ICHIROYAのブログ

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色をめぐるつきない話

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「色」は不思議だ。「色」についての話題はつきない。

 古着屋をやってみて気づいたことがいくつかある。
 
*ピンクの着物が圧倒的に多い
*帯は赤が多い
*羽織はオレンジ系、赤系などの暖色が圧倒的に多い
*夏物は青系が圧倒的に多い 

 古着屋が「多い」というのは、つまり、ある時期それが大量に売れたということだ。それが古着のマーケットにも大量に回ってくる。大量に回ってくるので、それが売れるか売れないかの話の以前に、「素敵な柄のアンティークの着物だね!でも、色がピンクでは・・・」とか「もう赤の帯はいらん。気づいたら店の在庫が赤ばっかりになっている」という愚痴になる。
 
 上に書いた理由のひとつは明らかに季節的なもので、羽織を着る必要のある時期はある程度寒い時に限られるので、暖かな印象のある暖色系のものに人気があったのだろう。逆に、夏の薄手の着物には、涼し気な青系に人気が集まるのも理解できる。

 ピンクの着物や振袖が今も昔も多い理由は、それが「エレガント」で「可愛らしく」見えるからだろう。
 ピンクという色には気持ちを穏やかにする効果があると言われており、アメリカでは刑務所の壁をピンクにしているところがあるとか、相手チームのロッカー室をピンクに塗ったフットボールコーチがいるという話まであるようだ。
 日本の女性は、今も昔も、ピンクが好きなのだなと思う。そういえば、イタリアフェアの視察にミラノに行かせていただいた時、ミラノの人たちの多くがモノトーンで全身を固めており、「色」がないのが印象的だった。 

 
 もちろん、流行もあるだろう。
 昭和の後半、大島紬が大流行して、僕らの手元に多くの大島紬が入ってくるのだが、その八掛(内側、裾部分)の色がたいてい赤である。
 最近、大島紬を仕立てられる場合は、黒や地味な色をつける場合が多い。
 その変化は劇的なもので、美意識の変化はかくも激しいものなのだなと思わせられる。かつては、裾が少しめくれた時に、赤がちらっと見えるのがおしゃれだと思われていたのに、今ではそれが180度変わってしまった。

 ところで、ネットで買い物をする時、色が現物と違ったという声をよく聞く。
 パソコンのディスプレイというのは、それぞれに違い、また、使用しているうちにその色目も変化していく。
 うちも能率とのバランスで100%というわけにはいかないのだが、なるべく現物に近い色で商品をご案内したいと思っている。
 ちなみに、うちではモニタキャリブレーションという機器を使って、事務所内のパソコンのディスプレイの色を合わせている。(下のもの。1万円強。)
 色のブレは結局、

 ネットショップの色のブレ =(自社のディスプレイのブレ) x (お客様のディスプレイのブレ)

 であり、自社のブレを極力直しても、すべてが解決するわけではないのだけど、ある程度、ブレを減らすことはできそうだ。

  

X-Rite ColorMunki Smile KHG0100-SM

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 ほんとうに、色の話はつきない。
 検索していて、テコンドーの勝率を調べたら「赤」帯のほうが勝率が高い、それはどうやら審判の目に「赤」のほうが攻撃的に見えるからだ、という話すらどこかで読んだことがある。いや、もちろん、その研究結果は簡単には受け入れられない。
 しかし、色が僕らに及ぼす心理的な効果というものはあって、それが不思議に満ちているということだけは確かだろう。

 今朝、あなたは何色の服を着てますか?
 

 
PS ちょっと気に入っている過去記事。良ければどうぞ。

「黒」と「紺」を巡る古着屋の冒険 - ICHIROYAのブログ

 

 

photo by @Doug88888