NPOのトップが3000万円の給与をとってもいいし、間接費が40%あってもいいじゃないか
それで、多くの協力者を集め、多くの資金を集めて、たくさんの困ったひとを救えるのなら。
たぶん、あまり多くのひとは、このTEDのスピーチを見ていないだろうから、もう一度紹介したい。
ダン・パロッタ氏はふたつの大きなNPOを率いて合計で4億ドル(約400億円)近くをHIV/AIDSと乳がんのための運動に調達した。
しかし、彼の運動は挫折。
その理由は、彼の運動が多額の間接費を使ったからだという。
調達した資金の額ではなく、間接費の比率が問題とされたのだ。
詳しくは下の動画を見ていただきたいのだが、こちらのページがこのスピーチをまとめてくださっている。
ソーシャルビジネス、慈善活動が盛んなアメリカでさえ、ダン・パロッタ氏のやりかたは受け入れられなかった。
日本ではとんでもない、というところだろう。
ちなみに、このTEDの動画は、すでに21ヶ国語に翻訳されて字幕がついているが、中国語、韓国語の字幕はあっても日本語の字幕はまだない。
多くのひとは、NPO団体の立派な宣伝を見ると、なんとなく嫌な気分になる。
つまり、自分が寄付したお金が、この宣伝の制作費、写真代やモデル代やコピーなどに使われてしまっているのではないか。
新聞の広告やリスティング広告などの経費に使わてしまっているのではないか、と。
しかし、冷静に考えてみれば、すぐにわかる。
最高のクリエイターが人々のココロを射る広告をつくり、それを多くの場所に露出して、仮に10億円かかったとしよう。
だが、それで50億円の寄付を集めることができたら、多くのひとを助けることができる。
アマチュアにつくらせたポスターをバス停や喫茶店や電柱に貼ってまわって10万円で済んだと喜んでみても、せいぜい数十万しか集まらない。
だが、なぜだか、NPOの大きな広告を見ると、そんな理性は飛んでしまって、無駄遣いしているんじゃないかという疑念がむくむくとおきてくるのだ。
ダン・パロッタ氏は訴えている。
ビジネスとおなじように、NPOも集めた金額(ビジネスでいえば利益高)でその正否をはかるべきで、間接費の割合で枠をはめるべきではない、と。
僕もそう思う。
ビジネスは世界を変えるが、かならず敗者を生む。
政府は弱者を救うが、硬直的で、すべての弱者を救うわけではない。
ひとびとは、ひとびとの善意は、政府任せで収まるほど、小さくはない。
そのチカラを良い方向に束ねるのがNPOだ。
NPOが小さくなくてはならない、大きく振りかぶってはならない理由はない。
あるとしたら、嫉妬や無理解や頑固な固定観念だ。
NPOの指導者が、一部上場企業のCEO並みの給与を得てもいいじゃないか。
そのチカラある中心メンバーが、部長並みの給与を貰ってもいいじゃないか。
大きな宣伝やイベントを打ってもいいじゃないか。
それで、たくさんの運動員を組織し、たくさんの寄付を集め、多くの困ったひとを助けることができるなら。