ICHIROYAのブログ

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1931年、マッチを売っていた5才の少年が88年かけてつくりあげたものは

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 今をときめく世界的な家具販売の企業、イケアの創業がマッチ販売から始まっていたことを知っているだろうか?
 創業者のイングヴァル・カンプラードは5才の時に、近所の家々にマッチを売り始めた。7才の頃には自転車で遠くまで訪問販売をするようになる。そして、ストックホルムで安くまとめ買いをしたマッチをバラで売ると、とても安い値段で売ってもかなりの利益を得られることに気づく。そして、マッチから、草花の種やグリーティングカード、クリスマスツリー用の飾りへと商品ラインナップを広げていき、後には鉛筆やボールペンも取り扱うようになっていく。
 1943年、17才になったカンプラードは安売り雑貨店を開店。その後、安売り家具専門店に変えて快進撃が始まる。現在の従業員は世界各国で10万人、売上高は2兆1000億円だ。*1

 このことを僕はおなじみJames Clear氏のブログ記事からはじめて知ったのだが、さまざまな点で面白かった。
 ひとつは、Clear氏も仰っているように、『マッチを売るような小さなことに集中して取り組むことの大切』さだ。僕らはついつい『イケアのような世界的な企業をつくるにはどうしたらいいのか』と考えてしまうけど、『マッチを売る』ような小さな目前のことにワクワクして集中することはできない。『良い商売をしよう』と考えるのではなく、『大きくなるためにはどうしたら良いのか』ということばかりに意識がいってしまいがちだ。Clear氏は、『創業者はマッチを売っている間に安売りをするスキルを学んだ』と書いておられる。事業を初期の段階では、『大きくなる』ことに気をそらされずに、目前の小さな商売に必至で取り組んで、必要なスキルをひたすら磨くことが必要なのだと。
 
 たしかに、そのとおりだと思う。そして、もうひとつ思うことは、大きくなるためにかかった時間だ。商売が始まったのは80年以上前、最初の店の開店も71年前である。*2
 何が言いたいのかと言うと、ネット関連の企業やスタートアップの話ばかり目にしているために、僕のビジネスの時間のスケールがちょっとおかしくなっていたかもしれないな、ということだ。
 ネットビジネスでは、10年といえばひとつのスタートアップが大人気になり巨大化してやがて飽きられて消えるに充分長い時間である。また、企業の寿命は30年などと言われ、それもどんどん短くなっているという声もよく聞く。
 そういう話ばかり聞くと、急げ、急げ、一刻も早くスケールだ!と思ってしまうのだ。そういう精神状態こそ、Clearさんが言う『目前の小さな商売に必至で取り組んで、必要なスキルをひたすら磨く』ことを不可能にしてしまうのではないだろうか。
 
 僕も僕の会社も、これからも小売の世界で生きていくだろう。
 今をときめくネット企業とは違い、小売の世界で生きるということは、そういった時間のスケールの中で生きるということだと思う。
 もし、あなたが小売の世界に身をおいているなら、あまり焦らずに行こうではありませんか!

 

**なお、イケアは非上場を維持しており、創業者は「非上場企業のままでいることがイケアの驚異的な成功の主因の1つになっている」とおっしゃっている。


photo by Ulf Bodin

*1:IkeaのサイトおよびWiki参照しました

*2:ちなみに、北欧の安売り雑貨で有名なタイガーコペンハーゲンも、1号店の開業は1995年で、現在のように世界各地に150店鋪以上を展開するようになるまで20年かかっている。