今年ぼくが買って良かったもの10選(ただしKimono!)
みんなが「今年買って良かったもの!」というテーマで記事を書いておられるので、僕も便乗しようと思います。
でも、あまり良いモノを買った覚えがないので、本業の着物、とくにアンティークの着物で仕入れたもののうち、記憶に残っているものを10個挙げました。
深く考えずに、あまり着物になじみのない人にも面白そうなものを選びました。
ほとんど売れてしまっているのですが、ふたつだけ、今でも買えます。
もし、このブログを読んでくださっているかたで、着物や、ましてアンティーク着物なんてまったく興味がないと感じておられるかたがおられたら、ほんの少し、おつきあいいただけると嬉しいです。
一つ目は、最近仕入れたもので、大きな刺繍の壁かけです。
勇ましい龍の絵が、その背景も含めて、すべて刺繍で縫いつめられています。
明治ごろの作品です。明治のころは、日本の手刺繍は、世界で大人気の輸出品だったんですよ。そのころ、輸出目的でつくられたものに違いないんですが、なぜか日本のおうちから出てきました。
産業としての刺繍は、やがて工賃が合わなくなり、中国に移り、いまでは中国も採算が苦しくなっているようです。
これは、なんと、戦艦の柄の名古屋帯です。
何度か書いているように、戦時中、戦前は、女性の着物にもこういった戦争の柄が散見されます。
どういう気持ちでこれを締められたのか、現代の僕らには、ちょっと想像を超えるものがあります。
しかし、KAWAIIだって、大正時代からあったんですね。
大正もしくは昭和初期の銘仙という織りの着物です。
当時のモダンガールが競って着ました。
かわいすぎる!
この着物はちょうど洋風と和風ががっちゃんして、ちょっとこなしきれていない風なところが良いですね!
帆船と右の肩から垂れる花々のとりあわせが素敵かと思います。
まだまだ、寒く、桜の季節が待ち遠しいですね!
この振袖は、まるで夜桜の下で、華やかな宴でも催しているような、素晴らしいデザインです。
男の羽織の裏には、勇ましい柄がついているのですが、これはそういうものの中でも白眉。
砲撃する戦艦の姿が豪華に織り込まれています。
これは、袱紗といって、贈り物をするときに、その上に掛けて贈るためのものです。
江戸期のもので、めでたいハマグリと竜宮城の図が、細かな刺繍で縫われています。
細部もさることながら、大きなハマグリと波を下部に配したデザインが素晴らしいと思います。
これは明治ごろの蒲団の皮です。
ようやく世界に目が向いて、蒸気船などの存在にあこがれた時代。
柄は経緯の絣で織り出されています。久留米絣です。
着物を売る時に、柄のサンプルを一反の反物に染めたものを使うときがあります。
この襦袢は、そういう反物をそのまま仕立てたもの。
なので、さまざまな柄が、一着に染められています。
クラッシックなスキー姿や、骸骨、英文字など、当時の舶来へのあこがれを感じることができるデザインが見られます。
男児の宮参りの着物にも、戦争の柄は使われて人気がありました。
なんだかリアルで違和感があるのですけど、考えてみれば、いまでも定番の武将とか侍の絵も、昔の戦争の絵であることには違いありません。
これは、芸者さんが着ていたと思われる裾引きという着物です。
お座敷に出て踊るときに着る最高に手の込んだ着物です。
この裾引きは、織りと染によって柄がつくられているのですが、鳩と枝垂桜が描かれ、ポイントに描かれた吊灯篭が、にぎやかな全体のデザインを締めています。
いかがだったでしょうか。
ちょっと挙げただけでも、アンティークの着物の楽しさやバラエティの一端はわかっていただけたのではないでしょうか。
でも、もちろん、これは、僕が今年買えたものに限定したリストの一部にすぎません。
アンティークの着物、テキスタイルの多様性には、想像を絶するものがあるのです。
とくに最近は、アンティークの着物も減っており、めったに優品を買うことはできませんが、チャンスがあれば、がんがん買っていきたいと思います。
今後もよろしくお願いします。
PS Kimono Archive(バーチャル着物ミュージアム)は、来年、早いうちにオープンします!