ICHIROYAのブログ

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ソーシャルメディアの時代、店舗の立地はいまでも重要か?

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 ときどき、実店舗をもとうかなと夢想する時がある。
 ブリック・アンド・モルタルというやつである。
 で、どんなところに店をつくるべきかといつも考える。
 銀座の一等地に店をつくるためには、目の玉が飛び出るような賃料と保証金が必要である。たとえば、10坪のコンパクトな店を銀座の一等地の1階に構えようとしたら、月の賃料は350万円から150万円、地下1階だと40万円から30万円、2階だと45万円から30万円するようだ。(参照
 もう少し手の届きそうなところとして、大阪のアメリカ村を見てみると、路面店10坪でおおよそ、50万円から20万円というところのようだ。もちろん、ビルの上層階では10万円から5万円と安くなる。(参照

 お店の場所というのは、ほんとうに売上を劇的に左右する。
 たとえば、僕は何年も百貨店の催事のレイアウトを担当していたが、同じフロアでも場所によって売上が全然異なる結果になることを痛感した。場所を変えてみたら、劇的売れ出したとか、反対の場合もよく経験した。一見同じ量のお客様が通るようなところでも、たとえば、今からどこかの目的地に向かって歩いているお客様が多い場所と、反対に帰る途中のお客様が多い場所では、売上も違うし、売れるものも違う。
 
 同業の方と話をしていても、昔から店舗を持っておられる方が言われることは、だいたい共通してて、「店を持て。持つなら、多少高くても立地の良い場所を選べ。しんどくても、2、3年がんばれば、そろばんが合うようになり、楽になる」である。
 百貨店時代の経験もあるので、独立して何をしようかと考えた頃、そんなものかと思っていた。しかし、現実に店舗を探してみると、売れそうな物件はどこも賃料が高く、結局、諦めた経験がある。
 
 が、ネット販売をずっとやってきて、少し考えが変わってきた。
 お客様がネットで探してくれるような特徴のある商品を扱うなら、店を持つにしても、いままでのように立地重視でなくても良いのではないか、と思えてきたのである。
 立地よりも、自分の店のコンセプトを磨き、ほかにはあまりないものを扱い、ネットや口コミで多くの人に知ってもらう、そういったことのほうが大事なのではないだろうか、と。
 そうすれば、何が何でも良い立地の店舗というのは、不要になる。安い賃料の場所で、少しでも安く売るほうが良いということになる。

 しかし、百貨店時代の経験は深く僕に根をおろしているし、「どうせやるならいい立地の場所でやれ」という人はあいかわらずそうおっしゃっている。
 どちらが、正しいのかな、と思っていた。

 そんな風にぼんやりと考えていたら、Mediumによく記事を書いておられる有名な起業家のGary Vaynerchukさんが、「Your Shop's Location Still Matters, But Relying On It Will Kill Business」という記事を書いておられて、なるほどなと今さらながら思った。
 彼の文章はネイティブでないものには少し難しいので、翻訳はどなたかにお任せしたいが、要は、タイトル通りの主張である。

 「店舗の立地はいまでも重要だ。ただし、それに頼るとあなたのビジネスを殺してしまいかねない


 現在ではGEとかペプシなどのFortune500の大企業にも、ソーシャルメディアでのブランディングを教える彼の成功物語は、家業のワインショップのワインの販売を、ネットショップや動画サイトWine Library TVで飛躍的に伸ばしたことに始まっている。
 その彼がそういうのだから、説得力がある。

 つまり、立地による利点は今も昔も変わらない。
 なので、立地が新規顧客獲得の最高のツールのひとつであることにはかわりないが、新規顧客から固定客になってもらうスキルやシステムを磨かないと、いつまで経っても新規顧客だけをあてにする自転車操業になるよ、ということなのではないかと思う。
 
 そう考えると、自分の中でぼんやりしていたことが、かなりすっきりと整理できた。
 現在ではネットによる口コミや宣伝の効果はかつてないほど高くなっている。
 だけど、ブリックアンドモルタルで自分の商売にアクセルをかけたければ、実店舗による新規顧客の獲得をビジネスの両輪のひとつにしなければもったいない。やはり、店舗の立地もないがしろにすべきではないのだなと。

 

photo by debaird™