ICHIROYAのブログ

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映画『アルゴ』を地で行く作戦~犬小屋で35日間暮らしてみる!





サイバーエージェントの藤田さんが、その著書『起業家』の中で紹介されていた、見城さんの言葉、「全ての創造はたった一人の『熱狂』から始まる」は、まったく胸に刺さる言葉だ。

本の中で、藤田さんがアメブロに賭けた孤軍奮闘の戦いー「たった一人の熱狂」が、いかにサイバーエージェントという企業を救い、かくも急成長させたかが、赤裸々に語られている。

起業家

起業家




藤田さんといえば、順調に事業を伸ばしてこられた、天才肌の方と思っていたのだけど、その彼が、それほどまでの苦難の道を、つい最近まで歩いて来られたことを知って、とても驚いた。


たまたま、『起業家』を読む前に、映画『アルゴ』を見たのだけど、この実話の主人公も、困難極まる状況を、まさに、「創造的」方法で解決してみせたのだった。
時は、イラン革命のまっただ中。イスラム過激派がアメリカ大使館を占拠し52人のアメリカ人外交官が人質にとられる。
占拠される直前に、6人が大使館から逃れ、カナダ大使館に匿われる。
その6人を、CIAのトニー・メンデスが、どうやって救出したか、という話なんだけど、その方法が、かなり馬鹿げている。


架空のSF映画「アルゴ」、イランを舞台にした変なSFを作るという話をでっちあげる。
6人を、ロケハンに訪れた映画のスタッフに化けさせて、兵隊たちが眼を光らせている空港を突破するという作戦だ。


そもそも、アメリカ大使館がイランに占領されて、数十人も人質にとられており、反米の気運が渦巻いているなかに、お馬鹿なSF映画を作るといって、イランに乗り込んでいくという設定が、馬鹿げているように思える。
英語教師のグループに化けるとか、ほかにも、もうちょっと、飲み込みやすい偽装の方法も検討されたのだけど、結局は、主人公が考案した、この「アルゴ作戦」が採用される。
彼のヨミは、当たり前な話なら、嘘は簡単に、見抜かれる。
馬鹿げた話ほど、かえって、ホンモノに見える、というものだった。

まあ、しかし、どこまでが実話かはわからないけど、この作戦の採用が決まったあとも、人質たちから、拒否されたり、上層部から、直前で中止を命令されるなど、さんざんな困難、味方や上層部の妨害にあっている。

もちろん、彼は、それでも、「たった一人の熱狂」の火を絶やさず、その一風変わった作戦を成功に導いたのだった。


この話は、ビジネスの話でも、なにかを創造する話でもないけれど、「独創的なプランを立てて実行する」という点で、見城さんの言葉に通底している。
まさに、彼のたったひとりの熱狂がなければ、この作戦は、ありえなかったし、成功しなかった。


「全ての創造はたった一人の『熱狂』から始まる」


そうなのだ。
組織で過ごした19年を思い返しても、何か素晴らしいことは、いつもその始まりは、「たった一人の『熱狂』」だったのだ。
組織というものが、その総意で素晴らしいことを生み出したのではなく、また、組織のトップがそれを生み出したわけでもなく、管理のピラミッドのどこかにいた「たった一人」の創意と熱意が核となって、組織を巻き込んでいったのだった。



この言葉を胸に刻んでおきたいと思ったのだけど、たまたま、こんなチャレンジが行われようとしているのを知った。

Living woof: I’m going to spend a month in a kennel


ウエッブデザイナーのSEANさんは、100年続くドッグシェルターのボランティアだ。
資金不足を補うため、10月5日から、35日間犬小屋に入って生活する、という。
肩には、犬たちが埋め込まれるマイクチップを埋め込み、35日間は、毎日1時間だけ外に出てシャワーを浴びるなどするが、あとは犬小屋で過ごす。
犬小屋は寒い。
そして、トイレが問題だ。(あまりしなくて済むように、ダイエットを始めたそうだ)
その様子はCCTVカメラで公開し、人々の寄付を募る。
SEANさんは、そうやって捨てられた犬が、犬小屋に35日間閉じ込められることがどういうことなのか、身を持って体験し、人々に伝えたいとしている。


どうやら、このプランも、SEANさんの、「たった一人の『熱狂』」から始まっているようだ。
シェルターの代表は、去年の12月、このプランを聞いて、実行を渋ったという。


困難度はだいぶん異なるかもしれないけれど、ちょうど、『アルゴ』のようなプランではないか。
かなり、馬鹿げているようにも思えるけど、『アルゴ作戦』が人質を救出すれば目的が達成されたように、このプランも、世間の耳目を集め、目標の寄付を集めれば、成功なのだ。
そして、このプランには、賛否両方の意見を、大きく集めそうである。
でも、SEANさんはやりぬくだろう。

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Manchester Evening News



ところで、昨夜、友人と飲んだ。
Kimono アーカイブ(バーチャル日本染織博物館)のプランをはじめて、彼に話した。なぜ今になったかというと、少なくとも形(サイト)が出来てから、彼に協力を依頼しようと思っていた。
彼に断られるのが、怖かったからだ。

業界で今、最高級のチカラをもつ彼が、YESと言えば、計画は一気にすすむ。
彼がNOと言えば、僕のこの計画は、きっと、長い期間、孤独な道程となる。


で、僕の話を聞いてくれた彼は、言った。
「オレも、それをしないといけないと思っていた。だから、これぞという逸品の写真は、高解像度の写真を撮って、全部、残してある。やろう。」

どうやら、僕の「たった一人の『熱狂』」は、昨夜、「ふたりの『熱狂』」へと変わったようだ!

めちゃくちゃ、嬉しい!