ICHIROYAのブログ

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「年収によって返済額が変わる新しい奨学金制度」がアメリカで始まりそうだ!

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奨学金を利用している学生や、その返済に困っている社会人が「教育の機会均等」を訴えてデモを起こしたことから、奨学金のありかたについて、議論が起きている。

いつも素晴らしい記事を書かれるtom-wさんの記事もおおいに考えさせられた。

いったい、誰のためにお金を借りていたのだろう?

まずは、「奨学金」を「学生ローン」という名称に変えるべき。
それが、まさに「ローン(借金)」であるということを、学生たちにしっかり理解させることが、問題解決のための第一歩である、としている。
そのうえで、教育の機会均等とは、どこまで実現すれば良いのか。また、そうするための政治、選挙の仕組みはこれでいいのか、という問題を提起されている。

簡単な解決方法などないとは思うが、まずは、「名称を変える」という主張には、なるほど!と唸った。
だって、「名称を変える」ということは、すぐにでも実行可能であり、学生や親たちに、「学生ローン」を受けることが、現実的な最適解なのか、立ち止まらせる契機になると思うからだ。

ちなみに、この問題に関して考えるときに、前提として踏まえたほうが良い数字がいくつかある。

「最近のワカモノは」と言う前に。20年前の若者と今の若者の違いの私的まとめ

に書いたのだけど、40~50歳代の方は、これらの数字を頭の隅においておいたほうが良い。(時代は変わっているのだ)

*大学進学率 24.6% → 50.9% (1990年→2010年)
*大学卒就職率 81.0% → 60.8% (同上)
*25~34歳の男性非正規雇用率 3.2% → 13.2% (同上)
*国立大学4年間の学費(授業料+入学金) 154万円 → 242万円 (1989年 → 2009年
*奨学金受給している大学生の割合 21.2% → 50.7% (1996年 → 2010年)


ところで、ご存知のように、アメリカでも、学生ローンの問題が噴出している。
この7月2日に、与野党の決裂で、政府が支援する学生ローンの金利が、2倍に引き上げられた(3.4%→6.8%)。
でも、一方、ちょうど、同じ日に、オレゴン州では、画期的な奨学金制度が、議会で承認された(実施までにはまだ数年かかるらしいが)。

The College Classroom Behind Oregon's Bold Plan For Tuition-Free College

や、複数の記事が紹介している。
日本でも、赤旗がその取組を紹介している。

この学生ローンの画期的なところは、それぞれの年収に比例して返済してもらおう、というのだ。
現在は、年収の3%を納めてもらう案などが検討されている。
たくさん稼ぐ人にはたくさん返してもらい、そうでない人には少なく返してもらったらよい。
なかなか素晴らしいアイディアではないか。
しかも、このプランは、もともと、学生の負債を経済・政治から考えるという、ひとつの授業から出てきたものなのだ。
長年その問題に取り組んでいる先生と、実際に学生ローンを利用している十数人が、授業として真摯に取り組んだ結果、ひとつのプランにまとめた。
それを議員に持ち込んだところ、現実に議会で承認されるところまで進展したのだった。

僕は、現在、この問題について、提案できる解決策はもっておらず、このオレゴン州のトライアルがうまくいくかどうかも確信はない。
ただ、案外、このオレゴン州のプランは知られておらず、この問題について、考えてもらえる、ヒントになるかもしれないと思い、この記事を書いた。

Photo by Nastassia Davis [www.nastassiadavis.com