも片方は認められたということで、すごく嬉しい。
早く着手したくてうずうずしていたけど(早く始めたいから申請をやめようかと迷ったぐらいである)、これでようやく着手できる。知人のアドバイスにしたがってほんとうに良かった。
この補助金はかなり採択率が高い。
平成26年度(今回) 申請17,128件 採択7,253件 42%
平成25年度の二次公募 申請14,502件 採択4,818件 33%
平成25年度(前年) 申請15,019件 採択6,697件 44%
この補助金は革新的な製品やサービスを行おうとする事業者に提供されるもので、一般的な事業の場合、補助金1000万円、補助率2/3を上限に補助金が支給される。
詳しくは各都道府県ごとに掲載されているが、たとえば大阪府のものだと、ここに詳細がある。
僕のところが今回応募した内容だが、簡単に言うと、
*破れたり、汚れていたり、小さかったりするアンティーク着物の逸品を
*最新のデザイン・モデリングシステムでモデル着装画像を作成し
*その画像を元にネットショップで国内外に向けて販売し
*お客様のサイズ、好みの色によって、オーダーを受け
*最新のデジタル捺染の染工場と連携して
*短期間でプリント、縫製してお届けする
背景には、デジタル捺染(かんたんにいうとインクジェットプリント)の技術とその前段階であるデザインデーターの処理に、現在、飛躍的な進歩が起きていることがある。デジタル捺染も、現在の日本では、まだまだキワモノ扱いであるが、たとえば、イタリアでは世界的に活躍するデザイナーがその可能性(色の表現の豊かさや写真のような精密さ)を評価して積極的に取り入れ、捺染のなかでの割合が日本とは比べ物にならないほど大きくなっているそうだ。
僕のイメージはこんな感じ
大正頃の見たこともないような大胆なチューリップの柄の着物が手に入った。残念ながら生地が弱くなっている。さっそくそれをデジタルデーターとして取り込み、一瞬で、モデルが着ている画像にする。色も地色が黒のもの、黄色のもの、など10点ぐらいつくってみる。羽織も、振袖もつくってみて、それぞれ、モデル着装写真にする。(その一連の作業は簡単にできる)
それを国内向け、海外向けの販売サイトに掲載し、S,M,L.LLの好きなサイズから選んでもらい(外国人は大きな人が多い)、注文してもらう。
そうやって一日分の注文をまとめて、プリント用のデジタルデータ化し、デジタル捺染の協力工場にそのデーターをクラウドを通じておくる。翌日にはそのデーターはプリントアウトされ、翌々日には縫製の協力工場に送られ、1週間後には弊社に出来上がりが届き・・・
もちろん、これはイメージだ。
申請書にも、すべて受注発注にするとは書いていないし、お客様の手元にこのスケジュールで届くとは書いておらず、将来的にはその理想を実現したいという風に書いた。
当分は、何着かは実物もつくり、その現品の売りが主体となるだろうし、リードタイムも2週間から1か月はかかるだろう。だが、実現したいのはあくまで上に書いたようなイメージで、また、将来的には、ベッドまわりなどのリビングファブリックなどにもその技術を適用していきたいと思っている。
また、さらにその先には、そのサンプルを置いたリアルなショップがあって、そのショップで同じように受注できたらいいなと夢想している。
ご存じのように、この分野では、居内商店さんがすでにそういうことをやられており、弊社もアンティーク着物の素材を提供させていただいたり、実際にそうやって復刻した商品を販売させて頂いている。ただ、現在は、さまざまな困難やつまづきがあり、その理想形を実現するまでには、まだ少し時間がかかりそうな状況である。
しかし、弊社としても、その試みを独立させ、システムも導入して本気で取り組むことで、居内さんや仲間とともに、その理想形を一刻もはやく実現したいと思っている。
ところで、この補助金は去年のように二次募集がありそうである。
なにか革新的なものづくりやサービスに挑戦しようとしている人は、ぜひ応募されてみてはどうだろうか。
中小企業庁:経営サポート「ものづくり(サービス含む)中小企業支援」
追記:2015/7/29
注意!! この助成金は、その後5年間に、助成金を得ることによって得た利益から、最大、助成金額まで返金する必要があるそうです。それを知らなかったのは、僕だけではないようです。利益を把握するために、どんなことをしなければならないのか、まだ話の途中でよくわかりません。本記事で、返済の必要のない補助金であると誤解された方にお詫び申し上げます。詳しくはこちらのブログ記事が詳しいです。
追記2 その後の記事を書きました