ICHIROYAのブログ

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ゼネラリストではなく、スペシャリストでもなく、エキスパート・ゼネラリストを目指そう

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 ゼネラリストを目指すのか、スペシャリストを目指すのか。
 もちろん、組織の中でより大きな権限を持つのはゼネラリストだ。しかし、組織の全員がゼネラリストを目指しても、椅子は限られている。だから、僕らの時代には、よくこんな風に言われていた。
 「これからはスペシャリストの時代だ。それぞれスペシャリストを目指して専門性を磨くような会社にしよう。そして、一級のスペシャリストには、一級のゼネラリストと同等の待遇を与えよう」

 
 しかし、どうもその言説が実現したとは言いがたい。
 世の中の進歩の速度が早く、ある分野のスペシャリストになっても、様々な分野で、その専門能力が長期にわたって価値を生む保証がなくなってきた。
 そして、もともと優れたマネージメント、確立した大組織のなかでのマネージメント・ノウハウは、ゼネラリスト的な視野と思考能力の独壇場であって、やはり、原理的にスペシャリストはゼネラリストにはかなわなかった。

 この変化の早い時代には、そもそも、ゼネラリストとスペシャリストという二項での分類があまり意味をなさないのかもしれない。
 そういう議論自体、あまり聞かなくなった。

 と思っていたら、今日読んだ記事に、「エキスパート・ゼネラリスト」という言葉をみつけて、ああ、それこそが僕らが目指す方向だなと妙に納得した。

*Picasso, Kepler, and the Benefits of Being an Expert Generalist
ピカソケプラー そしてエキスパート・ゼネラリストであることの利点)

 
 イノベーターをほかのひとたちと分かつもののひとつに、彼らがとても広い範囲のことを知っているということがある。彼らは、エキスパート・ゼネラリストだ。広い知識は彼らのクリエイティビティを支える。
 エキスパート・ゼネラリストのふたつの重要な特徴は、新しい経験への貪欲さときちんと知りたいという欲求である。
 
 One thing that separates the great innovators from everyone else is that they seem to know a lot about a wide variety of topics. They are expert generalists. Their wide knowledge base supports their creativity.

As it turns out, there are two personality traits that are key for expert generalists: Openness to Experience and Need for Cognition.

                                                                  (以上引用)

 
 たしかに、そのとおりだと思う。
 あっと驚くような解決を引き出してくるひとたちは、興味の範囲が広いし、別の分野の解決方法をアナロジーにしたりする。
 そしてもちろん、さまざまな「新しいモノ・コト」というのは、たいていは、異分野のもの同士の組み合わせや、やり方を移植することで生まれている。
 そのためには、常に新しい経験にオープンマインドでいて、その経験を「なぜこうしているのか」「なぜそうなるのか」「なぜこうしないのか」というようにとことん納得がいくまで考える必要があるのだろう。

 上記の記事では、そういうひとたちのことを、『エキスパート・ゼネラリスト』と呼んでおり、まさに、いまの時代に求められているコンセプトだなと思った。
 
 僕らの歳(40代~50代)になると、組織から離れたゼネラリストは、まったく必要とされない時代になった。
 おそらく、今の若いひとたちも、単にゼネラリストとして歳をとり、僕らの年代になると同じ運命が待っているだろう。
 また、もちろん、スペシャリストとして技能を磨いてきても、その技術を機械が奪ってしまうかもしれないし、生活がかわってそのマーケットがなくなってしまうかもしれない。
 これからの時代に必要なのは、やはり、常に新しい体験を求め、そこから学び続ける姿勢そのものであって、ジェネラルなマネジメント能力だけ、あるいは、ある特定分野の専門知識だけではないのだろう。

 エキスパート・ゼネラリストという言葉が、妙に腑に落ちた。
 
photo by Little Visuals