ICHIROYAのブログ

元気が出る海外の最新トピックや、ウジウジ考えたこととか、たまに着物のこと! 

★★★当ブログはじつはリサイクル/アンティーク着物屋のブログです。記事をお楽しみいただけましたら最高。いつか、着物が必要になった時に思い出していただければ、なお喜びます!お店はこちらになります。★★★


ブラック企業を名指しする前に、小売・外食産業から「労基法上の管理監督者」をなくそう!

f:id:yumejitsugen1:20130412061202j:plain
by chrismar


自民党が「ブラック企業」の社名を公表する措置を政府に提言し、夏の参院選公約で明記を検討するという。

自民が「ブラック企業」公表提言へ 参院選公約


ほんとか?
たぶん、ただのポーズだろう。
絶対に、できはしまい。
「ブラック」というからには、違法な労働を強いているはずで、そのレッテルを政府が貼るのであれば、違法行為の証明が必要となる。
違法行為があれば、労働基準監督署が、それを正していくのが先だ。
そいつを飛び越えて、「ブラック」というレッテルを貼り、世間の集中砲火を浴びせ、倒産に追い込んで、「ブラックな労働環境だけど、家族のために懸命に耐えていた人たち」を路頭に迷わせるべきではない。
政治がすることは、そうやって、運の悪いどこかの経営者を血祭りにあげることではなく、多くの企業に蔓延するブラックな労働の実態を、法を見なおしたり、人々を啓蒙していくことではないのか。


僕が知っているあるブラック企業
厳しいこと、強引な販売活動、離職率が高いことで有名なだけでなく、社長と営業本部長が全国の支店の女子社員をつまみ食う。
しかし、その会社を、ブラック企業と公表することは、絶対にあるまい。


ところで、僕がほんとうにわからないことがある。
あまりに単純なことなので、僕がなにか間違っているかもしれない。
とりあえず、書いてみる。


2008年、マクドナルドなどの未払い残業代請求訴訟で、「名ばかり管理職」が大きな社会問題として取り上げられた。
店長(労基法上の管理監督者)としての権限を与えていないのに、監督者だからとして、違法な長時間労働を強い、また残業代を支給していなかった件だ。
ご存知のように、会社側の敗訴や残業代の支払いによる和解があいつぎ、以降、「名ばかり管理職」の問題は解決したかのように、話題にのぼらなくなっている。
民間の調査でも、「管理職の人事・処遇制度の見直し」や「非管理職に該当する者への残業代支給」を行ったと答える企業が過半を超えているようだ( 産労総合研究所の調査(2012年10月11日発表))


僕がわからないな、残念だなと思うのは、「労基法上の管理監督者」としての職務を与えて、長時間労働と残業代の不払いを合法化しようとする企業も多いことだ。
ほんとうに、それが必要なことなのか、と強く疑問に思うのだ。


僕はずっと小売の業界に身をおいてきたので、すこし、あるべき論を言わせていただく権利がある。


で、僕が思うことは、小売と外食産業については、店長などを「労基法上の管理監督者」として扱うべきではない。そのように扱うことを禁止すべきではないのか、ということだ。


だって、そもそも、小売も外食産業も、極めてドメスティックな(国内に限られた)産業である。
そうでなくても、現在、僕らの社会は、世界でも例を見ないほど、便利になっていて、夜中だろうが、どこにいようが、休日だろうが、いつでもなんでも買えるし、なんでも食べることができる。
でも、これ以上、ほんとうに、そんな便利さ、小売と外食が人の身を削って実現しなければならない便利さってあるのだろうか。
それを諦めたとしても、グローバルな競争で、何か不都合があるわけではない。
製品を輸出するわけではないので、インドやフィリッピンの労働者に、その仕事を奪われる心配がない。


つまり、みんなが、やめようと、と言えば、やめることができるのである。
そこまでは、やらないよ。や~~めた!というのが、ヨーロッパの小売や外食のようである(住んだことはないので実際は知らないが、たぶん、そうなんだと思う)。
日本人は、悲しいかな、「や~~めた!」と言えないのだから、そこは、みんなで、法律を変えて、「法律で、禁止!うちの店も、あっちの店も、全部、禁止!」とするしかない。


考えてもみよう。
もし、ファーストフードの店長さんが、「ああ~~急な、病欠だ。昼に続いて、深夜のシフトも自分が入らないといけないな、とほほ。また、18時間労働だ・・・」となることを、僕らはほんとうに、望んでいるのか、って話だ。
そんなときは、「ただいま事情によりクローズしております。朝、7時から開店します」と看板をぶら下げて、ちゃんと、休んでくれたほうが良い。
だって、他の店に足を運べばよいだけの話ではないか。
いまは、契約で締めることができない、って聞いたことがあるけど、実際の所、日本中のすべての小売店・外食産業が、そんな風に経営してくれても、何の不都合もないと思うのだ。
もちろん、まったく不都合がないわけではないけれど、それによる社会的な損失に比べ、それによって得られるメリットは格段に大きいと思う。


その限られた土俵で、コンビニも、紳士服チェーン店も、100円ショップも、飲食店も、マクドナルドも、ケンタッキーフライドチキンも、ワタミも、思う存分、戦えばいいと思うのだ。


しかし、そんな主張を、ほかであんまり聞いたことがない。
僕が目にしていないだけで、あちこちで言われているのかもしれないし、ひょっとしたら、僕が何か大事な点を見落としていて、論議に値しないことを言っているのかもしれない。


やっぱり、わからない。
ブラック企業を名指しする、などという、マスコミや一般には面白おかしく受け取られそうな馬鹿げた施策より、こういったことを、皆で考えていくことのほうが、ずっと、意味があるし、実効性があると、僕は思うのだが・・・


何か間違えてます?