ICHIROYAのブログ

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植物に心はあるか(最終回) ~ 植物もインターネットをもっている?

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 *「植物に心はあるか?(1)」から書き始めた記事の最終回です。(1)から読んでいただけると喜びます!

 
 植物もインターネットのような情報網をもっているらしい。
 最近の研究によると、森の地中には木樹の根や菌の張り巡らされた情報網が埋まっており、情報のやりとりだけでなく養分のやりとりなども行なわれているという。
 ある研究者が森の樹に放射性炭素を注入してその移動を調べたところ、その放射性炭素は2,3日で30メートル四方のすべての樹々から検出されたという。
 その広がりの様子はまるで飛行機のルートマップのようでもあり、もっとも年齢の古い樹がハブのような役割を果たしていたという。
 
 その情報網(あるひとはそれをWorld Wide WebならぬWood Wide Webと呼ぶ)では、昆虫のアタックに対する警報を伝えたり、情報だけでなく炭素や窒素や水分を運んだりもする。
 また、まだ充分に成長しておらず光の届かない幼木を、自分と同じ種であると認識して養分を提供したりする。
 そして、さらに驚くべきことに、落葉樹と常緑樹のあいだで季節による糖分のやりとりも行なわれているそうだ。
 その研究者の言うとおりであれば、冬の間、葉を落としたお隣の樹に寒くて大変でしょうと糖分を貸してあげて、どちらも葉を茂らせる夏場には光の取り合いになってしまったので、冬の分お返ししますね、というようなことが行なわれているのであろう。

(以上原文より要約)

 さて、長かった話もようやく終わりを迎える。
 結局のところ、植物に「こころ」はあるのだろうか?
 植物はたしかに音を聞き分けて認識しているが、パンクロックよりもモーツアルトが好みであるという証拠はないようだ。
 人間のような「こころ」、神経細胞と脳によって生み出されている「こころ」、あるいは人間が想像出来る意味での「こころ」は、たしかに植物にはない。 

 ただし、植物たちは僕らが想像しているよりはるかに、様々な情報を環境から得、それを交換し、能動的に反応して生きている。
 僕らはその仕組み、行なわれているこの全貌をまだ知らない。
 もっとマクロな世界に踏み込んで研究すれば、その仕組がわかるかもしれないし、生きている時間のスケールを早回しの映像で見れば、想像とは違う彼らの生き方が少し見えてくるのかもしれない。


 考えてみれば、光合成をする「植物」が誕生してすでに32億年の時が経っている。人間などの霊長類が生まれたのは、わずかに6000万年前だ。
 人間は進化の頂点にいて何から何まで最高の能力をもっていると思っているが、植物は植物でその進化の階段を何十倍もの時間をかけて登ってきたのだ。
 植物の世界が僕らの全く知らない、知ることのできないかもしれない独自の高度な世界を築きあげていたとしても、なんら不思議ではない。
 World Wide Webの誕生は20数年前だが、Wood Wide Webが何億年か前に登場していたことは確実である。


 そう考えると、ずっと黙って僕らのそばにいた植物たちは、じつはエイリアンのようなものだったのではないかとも思えてくる。
 そして、「植物にこころはあるか?」というような、すこぶる人間的な問いは溶けてしまって、宇宙の存在の謎に通じる「生命とはなんだろう、そして、なぜ生かされているのだろう?」というより根源的な謎が立ち上がってくるのだ。

 さあ、森へ行こう。
 森へ行って、ずっと僕らのそばで黙っていた樹木たちの囁きに、あらためて耳を傾けてみようではないか。

 

photo by BD