ゲイツ夫妻はなぜお笑いを支援するのか?
ビル・ゲイツとミランダ・ゲイツ夫妻が、「お笑い」を支援しているのはご存じだろうか?
そんな馬鹿な。
我が家ではお笑いのプロフェッショナルは嫁である。
最新のギャグも知っているし、どの若手が大化けしそうかについて、一家言もっており、悔しいことにだいたいあたる。
でも、たかがお笑いである。
日経新聞を隅々まで読んで、もし時間があれば見てもいい程度のことではないのか?
しかし、もし僕の家にゲイツ夫妻がやってきて、ねえ日本でおすすめのお笑いタレントは誰かな?って聞かれたら、僕はその場の主導権を嫁に手渡すほかない。
いや、ほんとうなのだ。 (この記事によれば)
夫妻の財団は、Stand Up Planetというアメリカに拠点をおくコメディ番組制作の団体をバックアップし始めたということだ。
この団体は、インドと南アフリカのコメディアンを番組のなかで紹介していくようだ。
たとえば、こんな感じのスタンドアップコメディ(漫談?)である。
内容がよくわからないが、とにかく大受けである。
南アフリカのコメディアンは、こんなジョークを言っているらしい。
"I hate my teeth. Even though they are white minority of my body, they still get the best treatment,"
おいら、歯が嫌いだ。おいらの身体のなかじゃ、真っ白っていうマイノリティのくせに、一番治療費がかかるんだぜ!
なぜ、インドや南アフリカのスタンドアップコメディなのかというと、「お笑い」こそがグローバルな相互理解を助ける最高のツールだという認識が、主催者たちにあるからだ。
極度の貧困や差別に苦しむ国々のひとたちのことを、僕らはなかなか理解できない。遠く離れたところで、たしかに苦しんでいるひとたちがいることは、理屈ではわかるのだが、ハートで感じることが難しいのだ。
しかし、インドや南アフリカのコメディアンが、日々のことをネタにして、お笑いに仕立てあげてくれれば、笑っているうちに、ハートの扉が開き、彼らの心情にシンクロすることができるのだ。
そして、ほんとうの意味で、彼らが直面している貧困や人種差別や暴力のことを理解できるのだ。
誰か偉いひとに諭されるのではなく、正論をぶつけられて糾弾されるのではなく、腹の底から笑っているうちに。
なるほど!
腑に落ちた。
ゲイツ夫妻がそれを応援する理由も。
参考記事:Developing World Comedians Turn Poverty Into A Joke Joke's on us: why comedy has a place in global development