最高にクールだと思えたアイディアが、1年間無視され続けたらどうする?
2010年、彼は、シカゴでの債権トレーダーの仕事を辞めてニューヨークにやってきた。
20代半ばだった。
目的は10,000人のニューヨーカーの写真を撮ること。それをウェッブサイトで発表し続けること。
独学で写真を学んだ彼は、そのアイディアに取り憑かれた。
フリーランスとしての仕事をこなしながら、毎日毎日、写真を撮り続けた。
それを自らのサイト、Humans of New York(HONY)に毎日投稿した。
最初の1年間、まったく反応がなかった。
その時のことを話すとつい泣けてくるそうだ。
素晴らしいアイディアだと思っていたけど、誰も反応してくれない。
ニューヨークに来て最初のクリスマスは人生でもっとも寂しいクリスマスになった。家にも帰れず、イブも当日も、ただ写真を撮り続けた。
しかし、彼はやめなかった。街に出て、一文にもならない写真を撮り続けた。
そのアイディアに取り憑かれていたから。
その間、彼はさまざまな工夫をした。
もらった意見や反応を慎重に見て、修正を加えていった。
たとえば、フェイスブックにすべての写真を投稿するようにした。自分のサイトよりもSNSのほうが拡散されやすいとわかったからだ。
また、それぞれの写真に、説明文をつけ加えるようにした。
写真そのものだけでなく、そこにつけられた文章がいかに重要か、彼は学んだ。
そして、ついに、彼のアイディア、それぞれの人間の尊い姿を伝えたいという願いは、達成された。
彼のサイト(HONY)とFBページは大人気となった。
FBページは2015年4月現在1200万の「いいね!」を集めている。
彼はこの仕事を収益化するつもりはないが、6か月で50万ドル(約5500万円)近くの寄付を集めることにも成功している。
2冊の本も出版し、ベストセラーとなった。
彼はその印税やフリーランスとしての仕事で生活を支えている。
彼はその成功について、Redditで質問に答えている。
とくに、最初の日々の辛さについて彼が言っていることが胸に沁みる。
最初のころはほんとうに辛かった。半年というもの、無一文だった。何千もの写真を撮った。ニューヨークには誰も知っている人はおらず、誰も僕に注意を払わなかった。スピーチでその時のことを話す度に泣けてくるんだ。
もちろん、彼が教えてくれる教訓はこういうことだ。
ほんとうに自分が素晴らしいと思ったことなら、誰も振り向いてくれなくても、1年でも2年でも、続けてみるしかない。
しかし、そのことについて人がどんな反応をしてくれるかを注意深く観察して、自分のやりかたを工夫していけ。
最後に、彼、ブランドン・スタントンさんの最高にクールな一言をRedditから紹介しよう。
I honestly want to "give" HONY to New York in some way.
いつの日にか、このHONYという仕事を、ニューヨークという街に”捧げたい”と本気で思っているんだ。
*このページを参照しました