アドセンスからキーホルダーそして世界最小のiPhone充電器へ!(ある起業家のストーリー)
Marin Medakさんという起業家の方の物語が、とてもおもしろいので紹介しよう。
彼はMediumに 「How I funded my dreams — Ocean Rowing and Hardware Startup(いかにして夢の資金を得たかーシーカヤックとハードウェアスタートアップ)」という記事を書いておられ、現在、クラウドファンディングサイトKickstarterであるガジェットの支援を求めておられる。
この記事ではMediumで知った彼のストーリーと、僕もつい注文してしまった開発中のガジェット(iPhoneの充電器)の紹介をしたい。
彼はスロベニアのとても恵まれた学生だった。親から充分な学費をもらえた上に奨学金も受けており、電気工学を学んでいたが何をしたらよいのかわからずとても退屈していた。
ある時、大西洋を横断しよう!と思い立ち、その思いにその後3年間とらえられる。
シーカヤックを買ってその技術を覚え、さまざまな航海、冒険に乗り出す。クロアチアの海岸を750km、翌年はスロベニアからギリシャまで1500km、2011年には韓国の海岸をという具合。
さて、その資金をさすがに親に頼るわけにはいかず、なんとか稼ぎださなければならなかった。
彼がしたことは、ニッチを探してイタリア語のブログをWord Pressで立ち上げ、アドセンスを貼ることだった。
6か月ブログの更新を狂ったように続け、その後1年半はブログの更新を完全にやめた。
彼はよほど素晴らしいニッチをみつけたらしく、サイトのビジターは狂ったように広告をクリックしてくれたそうだ。Mediumにアドセンスのグラフが貼ってあるがそれを見ると、0.25%とも1%とも言われるCTR(広告のクリック率)が35%を超えている。
彼はこのブログとアドセンスで、シーカヤックの冒険に必要な資金をすべて稼ぎだしたそうだ。
彼が次に手がけたのが、上の写真にあるシーカヤックをモチーフにしたキーホルダーの製造販売である。
そのサイトがこちらで、彼によると彼が始める前にはシーカヤックのキーホルダーは存在しなかったらしい。写真の一番上にある酸素ボンベのものは、のちにラインナップに加えられたものだ。
彼はシーカヤックのキーホルダーがないことを知ると、ネットで3Dモデリングのできるデザイナーをみつけ、それを中国に発注している。
そして、彼はそれにKeyak(「キー」と「カヤック」をひとつにした)と名付け、シーカヤックの仲間・コミュニティーに拡げることに成功した。
単価は小さなものだが、彼のこのキーホルダーはシーカヤック仲間で人気を博し、現在35カ国で販売されている(日本でも青木カヌーワークスさんとアウトドアボックス・リバーランズさんがディーラーとして紹介されている)
どちらの話も凄いが、彼はそろそろ「ほんとうに自分の情熱を100%注ぎ込めること」を始めたいと思いだした。
そして、始めたのが今回のKickstarterでのプロジェクトだ。
Oivo:The Smallest Backup Charge for iPhone
僕のiPhoneはそろそろ電池のモチが不安になってきた。
ケーブルは持ち歩いているが、ときどき、コンセントのない場所で、しかも、誰かとの待ち合わせで連絡が必要なときに、電源が切れてしまう。
そういう時は、しかたなく、コンビニに入り、単3電池の入った充電器を買う。
それで一息つくが、それなりの値段がする割には、結局、その1回使うだけで、次にそういう状況になった時、また、新しいものを買ってしまう。
彼の新製品Oivoはそういう人に向けた製品だ。
普段は下の写真のような小さなキーホルダーになっていて、使うときには強力な磁石でつながっているOivoをふたつに割り、片方をiPhoneにつなぎ、その上に、その場で手配した単3電池を4本載せて、もう片方を上に載せる。それが、磁力で一体となった充電器となるのである。
これなら普段から持って歩いても負担にならないし、いざというときには、電池を買うだけでいい。
めちゃくちゃいいな!と思って、僕もつい買ってしまった。
現在、アメリカ以外の国からの注文は39ドル+送料6ドル=45ドルで、クリスマス前には届くという。
コネクト部分はiPhone5用で、近々発売されるらしいiPhone6も大方の予想では同じLightningコネクタが使えると予想されているという。(iPhone4以前のものはコネクタのカタチが違うので使えない)
注文にあたってはKickstarterのページで"$39”を選んで先へすすめば、FBとの連動を確認し、支払いはアマゾンのページに飛ぶようになっていた。
現在(2014/9/9)のところ、彼のこのキャンペーンの達成率は35%程度だが、30日のキャンペーンのまだ1週間程度あり、まずまずだと言えると思う。達成しなければ、ファンディングは(注文も)実施されないので、ぜひ、頑張って欲しい。
なお、僕は注文したが、彼のことはMediumの記事などで知っただけなので、どれほどの製品ができてくるのか、僕が保証するものではない。クラウドファンディングの新製品については一般的に大きな当たりハズレがあるので、バックアップしようとする人は、「製品を買う」というよりも、「それを作ろうとしている人を応援するんだ」という気持ちが大事かと思う。
ともかく、僕は彼のストーリーを読んで、「このひとは他のひとが気づいていないマーケットのニーズを探し出し、そこで事業を展開するのが、とても上手いな」と思った。
僕は彼の体験談から何かをいただけたような気がするのだが、あなたもなにかのヒントを得ていただけると嬉しい。