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ICHIROYAのブログ

元気が出る海外の最新トピックや、ウジウジ考えたこととか、たまに着物のこと! 

★★★当ブログはじつはリサイクル/アンティーク着物屋のブログです。記事をお楽しみいただけましたら最高。いつか、着物が必要になった時に思い出していただければ、なお喜びます!お店はこちらになります。★★★


江戸の古着屋を調べて、現代の衣服・着物について色々考えた(1)

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僕は古着屋だけど、「古着屋」っていつから、ある職業なんだろうか、って時々思う。
きっと、「商売」というものが、習慣となって成立して、すぐに、始まったんじゃないかな、と思う。
大昔から、食べるものと着るものは、なければ人間は生きていけないはずだし、着るものも、簡単には手に入らない。
植物を糸にするだけでも、相当手間なのに、さらに、それを布に織り上げなければならない。
どう考えても、つくるのに何日もかかる布、衣類を、ひとりが使って終わりということはなさそうだ。

ちゃんと、調べてみたことはないけれど、きっと、平安時代にだって存在したに違いない。
平安時代の古着屋仲間が、どんな商売をしていたのか、とても興味がある。
ちなみに、江戸時代の古着屋のことは、いろいろと文献が残っていて、どんな様子だったか、だいたいわかる。

江戸時代に書かれた「諸商売人出世競相撲」という印刷物には、江戸時代に儲けの多い商売、人気のある商売の番付が記されている。


1位は、意外なことに、「飛脚」、通信である。
よく考えてみれば、意外でもなんでもなく、現在の、NTT、ソフトバンクなどの通信大手がやっていることだ。
当時、江戸~大阪間を3日で走ったという。
携帯電話で電波を飛ばすのではなく、人間が走る。
でも、情報の大切さというのは、今も昔も変わりはなく、それを制したものが勝ち、また、それを商売にするものが、世の花形だったのだ。


そして、2位は、「呉服屋」。今の時代で言えば、有名ブランドの婦人服、紳士服を扱う商売だ。これも、納得がいく。いつの時代も、人間は、見栄に、自らを飾り立てて良く見られたい、という欲が強く、商売の大本命なのだ。
ただし、江戸時代の「呉服」は、糸を作るのも、織るのも、染めたり刺繍したりするのもすべて手仕事。
新品の「呉服」は、相当なお金持ちだけが買えるものだった。
だから「呉服屋」も、現在の、海外超高級ブランドショップぐらいのステータスで、庶民は足を踏み入れることもできなかっただろう。


そして、3位は、ひがき舩屋。江戸~大阪間の荷物を運ぶ、船会社。
これも、いつの世も変わらないなと思うのだけど、ヤマトさん、佐川さん、郵便局さんが現在やっておられる運送業のようなものだ。



さて、では、「古着屋」は、何位だったでしょう?
10位までに、入っていたでしょうか?


(以上、こちらのサイトを参考にさせていただきました 江戸時代の儲かる商売番付 )

 
僕は、古着屋になって、今日という今日まで、「古着屋は裏通りでひっそりやるもの」と思ってきた。
が、色々と調べてみて、ちょっと、認識が変わってきた。

なんせ、江戸時代、庶民が着物、衣服を買うといえば、「古着屋」だったという。
とにかく、今のように、機械で紡いだ糸や機械で織った織物はないのだから、新品は高すぎるのだ。
だから、古着を、修理したり、洗ったり、分解したりして、再利用した。
そのため、着物の仕立てというのは、仕立てしなおしやすいように、単純なつくりになっているし、傷んだ着物を修理する技術も、とことん進歩した(悉皆屋さん)。
そして、お金持ちが着たものを再利用することが、庶民の衣服の、常識だったのである。
家計が苦しいときに、たまに、古着屋を利用する、というのではない。
古着屋さんで買うしか、選択肢がなかったのである。
つまり、江戸時代の「古着屋」は、現在のユニクロみたいなものだったのだ!


当時、江戸には、「古着屋・仲買、古着仕立て屋・仲買、古着買い・仲買」だけでも2790人が、登録されていた、という。


たしかに、当時、着物は徹底的に再利用されていた。
僕らの目に触れるものでも、ああ、この生地は、江戸時代の着物だったものだな、というものが、ごく普通にみつかる。
写真の下着はその一例で、江戸の裂が見事にはぎあわせて再利用されている。
仕立て替える、子供用など、小さなものに仕立て替える、染め替える(柄を落として違う柄を染める)、端切れにしてつなぎあわせる、裂いて糸にする(裂き織り)などなど、とことん、小さな部品になるまで、まさに、溶けるようになるまで、使い尽くしたのだ。

こちらのページには噺に出てくるさまざまな古着にまつわる噺が書かれていて、とても面白い。


そして・・・現代の古着屋である僕は、ネットで商売をし、日本だけでなく、海外にも多くの古着を送っている。
商売の形態は変わったけれど、たぶん、同じような喜びや辛さを感じながら、江戸時代の古着屋もがんばっていたんだろうな、と、色々調べてみると、なんだか、嬉しい気分になってきたのだ。


この流れの話、まだ続きます。
でも、長くなるので、とりあえず、今日はここまで!



*上の質問の答えは、7位、でした。
 なかなか人気の商売だったんです!