ICHIROYAのブログ

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科学的なことを考えるだけで、ちょっと立派な人間になれる!という最新の研究結果。信じる?信じない?

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お名前を忘れてしまって恐縮だけど、ある著名な科学者の方の記事を読んでとても感動したことがある。
「もし、一生をかけたその研究が、実を結ばなかったら、という恐怖はなかったんですか?」と訊ねられて、その先生はこう答えておられた。
「もしそうなったら、社会的には失敗者なんだろうけど、科学者としては、それでひとつの仮説を消したということで、まったくの無駄ということはないのです。それはそれで仕方がない、と思っておりました」

科学の発展には、無数の失敗があり、画期的な発見、発明にたどりつく人はほんの一握りだ。
たしかに、社会的な成功を科学者の人生の尺度にしてしまえば、ほとんどの科学者の人生は失敗となってしまう。
偉大な科学者というのは、成功を夢見ながら、たったひとつの可能性を人生を賭けて消去する、それに人生を使い切っても良しとする、そういう覚悟をもった人たちのことなのだなと思い、いたく納得した。

ちょうど、今朝こんな面白い記事を読んだ。

Just thinking about science triggers moral behavior
(科学のことを考えるだけで、道徳的な行為の引き金になる)

最近の研究で、科学的な思考は、道徳的な行為、考えを強化するということがわかったという。

実験というのは、こういう風に行われた。
被験者に科学に対する信頼度に関する質問を行い、ある犯罪(この場合、デートレイプに関したもの)行為を提示する。
そして、質問に答えてもらい、それに対する非難する気持ちの度合いを計測する。
結果は、科学に対する信頼性の高い人ほど、その行為を激しく非難した。(実験1)

さらに、被験者に科学に関する言葉、“logical(論理的な)” “hypothesis(仮説)” “laboratory(実験室)”  “theory(理論)" などを素材とする文字パズルをさせた。
そして、その後、さきの話を提示して、その犯罪の罪の度合いについて答えさせ(実験2)、その後1か月間にどんな利他的な行為をしたか聞き(実験3)、5ドルを与えて、自分の分と誰か知らない他のひとの分に分けさせる試験をした(実験4)。

そして、いずれの実験においても、科学に関する文字のパズルをしたことが、利他的な行為を強化し、道徳的な考えを増進させることが確かめられたという。

科学の根本には、善なるものがあり、道徳心の大地に育つ、ということだろうか。
この記事を読んで、冒頭に書いた高名な科学者のことが思い出された。

しかし・・
あれは誰の小説だったろうか。
収容所でナチスの将校が、この世のものとも思えない、素晴らしいピアノの演奏をする。
そして、音楽の美は、人間の道徳や精神の崇高さとは関わりなく存在するということを見せつけられて、激しく動揺する。
そのシーンが今でも鮮烈に記憶に残っている。

さて、科学は、音楽とは違うのだろうか?
科学が、利他的で崇高な人間の精神を土壌としてのみ、育つのであればいいのだけれど・・

Photo  by Celeste