ICHIROYAのブログ

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大阪人は、じつは超国際人だった!(着物の柄に見る大阪人の特徴)

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大阪人のイメージを巡って、こんな記事を書いたことがある。

大阪人のイメージは都市伝説に過ぎないという話

アニマル柄を着た、漫才師みたいなおばちゃんが闊歩する街、大阪!
そんなイメージは、都市伝説に過ぎないって主張だった。


アニマル柄については、そこにも書いたように、いろいろと調べられており、現実には、大阪も東京も、その着用率はあまり変わらないという。
ただし、あくまで「イメージとして」、大阪では、豹の顔や象の顔などが、どかんと大きくデザインされたものが多いという。


帯で下手な絵を描いてみると上の図のような感じ。
東京は、「ヒョウ柄帯」で、大阪は、「ヒョ
柄帯」。
前の記事では、「そんなこと言うなら、証拠を出せ!」と書いたのだが、う~~ん、やっぱり、実感としては、ありそう。

ところで、最近、帯の仕立のことで、今更ながら、気づいたことがある。


帯というものは、もともと、仕立されていない状態で販売される。
お買い上げになったお客様の要望を訊いてから仕立てるのだ。
帯の端には、織元のマークや名称、柄の名前などが織り込まれている。
それは、織元が自分のところで織った帯です、というサイン・落款のようなものである。
そして、それは着る場合には意味のないものだし、あえて見せるものではない。
だから、着物の場合、着用を邪魔しないように、着物なら重なって見えない下前に、帯なら、縫い込んでしまう内側に、それはおかれている。
そのため、ふつう、帯びの織元の名前の織り込みやマークは、内側に織り込んで仕立ててしまう。
そうして仕立ててしまうと、縫い目をほどきでもしない限り、誰にもブランド名は見えない。


しかし、僕らが扱う古着の帯の中には、わざわざ、織元・マークの部分を、表の端に見えるようにして、仕立てたものがある。
そうして仕立てると、結んだとき、図のように、お太鼓の下の重要な部分に、織元・マークが見えるようになるのだ。


業界のある方が、「これは、関西仕立て。見栄っ張りの証拠!」とおっしゃる。
この仕立て方は、圧倒的に関西が多いらしいが、統計的に検証したわけではないので、「らしい」としておく。
この話になったとき、京都の業者さんが、「関西って、ひとくくりにせんといて欲しいわ!」と小声で呟いておられたので、おそらく、京都では、「そんな無粋なことは、しやしまへん」ということなのだろう。
「イメージ」として、神戸もそんな風じゃないような気がするので、この仕立て方は、「大阪仕立」というのが正しいのかもしれない。


だから、大阪は!と思って、大阪人である僕は、ちょっと、自虐的にこの記事を書き始めたのだけど、よく考えたら、エルメスもグッチも、マークは見やすいように、どんと入っているではないか。
そっちのほうが世界標準で、この「大阪仕立」こそ、ファッションの大道ではないのか。
そもそも、粋な京都人だって、「わたし川島織物さんの高くていい帯してるんどすえ~わかってほしいどす~~」と思って川島織物さんの帯をしているに違いなく、その日一日、誰からも、「ええ帯どすなあ~~ひょっとして、川島織物さんのとちゃいますぅ?」などと聞かれないと、きっと、こころの底では、ひどく落胆にしているに違いないのだ。


その点、大阪のおばちゃんたちは、凄い。
そんな淡い期待は捨てて、堂々と織元を見せて着る。
ちょうど、シャネルのバッグを持つときみたいに。


それの、どこが悪いねん!



そのことは、大阪のダサさ、未開性の証ではなく、じつは、国際標準の感性に基づくものだったのだ!


PS 一介の古着屋である僕は、着物はどうあるべき、っていう考えはほとんど持っていません。着る方が、気持ちいいように、カッコイイと思えるように、と思ってます。なので、この「大阪仕立」の帯も売ってますし、実際、「大阪仕立」の帯も、可愛いやっちゃ!と思ってます。そのへんは、生粋の大阪商人なので、誤解のないよう、お願いしときます!